2016上半期面白かった本

今週のお題「2016上半期」

 上半期に読んだ中で面白かった本5冊。

 

〇なぎさ/山本文緒

なぎさ (角川文庫)

登場人物が立体的だった。胡散臭い奴がとても眩しく見えてしまう一瞬が描かれていたり、弱くてずるくてどうしようもない奴がページをめくったら笑ってしまうくらいしおらしくしていたり。声出して笑った。重く暗い話に説得力のある温かいシーンを挟んでくるのはすごい。

 

〇本で床は抜けるのか/西牟田靖

本で床は抜けるのか

地道に聞き込みをして検証するが思いのほかドラマチックに展開する。タイトル、ブックデザインのインパクトはばっちり。部屋に遊びにきた人に食いつかれる。看板に偽りなし。

 

〇耳をふさいで、歌を聴く/加藤典洋

耳をふさいで、歌を聴く

著者とは世代的に隔たりのある音楽を聴いて書かれたエッセイだが、妄想で時数を稼いでいる印象がない。誠実さを感じる。この本を読んでディスクユニオンフィッシュマンズのCDを手に取り、それを見ていた友人にライブの誘いを受ける。楽しいことこのうえない。

 

チベットのロックスター/渡邊温子

チベットのロックスター──仏教聖者ミラレーパ 魂の声 (ブックレット《アジアを学ぼう》)

図書館でうすいブックレットを借りるのにはまっている。出先で読んでも楽しい。飲み会で取り出してしまったのはまずかった。何をつっこまれても全然うまく説明できなかった。面白い本なのに。若い女性研究者の著書らしく、あとがきで指導者や両親への謝辞がのべられていて親しみを感じる。

 

〇深夜百太郎/舞城王太郎

深夜百太郎 入口

「淵の王」で活字でここまで怖がらせるかという力量をみせつけられ、またこういうの読みたいなと思っていたところだった。一気読みしてしまってもったいなかった。我慢できなかった。