「夏の娘たち~ひめごと」のことで頭がいっぱい

 

結末に触れています。

  

もう一度観ても春雨が強すぎてやっぱりひろちゃんは死んでしまった。

ネットの感想、評論、インタビューのなかで一番理解の助けになった、堀禎一監督と西山真来さんの対談記事↓

 http://www.nobodymag.com/interview/natsunomusume/index.phpwww.nobodymag.com

直美の心境の変化については、すごくよく覚えているのは最後の最後に撮影した松浦さん演じる義雄くんとの夜の場面です。撮影順序としては実はひろちゃん(鎌田英幸)との別れのシーンの方が先なんですね。ひろちゃんとのシーンはほんとにどの場面も幸せだったので、私が本当に直美だったら絶対に義雄には心変わりしないと思ってたんですね。でも最後の最後に義雄との場面を撮ったときに「あ、そうか!」と、私自身が心変わりしてしまった。好きだの嫌いだのを言葉の上で考えるというよりも、もっと肉と肉の対話みたいなものによる唐突な変化が訪れたことに気づいて驚きました。

 

そうそう、直美はよっちゃんのことを覚えていないから「義雄くん」なんだった。このシーンの直美の「いい」「もういい」は春雨の「サァーサどうでもよいわいな」かな。ひろちゃんとは「幸せそう」、よっちゃんとは「よさそう」に見えてくる。インタビューで語られているような体験をへて表現されたものがフィルムに焼き付いていることを考えると、映画って面白い。

 

 

dokushojin.com

   

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 シナリオ2017年8月号

松の間へ向かう直美に対して「あかーん!春雨を踊らされてしまうから~!」と声を上げそうになったしこれから1時間ちょっとでひろちゃんが死ぬのかと思うとくらーい気分になった。でも脚本を読んで初めて気づいた、松の間でよっちゃんが座布団の下、鞄と二段階に分けて靴下を隠すのや、ひろちゃんがお通夜で、よりによって喪主の挨拶をしている時に吹き出してしまってこらえる表情を確認できるとわくわくしてくる。ひろちゃんが最初のほう、好きな人と久々に結ばれるまでに、話す際(冒頭の「連絡先教えといて」でもうけっこうやばい。そして「じゃあダメじゃん」!)顔に変な力が入っているのが最高(なぜか東幹久のモノマネをしている楽しんごを連想した)

 

「よっちゃんと結婚すればいいよ、でもたまに会おう、で、しよう」のところで耳を疑ったけれど、脚本を確認して聞いてもしようと言っていた。直美も「ひろちゃんとしてたようなことをしたい人ができたの」と言っていたのでそこに引いている様子はなかったけど…自転車から降りた直美がハンドルに寄りかかり、長身をななめにして髪の間からひろちゃんを睨んでいるのがかっこいい。

また麗奈にビンタされるところで「1回やらせてよ」と脚本にあって「今日やらせてよ」じゃなかったかな?さすがにそこまで堕ちてはなかったでしょと2回目聞くと脚本どおり「1回やらせてよ」と言ってしまっていてそりゃ麗奈にビンタされるよ。ひろちゃんもうダメかもしんないっていうかもうダメだよ。

 

もうダメだよと感じてしまうのはあの村の感覚を理解できなかったということだが気にはなる。麗奈が泣きながらおっちゃんを受け入れている場面は見ていてつらい。掘り下げはしないが避けては通れない部分なんだろう。道祖神には父娘のパターンもあるというのとは関係あるだろうか。

 

 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論/赤松啓介

夜這いの民俗学・夜這いの性愛論

図書館で借りてきたこの本がたまたま手元にある。映画館と図書館に通っているとこういうことがちょいちょいある。

初対面の2人がするときの助けとなるという「柿の木問答」とか映画のセリフ「沢で洗うから」を自分でもやってみたくなったのだが、マンションの一室やラブホテルでは作用しないだろうな。

 

ツイートを西山真来さんにふぁぼられたり、虹釜太郎氏からリプライが飛んできて驚く。

 

「あんたのお父さん、照之さんよ」の前の椅子を置く音の大きさ、「道祖神さまみたいな話」の間じゅう響く何かのモーター音、本編でとくに触れられないものの存在感のある子供の声(ギャァァァとかわめいているところもある)、沢の水音、始まりと終わりのパチパチしたノイズ、エンドロールのピアノ。今も強烈に耳に残っている。

白波多カミンの「姉弟」という曲のサビが「仏壇の前で君とセックスをした」だったのを思い出した。

www.cinra.net

 

白波多:ある日仏壇の引き出しを開けたら、ご先祖様の家系図が入っていて、「すごいな、これみんな生きてたんやんな」とびっくりしたことがあったんです。で、セックスって未来に向かう行為だから、それを仏壇の前でするっていうのは、すごく長い時間を一行で言えてしまうんじゃないか? と思って。この状況は面白いなって興奮して作った覚えがあります。 

 

このへんの素朴な驚きと興奮が「夏の娘たち」の中にもある。 

この映画がたくさんの人に楽しまれますように。