2/24(木)
室温が低すぎるのか、昨日も今日も目をカッ!と開いて目覚めている。布団からはなかなか出られない。もう帰りたい。自宅でそういうことを思う。この感情を見つけた当初は驚いたが、インターネットによると万人がもつものだという。コーヒーだけ飲んで、なるべく無心で身支度をする。家を出ると快晴。視界の中に人がいない。最寄りの路線で運転見合わせしたりすると駅の周辺に静かで不穏な雰囲気が漂うことがあるが、普通に運転していた。
通勤電車の中で溝井裕一『動物園・その歴史と冒険』を読む。
図書館から借りて2週間以上経つと読み終えていなくても本の並びに飽きてしまう。もっと大切に読んだ方がいいとは思うのだが、一旦返すことにしている。文体にちょっと明け透けなニュアンスがあって面白い。
職場にて、調子が出ない。殺伐とした気分。今の状態で何も食べずに日記を書き始めると暗いながらも推進力のある文章が書けるだろうなという朝があって、それが今日。人手が足らずいつも鳴りっ放しの隣の部署の電話がたびたび鳴りやむ。弁当のおかずは、茹でたカリフラワーとチキチキボーン。
やがて退勤。図書館へ寄る。宮田珠己の本を探す。数冊手に取ったところで男性だと気づいた。帰宅、風呂。夕飯は白飯、豚バラとこんにゃくの炒め物。ヤスナリオのレシピで、何度かつくっている。ツイッターを開いて初めてロシア軍がウクライナへ侵攻したことを知った。なんとなく空腹を感じてミックスナッツとダイソーのおかき(スモーク・トリュフ塩)で晩酌をする。
安野モヨ子の対談集『ロンパースルーム』を読んだ。
日暮愛葉との対談の内容はヘビーだが二人ともあっけらかんとしている。日本の薬は対症療法で処方されるから依存性がある。アメリカの薬でなおった。ゼロ年代初頭の本だが、開架にあった。次々書庫にしまっているイメージがあったが、棚によるのか。基準がよくわからない。
弁当用の卵焼きをつくった後、数十分間フライパンを空焚きしていて危ないところだった。そわそわして落ち着かない夜。
2/25(金)
昨日は朝ラジオをつけなかったから調子が出なかった。聞きなれないが美しい曲。グラズノフの演奏会用ワルツだとアナウンスがあった。その後のラフマニノフの曲はマイスキーの演奏だった。自分の中のロシアはクラシックの作曲家や演奏家の国。
コーヒーをいれて、塩バタかまんを食べた。時間に余裕はないが、弁当用の鮭を焼く。
通勤電車の中で宮田珠己『旅はときどき奇妙な匂いがする』を読む。
なかなか旅先に着かない。
職場にて、弁当のおかずはほうれん草、卵焼き、鮭の塩焼き。
やがて退勤。スーパー2へ寄って、金柑、かぼちゃ、白だし、ウインナーなど買う。帰宅、風呂。洗濯もする。夕飯は海鮮丼。刺身をツマごとご飯の上にのせ、とろろと納豆ものせた。冷凍とろろは風味が弱く、また買うかちょっと悩む味。高い納豆はねっちりしていておいしい。丼の中に細いマロニーみたいなものがあって、付け合わせの海藻かと思ったが寄生虫ってこんな感じじゃなかったか。実際に見たことはないのでよくわからない。よけておいて、もうネットで検索したりしないことにした。頭や心の容量を週末にとっておく。取り込んだ洗濯物にカメムシの卵がついていたときも、すぐには検索せず家事と寝る支度を先にした。
ツイッターにて、プーチンと親交があるゲルギエフに契約解除を迫ったり、降板させたりするオーケストラが続出しているというニュースを知る。
2/26(土)
コーヒーをいれて、コーンマヨトーストを食べた。ちょっと楽器を弾く。11時ごろに切り上げてスパゲティナポリタンをつくって食べ、12時前に家を出て、13時到着。電車の中では石橋毅史『本屋がアジアをつなぐ』を読んでいた。
今日はアマオケの練習。明日が演奏会の本番で、今日は同じ会場を借りてリハーサルをする。使ったことのないホールなので早めに行き、設営作業の合間に自販機、トイレ、あとひとりになれそうな場所を探しておく。昔ながらの文化会館を改装したホール。案内板と座席はぴかぴかだが、随所にレトロさが漂う。
いこい pic.twitter.com/RqQC5pAL1M
— かみのけモツレク (@decoi0222) 2022年2月26日
リハーサルが始まって終わった。世界で何が起こっても、音楽で何を表現したいか考えていてくださいね。と指揮者の先生のコメント。夕飯はラーメン。ラーメン屋で流れていたテレビでロバートがコントをしていて、馬場の髪型を見て驚く。帰宅、風呂。日が変わってから、今日の練習の録音を聴く。担当者が3時間かけてアップロードしてくれたもの。スケールの大きさがポイントになりそうだという感想を持つ。
2/27(日)
コーヒーをいれて、はちみつシナモントーストを食べた。今日はアマオケの演奏会の本番。8時に家を出て、9時すぎに到着。
電車の中では荒内佑『小鳥たちの計画』を読んでいた。
「戦場のiPodとこの世界の片隅に」。兵士の音楽プレーヤーから流れる楽曲がトリガーを引かせることに影響したら、という想像。カメラマンの渡部陽一がクイーンを特集するラジオに出演した時、戦地の報道関係者がプレーヤーに入れた楽曲で仕事中の気分転換をしていると語っていたのを覚えているが、兵士については想像が及ばなかった。背筋が冷たくなった。
演奏会の本番が始まって終わった。ゲネプロの熱気。しかし仕上がりに満足いかずにプリプリ怒る人。出会った頃はこうした場面に出くわすと怯えていたが、今は「プリプリされてもな」「聞いてくれる人がいるからプリプリしてみせるんだな」「この怒りが演奏技術の向上につながっているんだな」と感じるようになった。誰がどんな昼食を食べているか。私はケータリングの生姜焼き弁当600円。1400円のスペシャル弁当を選ぶ人、コンビニでおにぎりを買う人、忙しくて食べそびれたドーナツを出番直前に頬張る人。本番までどう過ごしているか。広いホールのあちこち(舞台裏、トイレ、自販機の前)で団員に出くわす。楽屋でのおしゃべり。奏者の見る悪夢あるある、本番のステージ上でまったく知らない曲を演奏することになっている。ステージマネージャーの見る悪夢(「荒唐無稽な失敗」)、開演まであとわずかなのに手配した椅子や譜面台が予定とは全く違う配列になっていて舞台上がめちゃくちゃ。終演後のミーティング。大多数の団員が帰った後に知る、各スタッフチーフの苦労。誘い合わせたわけではなく、居合わせた団員で帰路を共にする時間。駅のコンビニに駆け込んで同じチョコバーを持って出てくる、ひと回りほど年下の団員達の可愛さ。改札を通った後もまだはしゃいでいて、ホームの自販機のセブンティーンアイスも購入していた。人気のないホームを、いきなり全速力で走っていく。置き去りにされた楽器が倒れそうになり、支えてあげた人の手からゆずレモンジュースがこぼれてケースにかかる。ツイッターで見た、飲み会で誰かがこぼした飲み物をみんなで拭く時間もまた失われたのだという投稿を思い出した。こんなに満たされた気持ちでアルコールティッシュを差し出したことはない。演奏会の前後には演奏以外の要素がたくさんくっついている。そのひとつひとつが楽しくて仕方がない。帰宅、風呂。入眠できたが朝4時ごろに目が覚めてしまい、1時間ほど寝付けない。そういう日は寝ぐせで頭がボサボサになる。
2/28(月)
コーヒーだけ飲んで家を出た。ATMに寄って、いつもより2本早い電車で出勤。アマオケの本番の翌日は有休をとる人もいるが、経験上出勤したほうが今日よく寝られて、火曜から順調に回っていく。通勤電車の中で荒内佑『小鳥たちの計画』を読む。「俺のサブスク元年」。既存の文脈から外れて音楽を楽しめるところにサブスクの可能性があるのではという予想。既存の文脈ありきのクラシック音楽。あまりにうんちく集め、披露に傾倒するのはナンセンスだという思いがある。職場にて、弁当のおかずはちくわにら玉、金柑、かぼちゃ。
やがて退勤。うっすら頭痛がして眠い。帰宅、風呂。NHKFM19時のニュースの終わりに速報。明日トヨタ自動車の全工場が停止。取引先の部品メーカーがサイバー攻撃を受けたため。そういえば勤務先の取引先の部品メーカーもサイバー攻撃を受けていたが、関係あるのだろうか。ヤフーニュースのコメントによると、ロシアの仕業。ウクライナが侵攻されてから、ヤフーニュースの記事には日本も核武装すべきというコメントがたくさんついているとツイッターで見た通りになっている。
夕飯はツナキムチうどん。吉野家のキムチは辛い。これを買ったとき、普段見ない銘柄のキムチがたくさんあって迷った。後から来たスウェット姿の男性が人やカートの間から腕を伸ばして迷いなく牛角キムチを取っていた。安い銘柄のものとは100円弱の価格差がある。男性は若々しいが、カートにはマイカゴが載せられているので世帯もちかもしれない。次見たら買ってみようかな。食後、早々に寝る支度をしてベッドに入ったが、24時頃に目が覚めて読書。安野モヨ子の対談集『ロンパースルーム』を読み終える。井上 奈良美智との絵についての話が面白かった。安野モヨ子の漫画の魅力は絵にこそあるという井上の評価。物語の進行上気が進まなくても描かなくてはいけない絵。
3/1(火)
一度起き上がるも、スピッツのCDアルバム「醒めない」のジャケットのように半分に折った布団を大きな獣に見立ててしばし寄りかかる朝。
全然起き上がれない。天気も悪く少し頭痛がする。ラジオからはブラームスの交響曲第二番が流れている。寄せては返す波のようなホルンソロの旋律。コーヒーをいれて、マシュマロトーストを食べた。トイレで用を足していると、思想家botが配信で言っていた、「例えばアマオケの皆さんは『気に入らない奴を全員ぶっ潰す』という気持ちで日々演奏技術の向上に努めておられる訳ですが」という前口上が頭の中に響く。演奏技術は権力。持っている人はそれを振り回したりはしないものなのだが。中には尹雄大が『さよなら、男社会』の中で言及していたような、自分に有利なルールを趣味の団体に持ち込もうとするのがいて、それとどう付き合うか。年功序列に乗っかろうとする、情報を占有する、虎の威を借ろうとするなど、鬱陶しいことこの上ない。対抗しても仕方がないが無視したり受け流すとしても、音が聞こえる。当たり前なのだが愕然とする。
戯曲形式でいったん形にするというやり方もあるのだな。なんとなく即興性というか、構想から発表までのスピード感が想像できる。
職場にて、弁当のおかずはベーコン、きのこ、オリーブの焼き飯。
やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はカリフラワーのシチュー、白飯。食後、思想家botのスペースを聴く。演奏できる楽器を増やせばレパートリーが広がる話、編成難の曲を書くとなかなか再演の機会がなくなるが、そこを考慮するかどうか。
寝る前に彼氏とLINE。旅先でしたいことを聞くと、「ドームで野球見たいかな」と返ってきた。全く興味がないしあまり気が進まないが、私がその感情を出すから聞かれるまで黙っているのだ。安野モヨ子も言っていたではないか、自分ひとりでは行きようがないところ、例えば仮面ライダーのロケ地などに庵野秀明と出かけるのが面白くて仕方がないと。
3/2(水)
まだ天気が悪い。コーヒーをいれて、レモンチーズトーストを食べた。ツイッターで、政治に音楽を持ち込むなという発言自体が既に政治的なものだという投稿を見かける。ゲルギエフは昨日ミュンヘンフィルの首席指揮者を解任された。
家を出て、通勤電車の中で宮田珠己『旅はときどき奇妙な匂いがする』を読む。匂いは比喩ではなかった。
職場にて、弁当のおかずはちくわとなすとピーマンの炒め物、炒り卵、金柑。
やがて退勤。昨日もそうだったが雨の中を傘なしで走る。帰宅、風呂。夕飯は納豆チーズ味噌汁、白飯、合いびき肉とじゃがいものウスターソース炒め。食後、ツイッターのスペース「しーばに近況報告」を聴く。ホストは植本一子。私が聴いた部分は話の流れ上「しーばの近況報告」になっていた。この方は筑摩書房の編集者らしく、よもやま話が興味深い。