0303-0309

3/3(木)
やっと晴れた。目が覚めてラジオをつけると古楽だったので6時台。コーヒーをいれて、フレンチトーストを食べた。食後、小林真樹『日本のインド・ネパール料理店』をちょっと読む。

日本のインド・ネパール料理店

あかん、面白すぎる。じっくり読みたいのに目がページの先へ先へと進んでいってしまう。檀上遼さんが「あかん」の用法で一番好きなのは「あかん、優勝してしまう」だと言っていたのを思い出す。おいしいものを食べた時にこう言うという話だったような。

家を出て、電車の中で宮田珠己『おかしなジパング図版帖』を読む。

おかしなジパング図版帖 -モンタヌスが描いた驚異の王国-

実際に見たものを描いているのに躍動感に欠けるシーボルトの絵、伝え聞いたものを描いているから細かい部分は間違っているが、いきいきしている絵。

職場にて、弁当のおかずはチキチキボーンのり塩ポテト、プルーン、オリーブ、金柑。やがて退勤。スーパー2へ寄り道。帰宅、風呂。夕飯はキムチ鍋。生姜と液体みそを入れたら好みの味になった。食後、ぶりの煮物を作りおくなど。

3/4(金)
コーヒーをいれて、抹茶食パンを食べた。昨日スーパー2のインストアベーカリーで買った、2枚150円のもの。6時44分の電車に乗る。

電車では井出明『ダークツーリズム』を読んでいた。

ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅 (幻冬舎新書)

くまモンの跳梁跋扈」!読者を飽きさせない文章だ。

駅で彼氏と合流して7時半の新幹線に乗る。ホームの自販機でゆずのジュースを買った。先週のアマオケの定演にまつわるまぶしい思い出。あさって帰ってくるころにはもう一段階遠のいているだろう。大柄な人が手に持っていたからペットボトルが小さく見えたのかと思っていたが、同じものを手に取ってみるとやはり小さかった。275ml。のぞみの自由席はガラガラ。一車両に10人も乗っていない。今朝はインターネットの一部で中西アルノの活動自粛が話題。乃木坂46運営によると、本人の育成と保護のため。

10時ごろ博多着。博多バスターミナルの牧のうどんへ向かう。よく賑わっていた。店の前で「一生お腹張ってるんだけど」と言いながら胃のあたりに手をやって歩いている若い男性ふたりとすれ違った。ごぼう天うどんを注文。注文を通す声を聞いていると、コロッケがよく出ている。ぷにぷにの麺をすする。伸びに追いつかれないように。麺に吸われたつゆは一緒に運ばれてきた小さなヤカンから足すことができる。ようやく麺を完食した後ふと思い立って、つゆだけれんげに注いで飲んでみるとおいしくて止まらなくなった。

うどん屋を出てKITTEの前のバス停へ。次々にバスが来るのも、20代の乗客が多いのも驚いた。西鉄バスの車両保有台数は世界一らしい。バスの車窓から駅前に目をやると、国連難民高等弁務官事務所UNHCR)の青いベストを着た職員がふたりいて、それぞれ別の市民と話し込んでいた。ただ立っているような日も多いが、今は世間の関心が高まっている様子。

11時前、福岡市動植物園着。来園者少なめ。視界に人間がひとりもいなくなるのは敷地の広さゆえか。一番見ごたえがあったのはサイ。広い運動場にオスとメスの2頭。静けさの中に皮膚のこすれる音や鼻息が響く。泥の中に足がめりこんでいく様子もはっきり見えた。序盤から満足いく展示が見られて嬉しい気持ちになる一方、今日これ以上の展示はもうないのではないかという寂しい予感があった。そしてその予感は当たった。細く長く動物園巡りをしている者の感覚。どんな動物園でも、何かの都合でバックヤードにいたり、室内展示になっていたりする動物は必ずいる。この園で高い繁殖実績をあげているツシマヤマネコは5匹中4匹がバックヤードにいて、展示されていた1匹は檻の隅で丸くなっていた。ゴリラは土下座スタイルで熟睡。オランウータンは3頭中2頭がバックヤードにいて、1頭はストーブの前から動かず。国内髄一の広さを誇るテナガザルの運動場には誰もおらず、室内展示されていた。日本モンキーセンターから移籍してくるほどのテナガザルの飼育設備というのは、バックヤードのことを指しているのかもしれない。ジャック、今日は会えなかったが達者で暮らしてくれ。予想外にかわいかったサイの土産物はとくになかった。アドベンチャーワールドでも似たような展開になってカバの土産物を探したことがあるが、フィナンシェを買うことができた。オリジナル土産物の展開にも経済的な事情が出る。福岡市動植物園は担当者がコピーショップ等で制作したと思しきオリジナルグッズが多数あって苦労が偲ばれる。トートバッグ、ポーチ、ポストカード、缶バッチなど。

15時過ぎ、天神のビジネスホテルにチェックイン。従業員は海外の人多数。部屋でしばしコーヒー休憩。夕方のワイドショーを見ていたらニュース速報のテロップが出る。福岡県の感染者数だった。ウクライナ情勢。ロシアが侵攻してから、ニュース画像、映像を初めて目にする。情勢悪化以前からツイッターの画像は非表示。難民を受けいれているポーランドのある体育館の様子。ひとりずつベッドが用意されている。

ホテルを出て、17時ごろペイペイドームの横の商業施設着。先に夕飯を食べたいが18時の試合開始に間に合わない、と焦っていると「別に最初から見なくていい」と彼氏。考えてみればそうだが、大きめのカルチャーショックを受けた。フードコートに入ると隣り合った店が同じ値段でチキン南蛮定食を出していたので食べ比べをすることに。私はドライブイン鳥という福岡のローカルチェーン店。路面店では客席に七輪があり、焼肉店のように鶏肉を提供しているらしい。白飯がとり飯に変更でき、チキン南蛮もキャベツのドレッシングもかき玉汁も全部おいしかった。彼氏のチキン南蛮をひとつもらった。ヤンチャな味付けだった。ドライブイン鳥のほうがおいしい。ステーキのように一切れずつ切ってあるのではなく、から揚げのような形だった。これは両店舗同じ。

18時過ぎ、ペイペイドームに入場。以後、ゲームの進行に全く集中できずキョロキョロし続ける。巨大なスクリーンに映し出された投手・打者の紹介画像。交代ごとに流れるムービー。そしてビールの売り子。アサヒとサッポロは大勢の売り子が行き交っているのにキリンはひとりしか見かけない。アサヒはホットパンツ、あとはミニスカート。ハーゲンダッツサーティワンとコカコーラ(ソフトドリンク)の売り子もいる。コカコーラの制帽はテンガロンハット。ビールサーバーは重い上に重心がとりにくいのか、平なところでは若干幼い歩き方になっている。纏足を連想できないこともない。飛躍させすぎか?失礼?誰に?これで足元を見ずに階段を昇降し続けるなんて。膝にサポーターをつけた売り子もいる。どうか全員適当に折り合いをつけて健やかに稼いでいてほしい。大事な局面で彼氏に話しかけてしまうと悪いのでグラウンドの方も見てみるが、白球の行方に全く興味がなく、動体視力にも難があるのか本当にボールが見えない。これには我ながら少し驚いた。

ボールも小さいがまずドームに対して人間が小さい。野球というスポーツに必要なスペースに対してドームが大きすぎる。通路に出ると食べ物飲み物応援グッズ年間シート等あらゆる物を売る人が客より大勢いて金の動きを感じさせる。少し疲れて座席に戻り、他のお客の様子を眺めて楽しんだ。やがてソフトバンクが勝ったので盛大なセレモニーが行われ、そこでも様々な人が働く様子を目にする。キッズダンサー、チアガール、そこにひとり混じって踊る男性、着ぐるみの中の人。ふと見上げると天井近くに人影が!花火(ソフトバンクペイメントサービス提供)の準備をする人だった。

ドームから帰る途中、彼氏が前の会社の後輩のS君に花火の動画をLINEで送るとすぐに「福岡に来られてるんですか?」「友達とですか?」とbotのような率直な返事が返ってくる。彼氏曰く「後輩やからな」とのこと。そういうものなのか?S君は私とも同じ会社の人で、福岡に転勤して5年ほどになる(彼氏はその後転職)。ポンポンと返信をくれ、明日会うことになる。22時ごろホテル着。風呂用メガネを便利に使い、露天風呂もそこそこにサウナと外気浴を楽しんだ。ツイッターを開くと、「遠方に展示を見に行く予定だったがこれはちょっとという事例を知ったのでやめておく。タガが外れている人がいる。自分の中で筋は通しておきたい」という旨の投稿が目に飛び込んでくる。

f:id:decoi0222:20220310080517j:plain

3/5(土)
7時半に起きて、朝食はホテルのバイキング。おそらく大浴場に軟膏を忘れてきてしまったので髪につけるものがなく(ヘアオイル代わりに軟膏をつけようとしていた)、受付横のアメニティ置き場から髭剃りフォームを取って部屋に戻った。髪はまあまあ落ち着いた。彼氏がおさるのジョージを見ている。犬は言葉、というかモノローグ?を話すが、ジョージは話さないのか。ホテルを出て美術館までけやき通りを歩く。自転車が多すぎて歩きづらい。福岡市はチャリチャリという自転車シェアリングサービスがさかん。けやき通りはレトロマンションの宝庫。

10時前、福岡市立美術館着。3種類の展覧会を開催していたが、全部所蔵品で構成しているからかチケットが200円だった。信じられない。

シンガポール・スタイル1850-1950」では中国からの移民プラナカンの衣服を展示。上衣と腰巻、柄に柄を合わせていてなんだかミスマッチだと思っていたが、どんなコーディネイトにも文脈があるものだ。ヨーロッパの布、オーガンジーの布の取り入れ方。トルソーがアジアの女性にしては厚みがあったので、着衣したところを見てみたくなった。

田部光子の「希望を捨てるわけにはいかない」展。このために来た。予備知識はなかったので、キャプションがありがたい。「人工胎盤」の再制作バージョン。「(再制作時は)懐かしいような、かわいらしいようなものを目指して、作っては壊し、作っては壊し」というコメントに涙がにじんだ。約50年の間に制作した作品が並ぶ。絵画、立体、コラージュ。作風も技法も構想の仕方も様々で、ひとりの作家によるものとは思えない。キャプションも当時の雑誌記事もコンセプトに注目するものが多いが、何でも描ける、作れる人なんじゃないか。確かな制作技術が作品に説得力を持たせている。「アンペイドワーク」についてのコラム、「主婦定年退職宣言」。宣言以降の作品のコラージュ。キャプションの「個人史と時代性が錯綜している」という指摘は、まさに私がコラージュを好んで作っている理由でもある。

コレクションハイライト① 「近現代美術の流れを展望できる内外のすぐれた作品」。入口に中ハシ克シゲの彫刻作品「NIPPON cha cha cha」があり、これはかなりとっつきやすい作品ではないか、と彼氏に「目が小錦やね」と声をかけてみるが、「うん」としか言わない。コレクションハイライト②「コレクションと展示のジェンダーバランスを問い直す」。企画もいいし、作品もいい。新しい作品が目につく。90年代生まれの作家の作品も。インカ・ショニバレCBEの「桜を放つ女性」はアフリカンプリントの布地でヨーロッパ風のドレスを仕立ててマネキンに着せてあり、「シンガポール・スタイル」展とのつながりも感じられた。展示は最高なのにお客が少なかった。200円で見られるのに!大濠公園からトイレとカフェを利用しに美術館に入ってくる人はいるのだが。レンガ造りで全体的に大きく、落ち着きのある建物。窓から空や公園が眺められるのもいい。椅子が茶色であるところが特によかった。

美術館を出て、大濠公園を散歩。風が強いが天気はいい。スターバックスには長蛇の列。商店街まで出て弁当屋でさばの混ぜご飯と白和えを買い、また公園に戻って食べた。ベンチに腰掛けて池のほうを向くと寒いので、池に背を向ける。この公園は野鳥がたくさん見られて楽しい。

15時ごろ、S君が仕事を終えて車に乗ってやってきた。けやき通り沿いで駐車場のあるコンビニを探すのに難儀したが、通り過ぎてしまったとかでなんでもない路地裏で拾ってもらう。昼食がまだだというので「バソキ屋」で焼きそばを食べることに。近くのコインパーキングに止めようとして「あっ」「ここはやめときます」とまた走り出す。車高を下げているとかで、パーキングブロックに当たってしまうらしいのだ。車の話にあまりついていけなかったので「とかで」と書いておく。立体駐車場に止めてバソキ屋へ向かうとき、付けられるすべてのオプションを付けたと話してくれた。オプションボタン用に余白があるのが嫌なのだという。バソキ屋の焼きそばは麺をしっかり焼いてあり、パキパキと歯ごたえがあった。ひとりでビールも飲んだ。今書いていて思ったが、何もビールを頼むことはなかったな。運転をせず、車を出してもらって遊ぶ機会もないので非常識なことをしている。その後はS君の発案で太宰府天満宮へ連れて行ってもらった。道中「ここ入ったことあります。おいしいです」「ここのフルーツサンドがおいしいです」「仕事終わってまだ帰りたくないという時、ここ(ツタヤブックガレージ)で立ち読みします」「ここが取引先の○○です」「この裏が同僚の○○さんの家です」とガイドし続け、合間に取引先からの電話にも出るS君。土曜の午後なのに。無理を言うエンドユーザーのことを「バカども」とくさして笑い合う。職場が一緒だったころは新入社員だったが、転勤を経て随分たくましくなった。

やがて空き地の中の民家のようなところに着く。17時から半額の200円になる駐車場。玄関わきにタバコ屋のような小窓がついているが、人気がない。いつもはおばちゃんが出てくるらしい。キョロキョロしていると反対側の掃き出しの窓から女性が出てきて会計ができた。「ほら、時間が遅いから皆もう帰ってくるでしょう」「下り(?)の道路も、めっちゃ空いてるでしょう」「これが大宰府の楽しみ方ですよ」とS君。参道で梅が枝餅を買って食べた。敷地内に梅の木がたくさんあって、どれも見ごろだったのは幸運だった。おみくじを引いたら大吉。経験上、なんでもない局面で出る。ホテルまで送ってもらうと真っ暗になっていた。

19時ごろチェックイン。今回2泊ともチェックインしてコーヒー休憩するという流れでいけたのはよかった。コーヒーは1泊目のアメニティ置き場から調達。茶菓子のチョコレートは持参。ホテルを出て、夕食はShin Shinの味玉ラーメン。時短営業中だが滑り込めた。サイン色紙がいっぱい。槇原敬之は自画像を添えるのだな。スープは背徳的なおいしさ。甘くこってりしていてチートい。麺はそうめんくらい細い。ホテルに帰って風呂。ここは水風呂があった。サウナのBGMは変拍子のポストクラシカルかと思ったが、オルゴールとピアノトリオ、ふたつの音源が同時に流れているだけだった。オルゴールの音色の隙間からピアノトリオをすくい出そうと頑張る。

f:id:decoi0222:20220310080452j:plain

f:id:decoi0222:20220310080330j:plain

3/6(日)
7時すぎに彼氏の携帯のアラームが鳴る。昨日起きて身支度を始めたくらいの時間にセットしておいてくれたようだ。朝食はホテルのバイキング。ぐにゅぐにゅのスクランブルエッグ、フルーツグラノーラ、ヨーグルト、コーヒーがあれば満足するのだが、和洋どちらもおいしかった。小さな焼き魚、水炊き風の鶏団子の煮物、小さなパイ。器もおかずも、バイキングでしか見られない小ささに贅沢さを感じる。

食後、エレベーターの前のラックからマップを取って部屋に戻る。博多まちづくり推進協議会発行「博多まち歩きマップ」。今日は昨日にも増してノープラン。博多駅周辺コース(博多駅を出発してアートと博多文化に触れよう)をそのままなぞることに。黒川紀章設計損保ジャパン福岡ビル、博多べいに囲まれた日本庭園の楽水園。なるほど、これらは早朝でも見られる。

11時前、キャナルシティ博多着。ナムジュン・パイクのビデオアート!これは見たい!と思ったが上映は12時からだった。中庭を見下ろしながら通路を歩くと次々に眺めが変わっていつまでも飽きない。館内に漂う甘い香りは映画館のキャラメルポップコーンのもの。劇場もあり、劇団四季のキャッツの公演が行われている。ゲームセンターの表に小型のUFOキャッチャーがあり、簡素なつくりのクレヨンしんちゃんのマスコットがかわいい。彼氏がワニ山を獲得。上映時間までこうしてウロウロし続けるわけにもいかないが、パイクは見たい。彼氏がその気持ちを汲んでくれ、12時まで待つことに。11時過ぎ、サンマルクカフェに入る。カフェラテを飲みながら美術手帖の記事で作品の予習。

bijutsutecho.com

キャナルシティ博多の建築についても調べる。なんばパークスと同じ建築家。12時、ついにビデオアートのブラウン管に映像が流れだした。館内を小走りで移動してあらゆる階層から眺め、写真を撮る。「起承転結とかはない」「流れてる音楽は隣のフロアで鳴ってるだけで無関係やと思う」「ビデオアートはこういうものやから」と横で棒立ちの彼氏に適当なフォローを入れておく。「素人にはわからん」としらけつつ、「5台くらい点いてないテレビがある」と彼氏。動体視力が足りず気づかなかった。助かる。彼氏のしらけ顔を目にして、一昨日ドーム球場で見た巨大画面(今調べると2019年当時表示面積世界最大のLEDビジョンらしい。どうりで大きい訳だ)を使った演出の過剰さを思い出した。背景や文脈をこちらから探りにいく必要がない。最近、コンテクストをわかってようがオンタイムで音が出せなかったら演奏の説得力には欠けるだろバーカバーカ、という感情に苛まれているが、こういった考えが頭に浮かんだ。

12時半ごろ、S君と合流。昨日「明日も整体が終わったら空いてるんでどこでも行きますよ!」と言っていたS君、まさか今日もお世話になるとは思っていなかった。私がビデオアートにうつつを抜かしている間に話がまとまっていたらしい。昼食はもつ鍋。食後は福岡タワーへ向かう。オプション全部乗せ、500万円越えのベルファイアの乗り心地は最高。天窓も見えるようにしてくれる。天気が良く、高層レトロマンション、レトロビルも眺め放題。「昨日は何食べたんですか?」「ShinShinのラーメン」「……有名店ですよね~」通りがかりの店を片っ端から「おいしいですよ!」と紹介してくれるS君だが、博多ラーメンはあまり好きではないらしい。大行列ができている店の前を通りかかるが、人だかりで屋号が見えない。調べてみるとパン屋だった。店名を言うと、職場の女性社員とその話題になり、今度買ってきてと話した店だという。転勤先の生活を満喫している様子。「何不自由なく暮らしてます」と繰り返し言っていた。

15時ごろ、福岡タワー着。「昼に来るのは初めて」らしい。「あそこが社員の○○さんの実家が持ってるマンションです」展望台で思わぬガイドを受ける。とにかく情報量がすごい。発信するから受信できるのか。福岡タワーは制服がかわいかったが、同じ柄のグッズは展開していないらしい。彼氏は土産物屋で呪術廻戦の五條悟のご当地グッズを買っていた。ご当地グッズに手を出すほど好きだったとは。16時、タワーを後にする。S君、思い出したように「大濠公園の中にスタバがあったんですか?」と昨日話したことをまだ言っている。この調子だと今週中に現地に赴いて確かめるだろう。知らないことをこうして既知の事実にした結果今のS君があるのだ。「ここが福岡のメインストリートで、朝の情報番組で毎日映ります」この話の流れで星座を知れた。かに座だった。

17時ごろ、博多着。「駅ビルでスイーツを買います」とコインパーキングに駐車して新幹線乗り場まで一緒に来てくれる。お土産を買う気はなかったが、「これおいしいです。ちょっと前に自分で買いました」ときな粉餅をすすめてくる。内心普通のきな粉餅だなと思ったが買う。「次来るときは言ってくださいね!コカコーラシート用意できますよ」「その時はS君もう転勤してるやろ」という、昨日から5回くらい見たS君と彼氏のやりとり。18時前の新幹線で帰った。博多では自由席車両もガラガラだったが、広島あたりで大勢乗ってきて満席になった。帰宅、風呂。荷解きも炊飯もそこそこに、日が変わる前に寝た。

f:id:decoi0222:20220310080618j:plain

f:id:decoi0222:20220310080224j:plain

f:id:decoi0222:20220310080707j:plain

3/7(月)
コーヒーをいれて、抹茶食パンを食べた。最近、ラジオリスナーが送ってきたメッセージを聞きたくない時がある。チャンネルを変えるとKitriの新曲が流れてきてラッキーだった。儚い声量がいい。とてもいい。家を出て、通勤電車の中で井出明『ダークツーリズム』を読んだ。地域貨幣が支配や拘束のために使われることがあるという話。西表島近くの鉱山で、ハンセン病患者の施設で。昨日電車の中吊り広告で老若男女の目がPマークになったイラストを見てぞっとしたのを思い出す。金の亡者を戯画化するときに目の部分を¥マークにしたりするが、ポイントの亡者だ。OsakaMetroで貯まるOsakaPointの中吊り広告だった。

職場にて、弁当のおかずはひき肉とじゃがいものソース炒め、金柑。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はごぼう天うどん。博多のマックスバリュで買ったミヤジマのうどんスープと、あとのせサクサクタイプのごぼう天を使った。つゆが関西より少しだけ甘い。食後、ツナとこんにゃくとにんじんと塩昆布で常備菜を作った。酒と醤油の味。また作ると思う。

3/8(火)
昨日思いのほか早く寝落ちしてしまい、6時半に起きた。明け方に見た夢でOさんが文章を書き続けるようにと、即興でラップをして激励してくれた。いい夢だった。お金を払ってもいい。コーヒーをいれて、黒糖ネオバターロールと春菊の辛子和えと目玉焼きを食べた。よく晴れているし時間もあるので洗濯しようか迷ったが、やめた。

井出明『ダークツーリズム』を読む。日本ではガイドが専門職としてみなされていないという話。夜中起きると、つけっ放しにしていたラジオから阪神大震災の被災地ガイドの番組が流れていたことを思い出した。地震発生より後に生まれた女性で、ガイドの父の指導のもと経験を積んでいる。伝聞口調で案内していると、言い切った方がいいと指導されていた。頭ではそうした方がいいと理解できるが、当事者ではないという遠慮があり、実際に言い切るのは抵抗があると話していた。

今日は最近つけているのとは変えて超立体マスクにする。KF94風マスクがゴワゴワしてしんどい。超立体マスクは表面積が小さくて軽いが、鼻息の対流が変わっただけのような気もする。

家を出て、通勤電車の中で荒内佑『小鳥たちの計画』を読む。

小鳥たちの計画 (単行本)

バンドをやめたヤナ(柳智之)とドライブに行く話がよかった。

職場にて、弁当はチャーハン、春菊の辛子和え、目玉焼き、金柑。タイガーバームを塗って頭痛を散らす。母方の祖母の香り。子供の頃はおばあさんの行動だと認識していたが、もう同じことをしている。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はおしゃれうどん(ウインナーと小松菜の焼うどん)。普段は白だしを入れるところをミヤジマのうどんスープにした。ちょっと甘くておいしい。食後、漫画配信サイトを巡回。ヤマシタトモコ『違国日記』。国際女性デーに読むのにふさわしい回だった。雑誌の何か月遅れかはわからない。特に言及はされないがチョン・セラン『フィフティ・ピープル』を手に持つ高校生が口にする、心の折れた医学部志望の女子生徒の話題。教師が、野球部員が、男らしさから降りるということ。ねむようこ『こっちを向いてよ向井くん』。向井につきつけられる、ベッドの上での女性の心持ち。圧倒的に力の強いものと対峙していて、評価などしていられないという指摘。

3/9(水)
コーヒーをいれて、黒糖ネオバターロールを食べた。いっぺん6時台に目覚めたのに起き上がれなかった。よく晴れている。ラジオからはモーツァルト交響曲第39番が流れている。

通勤電車の中で石橋毅史『本屋がアジアをつなぐ』を読む。

本屋がアジアをつなぐ 自由を支える者たち

やっぱり福岡で頑張ってブックスキューブリックに入っておけばよかったかな。

職場にて、弁当のおかずはだし巻き卵、小松菜、ぶりの照り焼き。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は白飯、豆腐と油揚げの味噌汁、ぶりの照り焼き。食後、マンガDAYSで椎名うみ青野くんに触りたいから死にたい』を読む。とても怖い。担当編集者と作家の対談も読む。これはいい対談だった。持ち込み、担当がつくとはどういうことか、制作、本誌掲載までの道のり。「青野くん」でツイート検索してみると佐藤勝利のファンのアカウントの投稿がたくさん出てきた。映画の公開が控えている。ひと月くらい前に雑誌のインタビューでキスシーンがあることを語っていたとかで、阿鼻叫喚の様相となっていた。佐藤勝利は25歳だが、キスシーンは初めてらしい。心の準備をする期間をファンにくれたと解釈している投稿もある。すごい世界だ。