0310-0316

3/10(木)
昨日も寝る体勢が整わないまま早い時間に寝落ちしてしまった。メガネもかけたまま、電灯もラジオもつけっ放し。したいこともできないし眠りの質もよくない。起き上がった勢いのまま立ち上がるとクラッとめまいがして一旦座る。そーっと伝い歩きで身支度。コーヒーをいれて、黒糖ネオバターロールを食べた。家を出て、駅へ向かう途中で通話中の女性とすれ違う。「おかしいのは…じゃなくて会社やろ!」強い口調。誰しもの勤め先がおかしい。…は聞き取れなかったが、おおよそ「ITSA」のような感じだった。改札を通った時、「医者」ではないかと思った。

通勤電車の中でサラーム海上『PLANET INDIA』を読む。

PLANET INDIA プラネット・インディア インド・エキゾ音楽紀行

どこがどうとは言えないが、ゼロ年代の本だ。装丁か?フォントの小ささか?一人称は「オレ」。ガツンとやられた演奏のどこに衝撃を受けたか、リズムなのか旋律なのか、楽曲なのか演奏なのか、そのあたりが具体的に書いてあっていい。

職場にて、まだフラフラするのでトイレの個室でうなだれていると、仕切りの壁の穴が目に入った。ペットボトルのキャップくらいの大きさで、塗装が剝がれて木目がちょっと見えている。もう5年以上前だが、とある社員がパンプスのヒールで蹴ったという公然の秘密。私も入社して数年はたまにタイル地の壁を蹴っていたことがあった。けっこう吸音するから大丈夫だと思っていたが、あれもバレていたのだろうか。今はもう試しに蹴ってみる気にもならない。弁当のおかずはツナとこんにゃくと人参と塩昆布の炒め物、かぼちゃ。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は鍋。具はつみれで作った餃子、春菊、ピーラーでスライスした人参、豆腐など。晩酌もした。プルーン、くるみ、かぼちゃ、カルディのケールチップス。ケールチップスはモサモサしてあまりおいしくなかった。チップスになってもなおモサモサしているなんてすごい葉の強度だが、それならロイヤルホストにサラダを食べに行くかなという食感だった。お酒はいいちこの緑茶割。飲酒しているにしては読書が捗った。

3/11(金)
よく晴れているので布団を干す。コーヒーをいれて、レモンチーズトーストを食べた。今日は通院のため午前休をとっている。

時間までイ・ラン『アヒル命名会議』を読む。

アヒル命名会議

9時半、病院着。ワクチン接種する人で待合室が混んでいる。傘立てに立ててある濃いピンク色の杖に「八重樫」と特大フォントのテプラが貼ってある。八重樫さんといえば冬目景羊のうた』で見たきりだが、今調べると岩手にルーツのある苗字なのか。10時、病院終わり。楽譜の出力のためセブンイレブンへ。駅とは反対方向の大型店舗。社用車がたくさん止まっている。いつ来てもここの店員は声出しをしっかりして真面目に働いている。楽譜出力後、棚を物色。ちょっと来ないとすぐ浦島太郎状態で何もかもが目新しい。ここは竜宮城だ。大型店なので品数も多い。ピーナツクリームまでセブンプレミアムで展開しているとは。食パン、木綿豆腐、納豆、冷凍ほうれん草、冷凍オクラ、冷凍アボカド、冷凍枝豆など買う。冷凍フルーツも豊富に種類があるのにレモンはなかった。店を出て民家の庭の梅を見ながら帰宅。

昼食は汁なし辛ラーメン。昨日の鍋のスープが足りず、ちょっとずつ水を足して加熱するとかた焼きそばのようになった。そしてライフの「ひら天」入り。数えきれないほどつくっているが、今日の汁なし辛ラーメンはうまい!トッポギにさつま揚げに似たものを入れると知って入れてみたが、大陸とはもともと地続きだったのだというおいしさ。

13時、出勤。転勤した同期が順調に自分の問い合わせを最優先してもらえることを疑わない弊社オッサンあるあるカスマインドを抱きつつある。おめでたい考えだ。

やがて退勤。図書館に寄る。「すみません、ラーメンを忘れたので取りにいきたいのですが」とどこかに電話する、備品のワゴンを自分の本の運搬のため大幅に移動させるなど奔放な利用者多数。そういえば日中は駅でループ再生されているアナウンスに「同じことばかり言うな!」と怒鳴るジジイ、電車を降りて即どこかへハンズフリー通話して舞台女優のような声量で車内で足が当たったとかで他の乗客と揉めた顛末を話す女性に出くわして面食らった。図書館を出ると春の匂いがした。カルディに寄って冷凍レモンスライスとショートブレッドを買った。帰宅、風呂。夕飯はセブンイレブンのジャークチキンサンド、春菊とナッツとチーズのサラダ。

3/12(土)
寝坊気味。飲まず食わずで出勤。

通勤電車の中で水木しげる『トペトロとの50年』を読む。

トペトロとの50年

図書館の水木しげる生誕100年記念特集ワゴンから借りてきた。終戦、帰国後の境港で描かれた、非常に陰鬱な画風のスケッチも収録されている。本編も非常に味わい深い。

職場にて、隙を見て黒糖ネオバターロール、ドライいちじく、ショートブレッドを食べる。黙々と作業。職場のスキャナーは私のスキャナー。

正午、退勤。セブンイレブンに寄って楽譜の出力、ジャークチキンサンド購入。帰宅。昼食はセブンイレブンのジャークチキンサンド、ポテトフライ(辛ラーメンと乾燥パクチーの味)、アボカド、ブロッコリー。チキンは良い香りだが辛くはなく、甘いマヨネーズがどっさり入っていておいしい。スパイスカレー好きとしては公言するのをちょっとためらってしまうような方向性だが、おいしいものはおいしい。夕食は厚揚げのトマト煮丼。ナンプラーとショウガ、粗切りトウガラシの味。これはまた作ると思う。

3/13(日)
目覚ましをかけていなかったが7時台に起きられた。コーヒーをいれて、コーンマヨトーストを食べた。8時の電車に乗って、9時前の南海サザンで和歌山市へ。指定席代金をケチるべきではなかった。往復切符の企画商品を買わないにしても(以前買ったときは特典を使うのがわずらわしかった)、普通に指定席を買えばよかった。電車の中で新聞を読む人が減ってよかったなという気になる往路だった。ロングシートに3人並んでワサワサワサワサ、非常に鬱陶しい。

10時前、和歌山市着。お腹が減っているがめぼしい店はなし。バスで和歌山城に向かう途中、古い商業施設の玄関のからくり時計が動いているのが見えた。10時ちょうどだった。後で来よう。フォルテワジマといって、元百貨店。バスを降りて和歌山城の敷地内へ入ると黒ずくめの男性に「こんにちは~」と言われ身構えたが、よく見たら忍び装束姿だった。忍者が城内を散歩している。子連れには印を結んで近づいていく。活動内容が気になったが、動物園へ急ぐ。ここはクジャクが見やすい。高さがあるが、クジャク舎が低いところにあるので上から覗き込める。ペンギンも見やすい。動物園の規模が小さいと全体的に距離が縮まる。あちこちに「エサをやらないで」「指を入れないで」と注意書きがある。ツキノワグマのベニーちゃんは冬眠中だった。

10時半、動物園を出て和歌山県立近代美術館へ。お腹が減っているがめぼしい店はなし。パンでも買ってそのへんで食べようとも考えたが、コンビニもない。「20世紀からおみやげ。––近現代美術のたのしみ」展では子供向けのガイドツアーと一緒になった。スケッチのモデルはどうして裸なのか?という素朴な疑問から、宗教画を描くにあたってヌードモデルの需要が生まれたことなど、割と突っ込んだ内容に触れていた。三島喜美代「パッケージ」は実物もパッと見は焼き物だとわからない。裾野は広く、奥行きもある。太田三郎の、被爆樹を切手シートにした作品は展示されているすべてが田中恒子寄贈。「コレクション展 2022-冬春 特集:若き日の野長瀬晩花」展は色鮮やかで明るい気持ちになった。本屋プラグラジオ学芸員さんが「カラッと」した女性像だと言っていたのがよくわかる。写真館でソロショットを撮影しまくったり、芸者さんのブロマイドをたくさん所持していたり、テンプレートのない時代の履歴書など関連資料も興味深かった。

13時過ぎ、フォルテワジマ着。狙った通りところどころバブリーな装飾があった。エレベーターホールの照明、ベンチひとつとっても今では手に入らなさそう。レストラン街には大きなシャンデリアがいくつもぶら下がっている。13時半、レストラン街のレストランで昼食。変な店員に当たってしまい、「リュック前にするの流行ってるんですか?」と声をかけられてゴミを口に入れられたような気分になる。真顔でいると「たまたまですか」と(自分のための?)助け舟を出されたので乗る。「たまたまです」電車に乗らない人なんだなと思った。空いていたので視界から他人が消え、しばし落ち着けたのはよかった。旅行中にはひとりになる時間が必要。14時、無事動くからくり時計を見られた。どんなからくり時計を見ても、扉の向こうに人形が消えていく時は悲しい。

30分以上迷って本屋プラグ着。店主の嶋田さんが配信やツイートで絶賛している七坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』。

老人ホームで死ぬほどモテたい (新鋭短歌シリーズ)

なんとなしに手に取った瞬間、手が滑って角から床へ落ちた。店内にいる人がチラッとこちらを見るくらいの音がして、恐る恐るページの角を覗き込むともう棚に戻せないくらいにはヨレていた。連れて帰れということだと解釈。たぶん上着を手に持っていたから注意力や握力が散っていたのだと思うが、意思を持って床にダイブするくらいはやってのけそうな手強さがある。

棚を見ているとメガネにリュック(私もそうだが)の男性が次々に入店してくる。まっすぐ古雑誌のコーナーへ向かい、サッと選んで購入。個人経営の書店にはお客にもカラーがあって面白い。

16時のサザンに乗って帰る。今度は指定席を買う。喫煙車だったころの匂いが染みついているのか臭い。17時大阪着。福岡の損保ジャパン福岡ビル、和歌山の和歌山県立近代美術館で黒川紀章のはしごをしたのでキャナルシティ博多と同じジョン・シャーディ設計なんばパークスを見て帰ろうかと思ったが、やめた。toibooksに行く。

ヨーゼフ・ロートウクライナ・ロシア紀行』を買う。

ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行

薄いから買えたのかも。あとクリーム色のページにきれいなフォントがのっていたことも購買意欲を搔き立てた。

夕飯はミスタードーナツで担々まぜ麺とドーナツのセット。野菜不足が気になるが、結局いつでもコーヒーと甘いものと辛いまぜ麺が好きなのだ。家でできるようにカップ麺を買っておこうか。

toibooksで買った松井玲奈『カモフラージュ』を読む。

カモフラージュ

森高千里はOLをしたことがないだろうにどうしてこんな歌詞が書けるんだろう、と「地味な女」を聴くたびに思うが、同じような気持ちになった。創作の可能性を感じる。こんなに他人に寄り添えるなんて。

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3/14(月)
夜中に雷鳴とどろき、ベランダの手すりに雨が打ち付ける音がしていた。起きてコーヒーをいれて、カニカマほうれん草トーストを食べた。昨日ほぼ野菜ゼロの夕食をとったことを後ろめたく感じている。

家を出て、通勤電車の中で保坂和志『魚は海の中で眠れるが、鳥は空の中では眠れない』を読む。

魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない

読むものがいっぱいある今読まなくていいや、最後まで読まずに返そう。

正午、退勤。昼食は菩薩咖喱でとった。移転先は民家。押し入れまでぶち抜いて開放的な雰囲気に改装してある。でも玄関の模様ガラスなど、随所に昭和の民家のディテールをちゃんと残してある。入店すると隣の席の親子連れの子供が「また女性(が来たよ)」とニヤニヤしながら父親をからかっていた。10歳そこらで女の人のことを女性と言っているのに驚く。その時店内は女性ふたり連れか、女性ひとり客ばかりだった。少しすると夫婦や常連風のおじさんが来店した。昨日のミスドディナーをチャラにすべく、存分にベジミールスを楽しんだ。

14時ごろ、cojica booksへ。店番の「山の上の本棚」風さんに「ノーブラZINE4」の納品。「山の上の本棚」はおふたりともそうなのだが、私にたくさんしゃべらせて下さり毎回大はしゃぎの立ち話となる。読み終えた『ふぇみん』、カフェ「まめすず」のマフィンなどおみやげまで用意してくださっていた。ものすごく嬉しい。

16時ごろ、おもちゃ屋の「よしだ」へ。フリーペーパーを置いてあると聞いて気になっていた。人気のない店内の一角にレコードプレーヤーがあって、拍子のないストイックな曲が流れていた。日に焼けて箱が退色したミニモニ。のおもちゃのキーボードやイーカラ(!!)などを見て楽しむ。目当てのフリーペーパーも獲得し、ゴム動力飛行機を買って店を出た。

17時ごろ、夢CUBEのカフェsoanで夕食。最近の発見、私はキッシュが好き。

帰宅後、また読むものが増えてしまったのでせっせと読むはずだったが、読書、ツイッター、LINEの返信など全部中途半端になる。昨日もそうだった。TMとのLINEの中で、ホール併設カフェのケータリング弁当の材料発注先予測、キッシュは見栄えがいいし場所もとれるから弁当の具として使い勝手がよさそうという推察などしてもらう。先月末に食べたケータリング弁当にまだ夢中。

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3/15(火)
コーヒーをいれて、マシュマロトーストを食べた。ラジオからはプロコフィエフのピアノ協奏曲が流れている。家を出て、通勤電車の中で西川清史『文豪と印影』を読む。

文豪と印影

カラーページも多く、これで2200円は安い。

職場にて、弁当のおかずはデーツ、6Pチーズ、カニカマ、天かすと青のりの炒り卵。

やがて退勤。帰宅、風呂。洗濯機を回しつつ、眠かったので寝た。21時ごろに起きて洗濯物を干す。夕飯はあさりとトマトとなすのスパゲッティ。冷凍揚げナスの油がオリーブオイルより勝ってしまい、レシピ通りしめじにしておけばよかったなという味だった。ラジオドラマ「鷗外 青春診療録控 千住に吹く風」に登場した鍼灸師の千葉さなが気になる。「ハッ!」とツボを刺激して粗暴な借金取りを撃退していた。

食後、弁当など作った後南森町三郎さんと暴力と破滅の運び手さんのスペースの録音を聴く。チャイコフスキーリサーチ。日が変わるころにツイッターを開くと、石山蓮華さんのノーブラZINEの感想投稿が目に入った。しばし呆然とした後、じんわりと胸中に嬉しさが広がった。

3/16(水)
コーヒーをいれて、フェンネルトーストを食べた。フェンネルは菩薩咖喱のレジ横に小袋に入って売られていたもの。名古屋KITTEのエリックサウスに行った時、在日インド人風の家族が一家団欒していたのだが、会計中に皆がこぞって手を伸ばして食べていたのがこれのような気がする。見た目はカラースプレー、香りはパンチがある。朝から異国情緒に包まれる。

家を出て、通勤電車の中で小林真樹『インド・ネパール料理』を読む。

日本のインド・ネパール料理店

北海道の覇王ギリ一族。苗字とカースト制度についての話題に移り変わった時、サッと自分の周りの空気が冷たくなった気がした。

弁当はツナと塩昆布のチャーハン、デーツ。

やがて退勤。スーパー1へ寄り道。野菜が安い!いちごも買う。ウインナーのパッケージから巾着部分がなくなっていた。帰宅、風呂。プチトマト、しめじ、しいたけを冷凍。きゅうりの塩もみ。夕飯は白飯、鶏むね肉の塩麴焼き、わさび菜、ヤングコーン、菜の花と納豆の味噌汁。

食後ツイッターを見ると、石山蓮華さんがCM出演の告知をしていた。ビオレのメイクの上からリフレッシュシート。こういった不安を煽る構造を持つCMに対しては即、心を閉ざしてしまう癖があるのだが気合いを入れて動画再生。いいねをつけようか迷っていると、連なったスレッドに別バージョンの動画が投稿されている。「こっちのバージョンはブブゼラも鳴ります!」迷わず再生し、笑顔になる。補助線のひき方が優しい!お仕事上メイクさんやスタイリストさんと関わりがあって、メイク用品のCMに出演して、「美容との距離」みたいなことを考え続けるのはエネルギーのいることなんじゃないか。私のように勝手に鎖国できないし、入ってくる情報量がケタ違いだろう。そんな方が私の書いたものを読んで反応してくださるとは。まだ信じられない。

23時半、やけにツイッターが重い。やがて、関東より東にいる方の「東日本大震災よりすごい」「電子レンジが落ちてきて中の回転皿が割れた」「停電してる」「停電しているかどうかをツイートすると居住地がバレて危ない」という内容の投稿が流れてくる。宮城と福島で震度6強の地震。首都圏含む広範囲で停電。たまたまラジオを切っていて、緊急地震速報を聞くことはなかった。ラジオがついていたらもっと怯えていたんじゃないか。それは警戒できるということでもあるが、あれを聞くのと聞かないのとで心持ちが全然違うことは覚えておく。