0721-0727

7/21(木)

起きてコーヒーだけ飲む。ラジオからはラヴェルのスペイン狂詩曲が流れている。フランスの隣にスペインがあることを知った。曲もラヴェルなのにスペインだった。出勤。駅の改札の脇でスーツ姿の男性が片膝をついてうなだれていて、駅員に「お客さーん大丈夫ですかー!!」とちょっと遠くから大声で呼びかけられている。パッと目を開けて何事もなかったようにスッと立ち上がった。その反応から余計心配になる。この人が家に帰れたらいいのに。

電車の中ではかどでんこ『大学生がバイト先でセクハラ発言を受けてから謝罪の会を開催するまで そしてそれから』を読んでいた。とんでもない労力をかけて制作されているのがわかる。時系列が整理されていて流れを追いやすい。「書面にした良さ」という章の「在った出来事を全て忠実に書き出せたという実感があったことで、私が覚えていなければという、自分への責任感が軽減した。」という一文は、日々日記をつける中で私が持っている感覚にかなり近い。自分の心情の表現には凄みがあり、偉いっぽい人の描写にも力量を感じる。お辞儀のシーンが印象的だった。

職場にて、弁当はうどん。市販のおろしだれ、オクラ、こんにゃくとピーマンとなすの炒め物、納豆も入っている。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は白飯、ゴーヤ豚汁、ささみカツ。「食べごたえあるささみカツ」という商品だったのに「桜島どりのささみカツ」という名前に変わっていた。小さくして違うウリを打ち出す。大阪府新型コロナウイルスの感染者数が2万人を超える。職場の同僚がPCR検査場送りになり、このまま一週間以上来なかった時のために代わりにある程度仕事をやっておく日々だった。昨日も今日も。別々の人だが、幸いふたりとも陰性だった。

7/22(金)

起きてコーヒーをいれてはちみつシナモントーストを食べた。

通勤電車の中では鳥山純子『「私らしさ」の民族誌』を読んでいた。

「私らしさ」の民族誌――現代エジプトの女性、格差、欲望

激昂した同僚に授業中の教室に乗り込まれ「あなたは私を理解すべき」と大声で避難されながら発言内容をノートにメモする筆者。すごい研究だ。

昼食は外出し、イーカスークでとった。スパイスカレー屋は金曜日に暇なイメージがあるが(Twitterで「ゆっくりです」と投稿して空いていることを知らせるお店がある)本当にゆったりしていた。会社の人に教えようか迷う。私が行かない日にじゃんじゃん行ってほしい。12時に会社を飛び出して走ってきたものの、結局私が食べてる間中待ちは出なかった。席はカウンター5席で手前にテーブル席がひとつある。ここでタトゥーがゴリゴリに入った3人の男性が昼から飲んでていかつかった。この人らは和やかに食事を楽しみ、ドリンクも頼んでいいお客だった。カウンターにカレー好きと思われる女性客が3人いて、みんなひとりで来ていて仲間だった。あいがけ副菜1種が1000円であいがけ副菜3種とダルが1300円。今日は山椒豚キーマと鶏ときのこの出汁カレーだった。副菜のえのきのスパイス佃煮はよそで食べたことのないおいしさ。クミンかな。副菜にはしっかり味がついている。ご飯はふわっふわ。トッピングにパイナップルとライタのパフェとあるのを見つけて途中で頼む。食べ進めた後だったので「デザートじゃないんですけど大丈夫ですか」と言われた。ライタといえばライタだけど、問題なくデザートだった。どちらにせよ超おしゃれ。フェンネルがのっている。

やがて退勤。コンサートへ行くか、美術館へ行くか。コンサートホールの前まで行って当日券が出ているのを確認したものの、お客が入場するのを見ているともっと人の少ないところへ行きたくなる。横の定食屋で夕飯を食べてからコンサートを聞く算段が、お昼に外食したことでお腹が空かず狂ったこともある。歩いて国立国際美術館へ。隣の中之島美術館の黒い立方体が見えてからが遠い。入口のガードマンは館内にいた。熱中症対策かもしれない。確かに外に配置する意味あいは薄かったかも。今まで外にいて、私を招き入れてくれたガードマンのことを思った。ここの消毒液はすごくいい匂いがするが、毎回そのことを忘れていて新鮮な喜びがある。夜間料金250円。今はコレクション展だからことさら安い。「近い場所/遠い場所」という展示。とてもよかった。ロシアの作家、沖縄の作家。後者は新収蔵品を中心に展示されていた。

帰宅、風呂。夕飯はオイルサーディンとなすとトマトのスパゲッティ。寝落ちして目を覚ますとラジオから白い巨塔の財前のテーマが流れてきた。昨日は小坂忠のインタビューだった。

7/23(土)

コーヒーだけ飲んで出勤。正午、退勤。職場の近くを散策。案外読書できそうなベンチがある。サイゼリヤで昼食。一人席に通された。オフィス街のサイゼリヤには一人席があるのか。ツイッターで知った盛り合わせ(チョリソー、ハンバーグ、目玉焼き、ポテト、コーン)と小ライスを頼む。サイゼリヤでなくても食べられそうだが、サイゼリヤにあるからいい。ドリンクバーに山ぶどうスカッシュがあり、パンがあり、にんじんサラダがあり、ラム肉料理があり、レフォールソースがあるサイゼリヤにオーソドックスな盛り合わせもある。人の好物を頼むのは楽しい経験だった。斜め前の席に褐色でガッチリしたスキンヘッドの男性がいて、海外の人はサイゼリヤで何を食べるのだろう、それもひとり飯で。と気になり、料理が運ばれてくるまで粘る。(日本で育った人なのかもしれないが。)温玉のせペペロンチーノとミニフィセルだった。

チョン・セラン『声をあげます』を読み終える。

声をあげます (チョン・セランの本 03)

ゾンビのはびこる世界で屋上部屋に籠城し、通りをいくゾンビの頭を屋上から射抜くアーチェリー選手の話。終わらせてやるため、好意を持っていた人から狙っていく。店を出て外のベンチで鳥山純子『「私らしさ」の民族誌』を読む。エジプトの職場では用務員のような男性がお茶も入れてくれる。筆者の職場では茶葉とクリーマーが共同購入だったが、購入していないのに遠慮なく茶葉も高価なクリーマーも使って嫌われるサラ。サラは周囲の人より裕福な家の出なのにそういうことをする。それはなぜか。というような話が続いてマスクの下で笑った。面白い。図書館に移動して本を返し、また借りてきた。帰宅、風呂。夕飯はお茶漬け。仕事の疲れがたまっていて、明日練習に行くか迷う。

7/24(日)

起きて洗濯してレモンマシュマロトーストを食べた。本屋プラグラジオの最新回を流しながら身支度や楽器の練習。昼食はツナキムチうどん。アマオケの練習が始まって終わった。行ってよかった。この週末について、数ヶ月前にドームコンサートなど大規模イベントがいくつも重なっていて電車が混雑するという注意喚起ツイートを目にしていた。不発弾処理のための運休も重なりかなりの混雑を覚悟していたが、いつもより空いているくらいだった。感染拡大も関係あるだろうか。

電車内ではキム・ヨンス『ニューヨーク製菓店』を読んでいた。

ニューヨーク製菓店 (韓国文学ショートショートきむふなセレクション 15)

韓国文学で物語の中に入っていけない場合、文化の違いが出ている箇所を探して楽しむことが多い。人生を語られると、遠慮しておきますと背を向けたくなる。訳者あとがきが面白い。帰宅、風呂。夕飯はオイルサーディン丼。ゴーヤを入れた。食後、また本屋プラグラジオを聴く。クワハリ『私の高校生活』特集。高1のクラスメートが有象無象であるのはブリコラージュの結果であるという読み。

7/25(月)

コーヒーだけ飲む。いまいち食欲がわかない。時間はあるのでベートーヴェン弦楽四重奏第15番の3楽章を流す。金曜に行った国立国際美術館のコレクション展。ミヤギフトシの映像作品の中で使われていたこの曲がずっと展示室内に流れていた(ここに山城知佳子の「大丈夫じゃないと思いまーす」という声が重なる。他にも映像作品はたくさんあるのだが、よく聞こえるのがこのふたつ)。

家を出て、通勤電車の中で河野真太郎『戦う姫、働く少女』を読む。

戦う姫、働く少女 (POSSE叢書 Vol.3)

素直という単語は率直と従属性をあわせもった単語で、少なくとも英訳することはできないという指摘。だからこの単語も、この単語で人を評価する人も好きになれないのか!

職場にて、弁当のおかずはきのこの目玉焼き。フライドオニオンもかけた。タマネギが高い間はこれでしのげばいいんじゃないかと思ったが、もっとスケールの大きな物価高が秋に控えているとどこかで読んだ。やがて退勤。100円ショップへ水筒を探しに行く。150ミリリットルと200ミリリットルで迷ったが、150にした。通勤時に脱水ぎみになるのを解消したく。朝自宅で入れて出勤、職場で入れて退勤。重いのはいやなので出発前にもなにかしら飲もう。カルディに寄ってスライスレモンを買う。レジでレモンチェッロをすすめられる。「今ならショットグラスがついていて、あと5セットなんですけど」カルディもこういう作戦に出ることと、それがレモンチェッロであることが面白くてへらへら笑ってしまって失礼なことをした。スーパーにも寄ったが、疲れていて買い物がはかどらない。砂肝ともやしだけ買う。

帰宅、風呂。夕飯は砂肝のにんにく炒め。レモンサワーも飲む。こうしてレモンレモンと書いていると、カルディの店員は全員に声をかけている訳ではなく、ある程度対象を絞って宣伝活動をしていたのかもしれないと思えてくる。思ったより酔いが回り、クルミとバナナチップス、カマンベールチーズを食い散らかして寝落ち。

バナナチップスにはパッションフルーツのジャムが挟まっているのだが、パッションフルーツの味がいつまでもわからない。一年目の男性社員が持っていたエナジードリンクモンスターのピンク色が「パッションフルーツとか、南国の味です」だと聞いていたので買ってみた。この人は最近目を合わせてくれなくなった。入力もれを注意したからのような気がする。私の統計上、男性社員は指摘を受けると変な拗ね方をすることがあって困る。ちょっと仲良くなったから大目に見てもらえることを期待するんだろうか。

7/26(火)

6時前に起きて日記を書いていた。食欲なし。粉末のディルスープだけ飲む。ラジオをつけるとモーツァルトのダブルコンチェルトが流れてきた。

家を出て、通勤電車の中で沼野充義編著『イリヤ・カバコフの芸術』を読む。

イリヤ・カバコフの芸術 (五柳叢書)

国立国際美術館所蔵の「天使と出会う方法」に関する作家のコメントによると、梯子は天使のいる高いところに登るだけではなく、天使に遭遇するために必要な危機的状況を作り出すためのものであることがわかった。パッと見ほのぼのした印象を受ける作品だが、1キロメートル以上の梯子をのぼるのは命がけ。ジオラマの中でもそう。

電車を降り際に、扉近くのモニタのニュース映像でサル痘の感染者が国内で確認されたことを知る。昨日買った水筒は150ミリリットルで足りた。すぐに補給できることが大事。職場にて、弁当はうどん。納豆とわかめが入っている。たれは市販。めんつゆを移し替えるとか職場に置くとか考えないでもないが、漏れや傷みを考えに入れるともう市販でいい。味も変えられるし。

やがて退勤。スーパー1へ寄る。おつとめ品コーナーにとうもろこしがあったので今晩はとうもろこしご飯に決めた。帰宅、風呂。夕飯はとうもろこしご飯、パプリカと牛ミンチの炒め物。酒と醤油とはちみつの味。炊けるまでモロヘイヤを茹でる。何度やってもモロヘイヤの雑草感というか、モロヘイヤの処理のままごと感に慣れない。食後、ツイッターで「がくへん」という顎変形症治療のルポマンガを読む。壮絶な術後の麻痺や腫れ。あと、加藤智大の死刑執行のタイミングが話題。

流している森田恭子のラジオに藤井フミヤがゲスト出演している。PATi PATiは全盛期のチェッカーズの特集を何十ページにもわたって組んでいたが、そのためにメンバーひとりにつきひとりのライターをつけてインタビューを記事を作っていたという。ちょっと読んでみたい。

いつの間にか寝落ちしていて、3時ごろに起きてweb連載マンガを読んだりスペースを聞いたりする。文学者が使える助成金の少なさを嘆く内容。

7/27(水)

全然起き上がりたくないのに起きる。ここ数日朝からお腹をこわしているのは冷えが原因だろうか。キウイとトーストを食べた。

家を出て、通勤電車の中で『私たちの「戦う姫、働く少女」』を読む。

私たちの「戦う姫、働く少女」

『戦う姫、働く少女』と一緒に借りてきてよかった。メイドカフェのメイドへのインタビュー内容がキャッチー。「感情を食い物にしてる訳だから」

職場にて、弁当はとうもろこしご飯、カニカマ、モロヘイヤ。

やがて退勤。なるべく人波に揉まれないルートを探す。帰宅、風呂。NHKFM19時のニュースにて、全国の感染者数が20万人を超え、過去最多を更新。炊飯している間にもやしナムルを作る。それととうもろこしご飯のおにぎりで夕飯が終わってしまった。寝落ちしたため。