0413-0419

4/13(木)
朝食、なし。昼食、仕出しの弁当。夕食、納豆スパゲッティ。

朝の電車の混雑がひどいので女性専用車両に乗ることにした。最寄り駅でホームの端までいって一番後ろの車両に乗り、着いたら先頭車両の方向へホームの端までいく。アホらしいけど本も取り出せないくらいの混雑に比べたらまし。21時前まで残業。今いるフロアに女性社員が6人いるけど正社員は私だけ。派遣社員に残業はさせられないので定時より後は女ひとりになる。さっさと帰りたいような、かえって気楽なような複雑な気分。前のフロアには正社員の女性社員がもっといたが、だからといって連帯できていた訳でもなくかえって孤独だった。正社員の女性社員に担わされる、というか期待されているシャドウワークがあって、それが嫌だった。派遣社員(有り体に言えばよその人)にしてはいけないとうっすらわかっているような期待を向けてくるのは甘え。もうパソコンの電源を落とそうという時、得意先の近くにある熟女専門キャバクラの話が聞こえてくる。看板が紫色にライトアップされているらしい。「スナックじゃなくてキャバクラなんすね」もう広げようがないからか、私がいるからか、20代の社員がさりげなく話題を変えて終わらせてくれる。

4/14(金)

朝食、バナナトースト。昼食、いちご、カリフラワー、カップたらこパスタ。UFOのたらこ焼きそば(背の高いカップに入っている)をカップたらこパスタと表現してみたが、9/8拍子みたいで気に入った。かやくをお湯の前に入れてしまうというミス。隣の部署のおっさんのしょうもない言い逃れで時間をとられたことに腹を立てていたら手順を間違えてしまった。でもこいつは後日見積もりを10万円ほど間違え、言い逃れできない状態に追い込まれることになる。あと、自席に戻ると「自分のミスやのにね」と隣の席の社員が言ってくれ、「訳の分からん理屈並べやがって」と思ったことを即、口にすることができた。こうして気にかけてくれるのもありがたいし、隣の社員が不在でも毒づくこと自体はとがめられない雰囲気がある。というか、半数弱の社員が毒づきながら次々降ってくる仕事に立ち向かっている(もう半数は黙って事態に向き合っている)。ここが前に本で読んだインドネシアのフローレンス島だったのか。スル(怒りのひとりごと)で怒りが内にこもらないようにし、周りは特にそれを拾わない。夕食、トマトとんこつラーメン。店主が知り思われるお客に、事業縮小について話している。ある支店は契約更新せずにたたみ、ある支店は信頼できる社員にゆずる。それまでに休業日も増やす。「頂上に到達して、あと降りるだけの登山に魅力を感じない」と持論を滔々と語る。味よし、手際よし、店員への声かけのタイミングと内容が適切、お客への声かけが定型文ではなく誠実な感じがする。そうか、ずっとここでこうして食べられる訳ではないのか。

通勤電車の中では伊舎堂仁『感電しかけた話』を読んでいた。

感電しかけた話

日常生活の中の「嫌さ」が作品になっていく。程度が小さいとツイートに、大きいと短歌や散文となって歌集に収録されていく。そういえば『トントングラム』に「普通に嫌な話」を納めた冊子をつけて手売りされていたことがあったな。ツイート、noteの記事、短歌、評論。すべてが好み。いしゃどうさんや作品について人と話してみたい。ここで言葉にできないのだから、やはり何も言えなくなってしまうのだろうか。

4/15(土)

朝食、しょうがクッキー、つばらつばら(「もちもちとした柔らかい焼き皮に粒あん」)、いちご。職場にいちごを持って行って自席で食べた。平日にもらって、食べる暇がなくて引き出しに入ったままだった和菓子もここぞとばかりに食べる。正午、退勤。昼食はiloiloのカレープレート。始めて行くお店が自分の好みだと嬉しい。10周年記念パーティ中で、民家を改装した小さなお店の中で店とつながりのある作家の展示、雑貨や服の販売も行われていて何が何やらわからず、関係者の子供が寝そべっているのを踏まないように2階に上がるとカレー好きと思われる人々が静かに食事をしていて安心した。私も持っているぬいぐるみ作家の作品もある!バスドラの叩く面を支持体にした絵がかけてある!BGM(店とつながりのある作家の曲)のCDが販売されている!お花が生けてある!まだカレーを食べていないのにどんどん好きメーターが上がっていく。カレーもよそのカレー屋とのコラボプレートなのだが説明は「ダルの上のトッピングが辛いので苦手だったらよけて下さい」のみ。どっちがどっちの店のかわからないがどれもおいしい。副菜のさくらえびや酢タマネギ、柑橘類のつぶが繊細な味わい。駅から少し距離のある住宅街の長屋に訪ねていく、という時点である程度マッチングが進んでいる気がする。「土日の昼はどこも混んでるのがわかってるからセイロンとか、大箱で提供の速いとこしか行かない」「新店はぜんぜん行けてないけど、今新店行く人って自分が育てた感が欲しい人じゃない?」カレーラジオみたいなお客がいてやや緊張感が漂っていた。この人はラッシーの感想を言って店員に「いい表現!SNSで使いたいくらい」と喜ばれていて、でもそっちは忘れた。食後に展示も見て服も買って、初めて行く店の10周年パーティを堪能した。もらったZINEは関係者の寄せ書きのような内容で、パーティの手引きになっていた。夕食はぶりとニラの炒め物。

電車では村上龍『MUNDIAL2002世界標準を越えて』を読んでいた。昨日、村上春樹の新刊が発売されたことにちょっと言及して「私はこっち」と龍の『ユーチューバー』を手に持ってツイートしている人がいて何も知らなかった私は書影を目にして大興奮の夜となった。

ユーチューバー

そこでとりあえず職場の本棚にあった20年以上前の本を手に取った次第。

MUNDIAL2002 世界標準を越えて―フィジカル・インテンシティIV

学生のころから通ってきたどの図書館にもなかったのか、サッカーの本だから避けていたのか、まだ読んだことがない作品だった。「わたし」「からだ」「うれしい」はひらがなに開いて表記していたか。しばし旧知の作家という感じを楽しむ。そんな感じはしていたが、あまりにも使いすぎていることを自覚し最近使いどきを見計らっている文型が村上龍のものであることが確実となった。また、物の考え方も影響を受けている。この、ずーっとシニカルな感じ。村上龍が私と気の合う作家なのではなくて、私が通読してそれを身につけたのかもしれない。物書きの影響力と読書の可能性について考えながら読んだ。恐怖に打ち勝つには恐怖していることを自覚しなければならないし、問題を解決するには問題の規模や大きさを把握しなくてはならない。このあたりのことはエッセイや小説で繰り返し語られていて心に刻まれている。

4/16(日)

朝食、なし。昼食、タイ料理屋の定食。ゴールデンウィークに旅行する面々で会食した。Tは一言も口を挟まず黙々と食事をし、完食。グループ旅行に何を求めているのだろうか。秋元康島崎遥香に、あらゆる言動、そして時には言動を起こさないという態度の動機がわからないといって「動機」という曲を歌わせていたのを思い出した。

動機(島崎遥香)

これのカップリングらしい。

やれテナガザルを見たいとか、銘菓は駅で買えるだろうけど寄れるものなら店舗に行って店構えや期間限定商品を見たいとか好きに発言したあと「今日決めないといけないことってあるのかな」と投げかけると急に話し始め、交通整理をしてくれた。その後アマオケの練習が始まって終わった。電車の中では『羊と自分が同じ延長線上にいる』を読んでいた。造本がおしゃれなZINE。モンゴル武者修行の参加者による文章をまとめてある。夕食、味の素のギョーザ、かるじゃが、ピンクロケットのトッポギ。カップトッポギはヨッポギのしか食べたことがなくて、他の銘柄にしようとピンクロケットのにした。全部投入した粉末スープの色を見て「あっ、終わった」と口から出た。だしの茶色とかではなくて、全部トウガラシの赤い粉だった。海外のインスタント食品をつくるときの心得、粉末スープは様子を見て入れるというのをすっかり忘れていた。完食すると明日、胃もお尻も終わってしまうがどうするか。ちくわもウインナーもじゃこ天も入れてしまったので捨てるには惜しい。口が痛いのを我慢してそーっと食べた。冷めると少し食べやすくなり、おいしい気もしてきた。ヨッポギは甘すぎ、ピンクロケットは辛すぎ。トッポギの餅だけ買ってきて辛ラーメンの粉で煮ると満足できるだろうか。

4/17(月)

朝食、はちみつシナモントースト。昼食、納豆ご飯、せりと卵の炒め物。オリーブオイルと塩の味。夕食、トマトパスタ。ツナとなすの炒め物の残り、トマトジュースを入れた。

通勤電車では引き続き村上龍の本を読んでいた。一番後ろの女性専用車両に乗るため、いったん空いている別のホームへ降りて端まで行ってからホームをうつることにした。

終業後、カロブックショップでサラームサラームのトークイベントに行った。日本でイランの作家を紹介したり、翻訳出版したりされているという方。旅の写真とみやげ話のスライドショー。とにかくイランのすいかがおいしかったらしい。「キットカットの赤と、お砂糖の袋の黄色と、お皿の青と。こういうちょっとしたところがおしゃれなんですよねイランって」「なんだかとってもいじわるそうに写ってしまったんですけどこの人はとてもいい人です」「動画の下に監督って私の名前がクレジットされてますけどこれは勝手に出たんです!」率直で親しみやすい語り口でマスクの下で笑顔になった。イランのお茶とお菓子つき。紙皿に干しぶどう、ヌガー、干菓子のようなもの、そしてデーツにくるみを挟んだお菓子が盛られていた。この紙皿が四角くて赤くてぱっと見では紙皿には見えなくてさすがだった。

帰宅してラジオをつけるとNHKFM「ミュージックライン」のゲストが松村北斗だったのでTMにLINEした。「まだとろろの話してる」などと実況中継しつつ一緒に聞くことができた。

4/18(火)

朝食、フレンチトースト。昼食、仕出しの弁当。夕食、たらこクリームうどん。通勤電車の中では先週から読んでいるサルの本を読んでいた。近年発見されたサルの見た目がどれも魅力的。色味、サイズ感など目新しい。それが新種ということなのだが。サンテールモンキー、ニジェールデルタアカコロブス、アルナーチャルマカク、キプンジ、ブロンドオマキザル、ビルマシシバナザル。あと、フランシスベーコン「ヒヒの習作」がかっこいい。

他部署にいた時は「若くてデスク回りが散らかっている」という印象しかなかったH君が、部署のムードメーカーになっていることがわかった。外回り先からも電話で屈託なく自分のことを話す。それをネタにして課長がフロアで話す。ある日は吉野家で大盛りを食べた後になぜか社用車でカップ麺を食べて胃もたれに苦しみ、コンビニのトイレで嘔吐。今日は車検の近づいた社用車のフロントガラスを割れたまま数ヶ月も放置していて、取り替えるには今日手配するしかない、そんな中出張してしまった。課長が代わりに奔走。それでいて業務上の声かけもいいタイミングでしてくれたりする。

4/19(水)

朝食、のりトースト。昼食、カオススパイスダイナーの3種盛プレート。夕食、とうふ。火を通したかったが料理法を何も考えられずフライパンに入れて温めて立ち食いした。

家を出るまで時間があったので舟越桂『個人はみな絶滅危惧種という存在』を読んでいた。

彫刻家・舟越桂の創作メモ 個人はみな絶滅危惧種という存在

作品の写真と創作メモで構成されている。直筆のメモ用紙そのものの写真ページもある。「亀田三兄弟の父親は三兄弟に謝ったのだろうか?」のメモを一番覚えている。もっといろいろあったのに。海外の女優の外斜視が美しいという旨のメモがあったのでハッとして作品ページを見ると、いくつか外斜視の人物の作品があった。なんだか妙に目が離せないのはこのせいか。数年前に兵庫県立美術館の展示室でスフィンクスのシリーズが異形で裸なことに面食らってしまって(『永遠の仔』の表紙作品のような、着衣のイメージが強かった)きちんと見られなかったことが今になって残念になってきた。もう一度見たい。

永遠の仔(三)告白 (幻冬舎文庫)

ブックオフによく行っていた時代にたくさん並んでいたから表紙の印象は強いけど、読んだことはない作品のうちのひとつ。

身支度をしながら配信ラジオ「当たりのこえ部」を聞く。大橋さんが好きな漫才師とインスタ上でやりとりし「全部かける、と思った」「時間、お金、全部」と発言していて凄みがあった。暮田さんは睡眠の質を上げたところ水道から出てくる水の模様が見えたという。言われてみれば水が描く線のようなものが出ていることがあるが、心に残る話だ。

職場のチャットのムカつく投稿のスクショを貼り「2ちゃんねる育ちをなめるな。テキストを投稿して無駄な時間を打破し、ゆとりをもぎ取るぞ」と自分宛にメッセージを送って他人には見えないところで息巻いた。溜飲の下げ方が10代の頃のまま。

正午に退勤してカオススパイスダイナーへ行った。カオスキーマパンジャーブチキンとゴアフィッシュマサラの三種盛り。スモールにしてガイヤーン(タイ風チキン)をトッピングした。パンジャーブチキンとどっちの肉かわからなくなってしまったが、どれもおいしかった。パンチのある味付けのカレーでお酒が進みそう。さっぱりした副菜や生のトマトが嬉しい。接客担当スタッフがふたりいて余裕を感じた。お冷やがかわいい水差しと一緒に出てくる、店を出る時ドアをあけて見送ってくれるなど。
その後図書館に寄るとムツゴロウの追悼棚ができていた。訃報はH君が職場でスマホに目を落として「あっ、ムツゴロウ死んだらしいっす」と言っていて知った。著作がこんなにあったとは。

いったん帰宅し、19時から21時までアマオケの練習。体力がなくてへろへろになる。集中力は保っていたかった。