布施にめぼしいカレー屋はないので(あるカレー屋ではカウンターに咳止め薬の包み紙が散乱、ゼロゼロ咳をしながらハーゲンダッツを食べている学生風の男がいて、「医者の薬は効かない、金儲けのための処方しかしない、市販薬のほうが効く」と話しながらスタッフの女性が買い替えたばかりのスマートフォンの初期設定をしていた。女性は私に「医療関係者の方じゃないですよね(笑)?」と言った。)タイ料理を探すと、高架下にベトナム料理屋があることがわかった。以前はSEGAだった巨大なゲームセンターを通り過ぎ、大阪王将を過ぎると薄暗い廊下に赤いベトナム国旗が下がっているのが見えた。やはり薄暗い店内で客席につくと、店員も先客も、店の前で入るかどうか逡巡していた男女ふたり連れも外国人だった。でも接客もメニューも日本語だった。すぐそばのモニタでミュージックビデオが流れていて、画面下部に「Love Forever」と字幕が出ている。歌詞ではなく、曲が移り変わっても関係なくずっと表示されていた。ミュージックビデオの内容は料理動画だった。大鍋に骨付き肉が投入されている。天満のアジアスーパーストアーの2階で流れている動画に似ている。フロアの真ん中に大きな業務用冷凍ストッカーが2個置いてある。蓋が上開きで、「群馬の兄貴」の記事で見たものに似ている。ベトナムの人は料理に骨付き肉を使うので、冷凍庫も巨大なものが必要だし、浴室では豚だって解体するだろうというような、一歩引いた論調だったのを覚えている。ナシゴレンらしき写真がA4サイズに引き延ばされ、「もち米」とだけ書かれている貼り紙があって若干不安になったがその他のメニュー表記は問題なかった。口の中を火傷していて上顎がずるずるだったのでつけ麺(ブンチャー)を注文。これが常温の食べ物の中でこれほどおいしいものがあるだろうかという味の良さだった。つけ汁の中の肉団子も揚げ春巻きも香りがよく絶品だった。また食べに来ないと。何人かいればいろいろ頼んで取り分けられるのにな。
14時前。布施の劇場の入口にはいつものおじさんスタッフがいて、「誰がお目当てですか」と尋ねてくる。以前「宇佐美なつさんです」と言った時は「なっちゃん。」と返ってきたが、今日は無言だった。ささきさちさんです。お金をおじさんに渡し、おじさんは券売機にお札を入れて女性料金ボタンを押し、出てきた入場カードはもらえないが入場はできるというシステム。そこから20時くらいまで夢のような時間が続いた。ここのフィナーレショーは衣装がバラバラなのが楽しい。ポラ用のミニドレスだったり、人によっては部屋着だったりする。かすみ玲さんのどこまでも続く長い脚、高いヒールのキャバミュール。その横の水咲カレンさんは澄まし顔でご当地スニーカーソックスで立っている。
先月、府内の別の劇場にガサ入れがあり、今日から再開。その影響でオープンショーとポラ撮影のルールが急に変わった。ポラ撮影時、踊り子に「それはダメなんです」と断られているジジイがいて、無理な要求をしているのかと緊張していたらルールの方が変わっていたのだ。ジジイは大人しく紙にポラネームを書き込んでいた。その際まつ毛がつくくらい紙に顔を近づけていて目が悪いらしいことがわかった。最前列の真ん中にいたので、オープン前から席取りをしたうちのひとりだろう。かすみさんと水咲さんはルール変更に全く動じずにポラ撮影列のお客を次々に捌いていて芸歴の長さを感じさせた。チップを渡すのを失敗してしまったからまた水咲さんのステージを見たい。伏し目がちに踊る姿はなぜかちょっとシュールで、ベッド入りして寝そべると雰囲気ががらりと変わってエロスが充満した。ささきさちさんは期待通りの圧巻のステージ。8小節間にわたって体育座りで膝に顔を埋めたままの静の場面と、曲中でどんどんテンポアップしていく動の場面。そこでか!というポイントで音を拾う細かい振り付け。表情も豊かで目が離せなくなる。
帰りに布施のイオンに寄った。生活圏内にイオンはないので久々で楽しい。ヨーグルトやザーサイなどのトップバリュ製品をカゴに入れる。そのうちに惣菜コーナーの商品にぺたぺたと半額シールが貼られていった。コロッケ、春巻。店内製造のピザ。生サーモンも。イオンには冷凍アボカドがあったはず。今晩クリスマスパーティをしてそれで終わりにしようと思い立つ。クリスマス商戦に辟易していて、でも無視することもできずどこで手を打とうか毎年悩む。好物の白いどら焼きに生クリームといちごジャムがはさまったものがパンコーナーにあったので広義のケーキとしよう。
帰ってコロッケと春巻を一つずつ食べて夕飯とした。寒いしさっさと寝ようと思ったのだ。
翌日の日曜。昼過ぎに起きてピザを二切れ食べ、夜はサーモンアボカド丼を食べた。月曜の朝に残りのピザを食べた。四種盛りになったパックと間違えて四切れすべてポテトベーコンマヨコーンピザのパックを買ってきてしまっていたが、問題なくおいしかった。月曜夜はまたコロッケと春巻。火曜朝は白いどら焼き。平日まで細切れにパーティーメニューを食べていた。
スニーカーの左の親指部分が破れたので縫って、100円ショップで買い求めた起毛の中敷きを入れた。入れてわかったのが毛が長すぎて滑ることと、右の靴底の外側が極端に減っていること。靴の外側からわかるくらい右足が靴底から落ちそうになる。足指のトレーニングとして踏ん張る。火曜の退勤時くらいには保持のコツがわかるようになった。トング型のサンダルを履いていた夏が数年前にあったが、シーズン初日から数日すると足指の感覚が養われてペタペタ地面にソールを取り残さずに歩けるようになったものだった。サンダルが規格通りだったのに対し、この靴は変な減り方をしているのでふとした拍子にズッコけそうで怖い。起毛の保温性はというと、なんとなくフカフカで温かい気はするが正直それどころではない。