202404某日

ユリイカ2021年1月号「ぬいぐるみの世界」

 

ジュニアのアイドルユニット「美少年」「ハイハイジェッツ」のメンバーを模したぬいぐるみ「はぴぬい」の発売が発表された。関西ジュニアのメンバーを模したぬいぐるみは「ちびぬい」として数年前に発売されている。待望の「ぬい」の発売に当該オタクらは色めきだった。米印のついた一文で別のグループのメンバーのぬいの制作、販売の可能性も示唆されていて界隈が祭りになった。(なお、数日遅れでぬいの実物写真が公開され、関西ジュニアのちびぬいの作画を期待していた人らは静かになった。)

ここ5年?くらいでヒト型のぬいぐるみがたくさん売り出されるようになった。そのモデルが二次元のキャラにとどまらず実在の人物に及ぶことを知った時の衝撃。記憶が薄れつつあるが衝撃を受けたのは確か。ヒト型のぬいぐるみについての論考はあまりなかった(全編再読はしていない)が、そこで綴られるぬいぐるみとの生活にはやはり新鮮な驚きがあった。

吉野俊太郎が彫刻研究の観点から草間彌生、そしてルイーズ・ブルジョワの「縫い包み」作品を取り上げていて、国立国際美術館のコレクション展「身体---身体」の作家と重なるところがあって得した気分になった。再読するまですっかり忘れていた。さとうかよを知り、ネット上のインタビュー記事を読んだ。そうしてホクホクしているうちに、5月12日までだったはずの「身体---身体」展が突然終了してしまった。出展作家もほぼ同じタイミングで知らされたという。理由は6文字、建物工事の影響。関連イベントも全て中止になることはブブ・ド・ラ・マドレーヌさんのツイートで知った。展示がよかっただけに公式アカウントがこの体たらくとはショック。これがまかり通ってしまうと今後発表される展覧会の、主には会期を一切信用できなくなる。数日経って浸水が起こっている等の続報が発表されたが、ツイッターでは無言でホームページのお知らせページのリンクを貼るだけだった。大学生の時に初めて足を運び、10年以上に渡って足繁く通っている美術館。現代美術が好きなので頻度は他の美術館より高い。初めて引用リツイートで文句を言った。

 

ユリイカ2020年9月号「女オタクの現在」

 

映画「成功したオタク」で評価されている、シスターフッド的な場面って何だろうか。確かにヨーグルトマッコリのシーンと、グッズのお焚き上げよろしくオタクの友達と思い出を語るシーンは大好きだが…。と思いながらクローゼットから出してきた。それで女が見られて消費されるしかなかった時代のことや、あらゆる点で語りづらかったインターネットの空気を思い出した(またしても、もともと持ってた本なのに内容や論点を忘れている)。私が実際に見たのはインターネット掲示板で気に食わない意見を封殺するための「長々と偉そうに言ってるけどお前女だろ」というような書き込み。そんな指摘が何を封殺できるのかと今では思うが、ぐっと言葉に詰まらせるような雰囲気があった。

しかし、オタクとして市民権を得て(購買力に目をつけられているともいえる)、消費する側に立って語る内容としては厳しいものもあった。このことは富永京子さんの配信ラジオで指摘されていて気づいた。顔と名前を出してお仕事されていて、堪えるところがあったという。「この人たちめっちゃ消費するな〜」「失礼ですよね?」お金を払っているから、時間を費やしたから何を言ってもいいのか?←この一文を書いてスト客と踊り子が頭に浮かんだ後、母親の顔が浮かんだことは書かずにいれば忘れられるだろうか。