20240410

10時45分から病院。待合室ではアンパンマンが流れていた。この時間に放映しているらしい。カバオ達が胡蝶蘭を持っている。鉢ではなく花のついた茎。やがて胡蝶蘭の精が登場。チャイナドレスを着た高飛車キャラ。バイキンマンに捕まったところで処方せんを渡される。

薬局を出て駅へ。奈良行きの電車は海外旅行客だらけ。国内旅行客は見当たらない。toi飲食店で昼食をとる。ダルは茄子も入ったベジカレーで、これが絶品。マサラ卵はつけダレにつかった状態で小皿に盛られてきてお得。タレは食べるラー油のようなおいしさ。大食いならご飯とラッサムをおかわりして卵とか副菜ひとつひとつを米粒と合わせて味わうのに。ヨーグルトソースも好きな味。あまりの美味しさに久々にTMにLINEした。そして「このチルいラップどうにかならんのかな」とBGMに文句を言いつつ、「いや、要求してはいけない」と思ったことを全部書く。

奈良公園は鹿も入り乱れる人種のサラダボウルのようになっていた。人混みに尻込みするがあちらがわに渡らないと南下できない。「人の多い道を!歩きたい!」といつぞやのMを降霊して横断歩道を走った。歩道より内側が公園なので広いところを歩けるし、春日野園地まで来ると人も減り気持ちいい芝生が広がっていた。悠々と寝転んでいる人もいる。駅からこの距離で旅行者にこんな空間を提供できるなんて、奈良もなかなかやるなと思った。

奈良市写真美術館まで歩く。場所によっては桜吹雪。そうか、満開を過ぎたら花びら舞う中を歩けるのか。住宅街とは思えない鳥の声の多様さ。ウグイスが何羽もいる。広い庭や裏山を持つ家が多いからか。写真美術館の特別展はアンジュン「重力へ」方向と座標。まずこちらを出迎えるのは高層ビルの窓から身を乗り出し、あるいは屋上のギリギリで撮影されたセルフポートレートのシリーズ。足が無造作に投げ出されているのに対し、手からは力みを感じることに気づいた。しっかり縁や手すりを掴んでいたり、空中にあってもこわばっていたりする。メインビジュアルにもなっている、屋上の縁から一歩踏み出そうとしているような後ろ姿をとらえた作品がとりわけ開放的な印象を与えるのは、両手片足がどこにも触れていないからかもしれない。手指も優雅に伸ばされている。高速シャッターで撮影されたという落ちゆくリンゴや石のシリーズ。あと波打ち際の鳥も眩い太陽の光が印象的だった。世界各国へ赴き、よく晴れた日を選んで撮影準備をする作家の姿を想像した。「god」や「yourself」などの禁止ワードをくぐり抜けて画像生成AIで制作された作品。作品からも、壁のパネルのテキストからも緊張感が伝わってきた。

15時20分、閉店時間を気にしつつ本屋itoitoを訪問。店員4名の小さなお店だが、共同経営店舗やイベント出店ではなくて独立していることを強く感じる空間だった。お客の荷物置き、BGM、雑貨。2つの棚にわかれて並ぶ「ヘルシンキ生活の練習」。ハンドメイドの文庫本布袋の販売。『その他の海外文学』の翻訳者、という本を買った。韓国文学作品は相変わらずぱつんぱつんに充実している。

16時過ぎ、ディアギャラリーナラへ。岩瀬ゆか個展「Through」。岩瀬ゆかさんのいつかの展示のフライヤー代わりのステッカーがホログラム仕様で、行くことはできなかったがなんとなく楽器ケースに貼ってある。今回作品を見ることが叶った。木漏れ日は最近なんだか好きなモチーフ。一番大きな作品は桜らしいが、様々な色味の作品があった。もし自室にあったら…しかし蛍光灯の下で見る気にはなれない。ギャラリーには強い西日が差し込んでいた。ふと、次は明るい部屋に住もうという考えが浮かんだ。