20240409

休みが増えると休みの前日が増える。代休をとるときは週末とつなげないで水曜日にとる。それで火曜のレイトショーを見に行く。「成功したオタク」を今上映しているのは心斎橋だけ。足を伸ばそう。そう決めて月曜に労働を終えて自宅に戻ると、ツイッターラニーノーズのオタクしゅんきの書いたnoteの話でもちきりになっていた。おすすめタブには関連ツイートが表示されるから、だとしても。読まずにいたい気がしたが「しゅんきのおばあちゃん」が気になったので読んだ。当該記事以外にもインパクトを持った記事があるようだ。しかし自分とは文脈を共有できていない人の書いた長文を読むのは骨が折れ、2つの記事を読んだところでブラウザを閉じた。初めての読み心地だ。過激で大胆な発言をしている自覚はあるが、賛同の声を集めたい。そしてそれを隠さない。

火曜朝。6時ごろに起きられた。いしゃどうさんのラジオトークを流そうと検索をかけて、その下に出てくる乾遥香さんのラジオトーク「伊舎堂仁を読む」をタップした。2周目、しかしまだまだ新鮮で面白い。「(顔見知りで何度も話したことがある仲なので)何か失礼があっても私が引き受けることができるので安心して聞いていただきたいのですが」とおっしゃっていたのが印象に残った。

やがて退勤。心斎橋へ急ぐ、ところであるがまたクリスタ長堀に吸い込まれてしまって映画の前に晩ごはんを食べるという計画が崩れた。スリーコインズを冷やかし、ブックファーストを冷やかし、ジュピターで散財、したかったがあらゆるものが値上げされていた。インスタントミーゴレンが147円。カルディは踏ん張ってくれているということなのだろうか。インドネシアのスナック菓子トリックスを見つけたので買った。先月ジュニアのユニット7MEN侍にいきなりCMの仕事が舞い込んで界隈が祭りになったのだ。自分は無課金無課金、ファンダムの周縁にいると思っていたがばっちり消費行動をとっている。映画館の椅子に腰を下ろして傍らのエコバッグから黄色いトリックスの箱がのぞいて初めてそのことに気づいた。場内のお客は10人足らずで、全員が30代くらいまでの女性だった。この人らは何オタクなんだろうか。

上映中、昨日見た富永京子さんの感想ツイートがずっと頭にあった。監督はオタクをやめた割に成功を捨てたくない、オタクと社会運動やファンダムの一番悪いところや有害さを相対化せずに描いていると感じた、という旨の内容だった。社会に生きる女性としての性犯罪者への要求か、オタクをやめてもとめどなく続く推しへの要求か。推しの性犯罪が明らかになった時監督はまだ学生で、週刊誌の記事を書いた記者への恨みを日記に綴っている。それを自室で時に呆れ、はにかみつつ朗読。この場面に限らず表情がくるくると変わって非常にチャーミング。ノートの「私はこの記者の名前を忘れないだろう。〇〇。」みたいなことが書かれた部分を大写しにし、ゴイ〜ンというドラのようなSEでオチをつける、と思いきやなんとその記者を飲食店に呼び出し、目の前で朗読していた!このつなぎ方は見事だった。顔を手で覆って大照れし、「謝りたい」と言うと記者が「感謝」してくれる。何もかもを見事なオタ芸に収束させていく監督の手腕、キャラクター、行動力、エネルギーに正直ちょっと引いてしまった(韓国語でもこういう文脈で「ショウジキ」と発音するようだ)。映画を撮る前、まだ高校生くらいの時に強烈なオタクとしてテレビのバラエティ番組に出演して(そこでも手紙を朗読している)ドッカンドッカンウケている映像も映画に使われている。評判の「死なないでほしい」のシーンでかかる音楽のドラマチックさに、かえって興ざめしてしまった。