0112-0118

1/12(木)

6時に起きてコーヒーをいれ、豆乳ドーナツを食べた。スーパーの肉売り場にいたお客のカゴに2個入っていて気になり、豆腐売り場で見つけたもの。味は普通だった。みかんも食べる。時間があったのでレスリー・カーン『フェミニスト・シティ』を読む。

フェミニスト・シティ

面白い。都市に暮らす人はイヤホンを使ってパーソナルスペースを広げている、女性はイヤホンをすることによって男性の相手をしなくてよくなることがあるという指摘。最高に楽しかった夜遊びにつきまとう「バカなことをしてしまったけど無事帰ってこれてラッキー!」という自己評価の低さ。女性がひとりで入って落ち着ける飲食店選びについて。入るまでにも逡巡がともなう。ツイッターで見かけたumeさんの投稿を思い出した。「ドアを開けられる人は何でもできる人」という持論を胸に、路に向かって扉を開いて外に「本のこうかんじょ」を設けておられるという内容。スパイスカレー屋めぐりが趣味になって開けられるようになったが、私にもドアが開けられない店、ドアが開けられない日がある。このことを忘れないでいよう。

家を出て、通勤電車の中ではよしながふみ『仕事でも、仕事じゃなくても』を読んでいた。

仕事でも、仕事じゃなくても

読書中ふせんを使う習慣はないが、忘れたくない一文が頻出したので用意して使ってみた。「この作品が一番好きだと言ってくださる読者の方が結構いらっしゃったんです。そのときに、読者と自分の感性が違うということがこんなにも自分を救ってくれるものなのかと痛感して」「一線を越えてないからと何もないことにされてしまったら、明らかに好きになっていた当事者は可哀そうだな」「漫画はある程度の巻数がないと、人と話したりコミュニケーションツールとして機能させるのは難しいというのはあって。そういう意味で、短編は自分だけの物語だと思うんですね。」「主人公側が嫌な思いをしたという話にすると、相手のことをフラットに描くのは難しいんです。」

職場にて、昼食は仕出しの弁当。昼休み、手紙を書くから住所を教えてほしいと送ったメールに返信が来ていた。この1年の間に新生活を始めているという。会ってどう寄り添ったらいいかわからない人には手紙を書けばいいし、こちらから連絡を取らずに関係が切れてしまうことを思えば内容が自分のことばかりになってしまっても構わない、と勢いでメールしたのだが、(たぶん)いい知らせが聞けてほっとした。あと、ここで悪い知らせがあってもちゃんと受け止める。先日のラジオ「ワールドロックナウ」で知ったSZAの楽曲を聴く。やがて退勤。図書館への通り道である大阪城公園大阪城ホールのライブ客で賑わっている。ほぼ女性。噴水や植え込みにはライブ前にひと息ついている人が鈴なりになっていて、ちょっと高さのある車止めにもそれぞれひとりで座ってコーヒーを飲んでいる人がいた。19時図書館着。20時前まで読み切れなかった本を読んでいた。21時前まで本を選んで数冊借りた。よしながふみの『愛すべき娘たち』を見つけたが借りなかった。手に取ってパラパラと中身を見た時に出てきた顔が全部怖かった。目も鼻の穴も口もカッと開かれていて気迫に満ちている。対談はあんなに楽しめたのに、作品を読もうと思えないのが不思議だった。お腹がペコペコの帰り道、駅のホームでポケットに入れていた甘納豆を食べようとするが、切り口がなくて開封できない。指先に力を込めて引っ張ってもビニール袋が伸びるだけだった。じっと手のひらの上の子袋を見つめる。わが子を喰らうなんとやらスタイルで食いちぎると開くだろうが、しない。帰宅、風呂。夕飯はご飯、大豆とピーマンの味噌汁、チキチキボーン。食後、手紙を書く。

1/13(金)

コーヒーをいれて、豆腐ドーナツと甘納豆とみかんとネオレーズンバターロールを食べた。ラジオからはブランデンブルク協奏曲が流れている。家を出て駅に着くと、ホームの人出が昨日までより明らかに少ない。乗り換えを繰り返しても同じたった。なぜだろう。通勤電車の中では『韓国女性映画 わたしたちの物語』を読んでいた。

韓国女性映画 わたしたちの物語

韓国女性のロングヘア規範について知った後だと、ペドゥナの90年代からの(比較的)短髪に意義を感じられる。

職場にて、取引先が協力しているという車好き女子ユーチューバーの動画を見て何ともいえない気持ちになる。「ぷっぷ~、ぬぬだよ~」「私でも簡単に交換できました~!」服装、言動など誰かに演出されているのかと思ったが、動画制作も自分で行っているようだ。毎日毎日取材して動画をアップしている人が視聴者より部品交換の手際が悪い訳がない。たとえ手の爪にネイルアートが施されていたとしても。需要に応えたらこうなるのかと脱力してしまう。弁当のおかずはハムエッグ、あさりこんにゃく。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は鍋。

1/14(土)

7時に起きてスコーンとハムチーズトーストを食べた。ピーターバラカンのラジオを流しているとチェロの音色が聞こえてくる。音の頭が必ずしもはっきりしていなくて躍動感がある。レイラ・マカラという女性アーティストだった。時間がたっぷりあったのでなんとなく稲葉通陽のファンのブログを見ていると、自粛期間中にぬいぐるみの服を作っている動画が紹介されていた。小さい頃からともに過ごしているクマのぬいぐるみの服。画面外でのおばあちゃま(そう呼んでいる!)の助けもあり無事完成。しかし着用させたところを映さない。「ショッキングな姿」「年中サマーカットみたいな」「ブルーちゃん初見のみなさまにはウーッてなるかもしれない」のだという。服の出来映えには満足していそうなので、普段の姿をサムネイルにして動画の最後に着せればよさそうなものだがそうではないらしい。

この日は神社にお参りに行って食堂でサバ塩焼き定食を食べバレーボールの試合を見て帰ってきた。雨でスニーカーが重い。足が濡れて力が出ないよ。結構楽しかったはずなのに沈黙が気まずかったとか、ムッとした瞬間のことが強く思い出される。寝かせたほうがいいかも。

電車内では佐原ひかり『ブラザーズ・ブラジャー』を読んでいた。

ブラザーズ・ブラジャー

父親の再婚相手が持ち込んだアロマディフューザーと柔軟剤で「鼻の逃げ場がない」冒頭から一気に引き込まれる。全員必ずひとこと以上はぐっとくるセリフを繰り出す登場人物達。紙幅が足りなかったのか急に聡明になる人もいた。

17時、ドラッグストアによって生理用品と厚揚げ、卵、投げ売りされていたマスク、インスタントコーヒーなど買う。帰宅、風呂。豆大福で休憩。夕飯はおでん。ラジオからはブラームスピアノ協奏曲第2番が流れている。あまり演奏機会がないのは50分という協奏曲の規格外の長さゆえか。条件条件、また条件(片山杜秀)。洗濯をして、Jに手紙を書いた。前会ったときに実家に猫でも置いてきたら?とおっしゃったの覚えてますか。妹がヒトを連れてくるみたいです。

1/15(日)

朝、フレンチトースト。昼、ヤクルトの袋ラーメン。夜、おじや。

13時から18時までアマオケの練習。電車の中では枝元なほみ『捨てない未来』を呼んでいた。

捨てない未来 キッチンから、ゆるく、おいしく、フードロスを打ち返す

今入力して思ったがすごいタイトルだ。内容も覚悟と責任感に満ち溢れている。藤原辰史との対談が入っている。2022年の読書を振り返っていた時、藤原辰史の単著を読んでいないことに気づいた。薄くて手に取りやすいこの本でつまみ食いできた。練習が始まって終わった。帰って晩ご飯を食べて、弁当のおかず用にれんこんとちくわのきんぴら、ベーコンと大根の炒め煮を作った。メールでMに愚痴をこぼすと「大変そう。逆に楽しい事って何?」と返ってきて笑ってしまった。いけそうだったら私も愚痴に対して「逆に楽しい事って何?」と返してみようかな。

1/16(月)

朝、ネオレーズンロール。ラジオ「かけクラ」では上野耕平が正月に新型コロナウイルスに罹患した顛末を語っていた。「あれから匂いがしません」「ずっと苦手だった硫黄の匂いがする温泉に行けるかも」「本当にそんなんなるんですね~」公共の電波でも笑って話せるようになったんだなと思った。

通勤電車の中では太田明日香『言葉の地層』を読んでいた。発話する時の身体のありよう、何のために言葉を発するか。地層の底のほう、あるいは層を形成する地そのものといえるような俯瞰した、大前提について考えを巡らせるひとときとなった。今日この本をリュックに入れてきてよかった。昨日の練習に来てくださった指揮者の先生が海外出身で、来日当初はこのような心細い時期があったことを想像した。「おフランス」と言っていたのには来日してからの年月を感じた。曲中のある箇所のことを「トリッキー」の日本語知らんけど(この日何回か「知らんけど」で笑いをとっていた)、とことわりつつ「トリッキー」と形容していた。日本語を母語とする私も「トリッキー」をそのまま使っているのでなんだかズルをしているような気になった。職場の上司が「ややこしい」とニヤニヤしながら言うだけで何も統一しないし手を打たないという場面を何度も見てきて「ややこしい」という形容詞が大嫌いになってしまった。それで「トリッキー」を代わりに使ってもただの言い換えではないか。攻略する気はあるという思いを一応込めているのだが。

職場にて、弁当のおかずはきんぴら、卵焼き、シューマイ。歯を磨いても以後ずっとシューマイの味が口の中に残る。ニンニクか?それだけではない気がする。昼休み、Aぇ!groupの楽曲を聞いてブチ上がる。サウンドクラウドにアップされている音源はほぼすべてライブ音源。帰り際、イライラしてアポロのやけ喰い。おじいさんがこんな感じで仁丹の容器をザッと振って手のひらの上にとり、口に放り込んでいるイメージがある。やがて退勤。帰宅、風呂。くたくたに疲れて帰宅した日の自分あるある、ラジオをつけたらやたらシリアスな現代音楽が流れている。夕飯はこんにゃくとピーマンとしいたけの炒め物丼。にんにくバター醤油の味。食べている間に曲はシューベルトに変わっている。グレートを聞きながら横たわる。関西ジャニーズジュニアの動画を見ていると河下楽と永岡蓮央が「男になる企画します」と言って紙コップに入った液体を飲んで苦い苦いと悶絶していて、中身がブラックコーヒーだった。ノニジュースのようにブラックコーヒーを使うとは。吉川太郎が登場して「俺なんで呼ばれたん」と言いながら涼しい顔で飲み干していたのもよかった。あるものでなんとかした結果ノニジュースより面白い。

1/17(火)

最近は朝起きてカーテンを開けても暗い。コーヒーをいれて、さつまいもと福豆とみかんを食べた。小分けにされた福豆はほぼソイジョイでは?ラジオからはエフゲニーオネーギンが流れている。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に後ろ髪をひかれつつ家を出る。

通勤電車の中では金原ひとみ『デクリネゾン』を読んでいた。

デクリネゾン (ホーム社)

表紙を見て食事の場面を期待した。冒頭数行で「このコクは何事!?」と驚く関西人が登場して満足。期待通りの『ミーツ・ザ・ワールド』のような外食小説だ!と喜んでいたらコロナ禍に突入した。年若い人の愚かさを可愛らしく感じること、流しそうめんの比喩。他作で読んだことのある感情や比喩が登場すると作家の、ペンを持つ手に触れられたような気になって嬉しい。村上龍作品の主人公が「アホのように」なり、たびたび「信じられないことだが」と驚愕しているときくらい嬉しい。

職場にて、弁当のおかずはきんぴら、鮭の味噌焼き。昼休み、ハサミグループの2022年ベストトラック記事に貼られた動画を見る。読書のBGMにするつもりだったのに釘付けになったのは梅本佑利「萌えx2」。ディファレント・トレインみたいなことを妹キャラのセリフでやってのける奏者は山澤慧。休符がなく、弾きっぱなし。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はツナマヨスパゲッティ。小松菜としめじを入れる。エスビーで間に合わせず、ちゃんとキューピーのパスタソースを買ったほうがいいという味だった。食後、日記を書く。寝る前に椎名うみ青野くんに触りたいから死にたい』の無料公開話を読んで震える。今まで読んだホラー漫画の中で一番怖い。ページをめくりたくない。青野くんが正気なのかどうかもページではなくコマごとに不安になる。こんなに恐ろしい「そこはだめ」があるだろうか。絶対にだめだ。

1/18(水)

今朝も暗い。コーヒーをいれて、ネオレーズンバターロールと福豆を食べた。ラジオからは天気予報が流れている。「今週の寒さは序の口です。来週に寒波がやってきます。」家を出て、通勤電車の中では金沢21世紀美術館で行われた展示『ぎこちない対話への対応策 第3波フェミニズムの視点で』の図録を読んでいた。弁当を持って行かない日はごつい本を持っていける(単行本+弁当と同じくらいの嵩、重量になる)ことに気づく。年明けすぐのイカれた乗車率もやや改善され、A5以上の判型でも読める。ミヤギフトシや藤岡亜弥など、展示を見たことがある作家が参加していたことがわかった。「私たちのいくつもの時間」は育児や家事によって分断された状態を言い表したもの。

昼食は仕出しの弁当。やがて退勤。帰宅してラジオをつけると博多で元交際相手に刺されて亡くなった女の人のニュースが流れてきて、立ったまま腰に手を当てて聞いた。犯人が捕まったらしい。風呂。夕飯は厚揚げとツナと白菜の煮物、汁なし辛ラーメン、金麦。ツイッターで流れてきた神田さやかさんの曲をかけると、アオツキやHOPKENのライブによく行っていたころのことを思い出した。

年末に職場に電話をかけてきた客のおっさんが「〇〇さんいる〜?」とタメ口をきいてきてダルくなり無言で保留ボタンを押して繋いだら社長にクレームが入り、課長より課全体に丁寧な対応をするようにメールでお達しがあった。普通の人と仕事がしたいと願い続け、普通の人でなくなってしまっている。いよいよダルくなり、もう失うものもないのでCcに社長を入れっ放しで「タメ口に面食らって何も言わずに保留ボタンを押してしまいました」「無言で保留ボタンを押してはいけませんが、いまだに全然電話に出ない人がいるのは納得できません」「さすがにアホみたいなんで指導をお願いします」と我ながら接続詞の前後に無理のある返信をすると電話に出るように言ってもらえることになった。今まで何回言ってもなかったことにされたのに。外圧の力だ。空気を読むのもメール文を練るのも本当にアホみたいだ。社長も入ってきて「まず〇〇さんはうちの社員のことを友達か何かだと勘違いしています。」とまで言い出して客ごめんな、外圧をありがとう。