0209-0215

2/9(木)

時刻を確認しようとタブレットをつけると7MEN侍の歌う「ここに」が流れだした。そういえば昨日寝る前にサウンドクラウドのリストを流していた。レモンサワーのせいか、中華わかめの食べすぎかでお腹の調子が悪いがなかなかいい目覚め。ラジオではクララとブラームスの「深い親交」についてのエピソードが語られている。シューマン精神疾患で消耗しているクララのために作曲したのが「シューマンの主題による変奏曲」。今朝はまた冷えたのでダウンを着て家を出た。職場の朝礼が形骸化して久しく、オッサンの口から出る有益な情報は天気予報の受け売りの予想気温のみ。

通勤電車の中では荒井裕樹『凛として灯る』を読んでいた。

凜として灯る

職場にて、専務から会議室に呼び出し。ここにきてようやくまともに会話できる人間が出てきた。落ち着いた口調で、こちらが黙り込んでもじっと待っていて、時には笑って見せたりもする。異動しますと言いそうになったが行かない、行かないと心の中で唱えながら必死に耐えた。行ったら潰されるから辞めたほうがましだが、辞めるのがシャクだからゴネているのだ。辞令を受けないと出られないのか?というくらいの時間が流れる。「よっぽどの理由がないとこちらとしても対応が難しいけどまた話し合う」と告げられて解放された。一時間経っていた。終業前に用事があって他部署のフロアへ行くと、ブースの中に課長と話をしている女性社員の後ろ姿が見えた。「最寄り駅はどこ?」と尋ねる声。何が話し合いだ。手当たり次第に声をかけているだけではないか。すぐにばれる嘘をつくのは失礼。会議室の中では専務の威厳に気圧されて姿を消していた怒りの感情が湧いてくる。「それだけの理由だとさびしいなあ」と話を聞くふりをして、「まずその言い方では伝わるものも伝わらない」と口を封じてくる。かばい合いをしている人間のことをかばい合いしていると言って何が悪いのか。そこまで言わせた側に非はないのか。返答に困ると「言い方」「言葉遣い」へと論点をすり替える。お互い時間をとっているのに、詳細について話せなくてもいいのか。 やがて退勤。帰宅。ダウンジャケットも脱がずにフローリングの床に立ち尽くす。とにかく動こう。ラジオをつけるとトルコの地震のニュースが流れてきた。もうすぐ発生から72時間。風呂に入り、上がってまた立ち尽くす。食欲はあまりない。何かで頭がいっぱいの時、食事が後回しになるところが矢花にハマった時と同じ!これは危ない。スパゲッティナポリタンをつくって食べる。得意料理なので何も考えなくても勝手に手が動いて同じ味になる。というかマーガリンとケチャップしか入れていない。食後、ブログをアップしてYoutubeでジャニーズジュニアチャンネルの動画を見る。「かわいい~!」と声を出して反応しており、また一段階深みにはまっているのを自覚。

2/10(金)

いつまでも明るくならないので6時台のような気分でいたが、刻刻と家を出る時間が近づく。コーヒーをいれて、ピーナツバタートーストを食べた。

通勤電車の中では大竹昭子『旅ではなぜかよく眠り』を読んでいた。

旅ではなぜかよく眠り

しかし、目が滑って頭の中にあまり入ってこない。少なくとも今の部署からは異動になりそうなので引継ぎのことで頭がいっぱい。職場にて、チャットで情報収集をする。頭の中で「自分が見えてるものだけが本当のことだと思ってない?」という昨日の専務の声が響く。「仕事が嫌で辞めた事務員さんは一人もいません」。ヒアリングが機能していない。この状況を見てどうしてそう思えるのか。思っていないが、立場上そういうことにしておかないといけないのか。それで離職率を下げられるのか。採用活動がずっと難航しているのに、なぜ根本的な改善をしないのか。昼食は近所のカレー屋のダルバート。先週とは客数が全然違い、ひっそりとした店内。小雨が降ったりやんだりしているだけでもこれだけ影響が出るのか。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は袋麺のいわしククス。トマトもしいたけも冷凍庫に常備してあるのでパッケージどおりの具の入った一皿ができるのがいいところ。

2/11(土)

11時から美容室でカット。コロナ前から通い始めて数年、「ちらほら白いのがありますね」と遂に言われた。「そうなんですよね~」「(笑)これ増えてきたらどうするんですか?」わからない。「カラーと白髪染めは別物なんですか?」この問いかけはなかなかうまくいった。「カラーの中に白髪染めできるものとできないものがあります。」「まだ本数が少ないうちは髪の傷まないヘアマニュキュア―これはカラーとは全く別物なんですが―でしのぐという手があります。」それでいこう。20代はずっとセルフカットだったが、この時のために美容室に通い始めたのだ。情報が集まってくれば怖くない。抗う気もないのに、と自分では思っているけれども、老化に対する恐れがずっとある。職場の40歳くらいの人のことを「30歳から顔が変わっていないように見える」と羨んだ時、後輩が「え~、でも絶対注射とかしてますよ~」と言ったのを聞いて霧が晴れたように明るい気持ちになったが、その時の心の動きに似ている。抗いようもない変化が、あの人には訪れていない変化がやがて自分に訪れる、という誤った認識が正されたというか。そうか、注射をすればいいのか。昼食はベトナム料理屋でとった。アオザイを着たスタッフの足元が厚底スニーカーで、よく合っていて可愛かった。いらっしゃいませ、と声をかけられてからずっと接客してもらっていたのに、そういえばスニーカーだけ流行り物なんだなと食べ終えてから気づく程だった。バインミーと生中のセット、ベトナムつけ麺。香ばしく焼けた豚バラ肉、甘酸っぱいつけ汁。麺がビーフンなのでパンの後でも入る。米の国最高!この店以外この駅には用がないのだが、行った甲斐があった。 その後展示を4つ見た。

カロブックショップにて池内美絵展「11年と近年と最近」 。作家の髪の毛を編んで作られた蛇が2匹展示されていた。黒が2013年のもの、白が2022年のもの。今日は白髪記念日のようなものだな。指先に乗るくらい繊細な作品が、手のひらに乗るくらいの布張りの小箱に入っている。じっと見入ってしまう説得力は、確固たる制作技術によるものだろう。

Yoshimi Artsにて「井田照一 PAPER WORKS 1980s 」。ここのスタッフは見始めて10分くらい経つと、そっと声をかけてくださる。「その裏側に石が貼り付けてあります。下から見えますよ」「繊細なつくりに見えますが、しっかり作ってあります」。入口からは見えないところに小さなスペースがあり、進入して作品の正面から見ると「輪の中の罠」の罠部分の赤色が見えてくる。横から見るだけだと真っ黒な作品に見える。あまり知識がないなりにこういうことに気づくのが楽しい。

The Third Gallery Ayaにて「児玉房子の「大阪」」。昭和のある時代までは路上にゴミが落ちていて汚かったというのは本当だったのか。もう少し後のカラー作品も見てみたい。ドーンセンターに写真集があるか探してみよう。

シカクで「インディー・ブックス・ライブラリー」。点数は少ないが、店主の大切な私物の数々が展示されている。もったいなくて開封できず、複数買えばよかったと後悔しているという缶詰に入った読み物も。ゼロ年代のものもあり、もっと早くリトルプレスにはまっていればな。今自分の手元にあるもの、これから手に取るものに思いをはせるひとときでもあった。店内では先週に引き続きmameの個展中。作家も在廊。閉店間際の時間帯ではあったが静かな熱気に包まれていた。「アナログで描いてるんですけど、デジタルに移行しようかと思ってて…絵柄古いって言われるし…」「え~アナログいいじゃないですかアナログが一番ですよ~」イラストレーターであるとか、目指しているファンが相談したりもしていて、初日とはまた客層が違う感じだ。作品のどこかに花が描かれていて、女の子がいるお店や部屋、家具には昭和の香りがただよっていて、よくわからないがじーんとした。グッズも豊富で買って帰ろうか迷ったが、買いやすいものは絵から女の子だけ抜け出てきたようなデザインになっていたので見送った。私にとっては背景ありきの「じーん」なんだろう。

最後にスギ薬局に寄る。これからしばらく、食事に迷わないように、食べ慣れた好物を用意できるように。粉末のカフェラテ、食パン、千切りキャベツ、総菜パン。いつも卵パックが陳列されているワゴンは空で、供給が不安定で入荷が遅れると貼り紙がしてあった。帰宅、風呂。夕飯は納豆スパゲッティ。3連パックがまるまるあったのにさっきまた買ってしまったので2パック使った。三つ葉も入れた。

2/12(日)

朝、シナモントースト。昼、小エビと三つ葉のスパゲッティ。レモンとにんにくとオリーブオイルと塩の味。おやつ、コーヒー羊羹。夜、セロリのおかか和え、ブラックペッパーチーズ、金柑、さつまいも、ライスペーパーピザ。いいちこのお茶割も飲んだ。 昼前に起きて読書、ツイッター、星占いサイト巡り、枕カバーの補修というか改造などしていた。

読んだ本→ユニクロのカタログ、工藤美代子『写真妻』、手条萌「ポストおひとりさま時代の遊戯論 非生産的遊びのススメ」

カレー好きに向けられる世間の目を意識してスパイス&ハーブ検定を受けることをやめ、全く違う資格を次々取得することにしたという、検定試験の章の締めくくりが素晴らしい。「統合されていなさとは、自由のことであり、教養のことである」。始めてこの日記ブログの感想を下さった方が「何クラスタかわからない」と面白がって下さった時の誇らしいような照れくさいような、ほかほかした気持ちを思い出した。

聞いたラジオ→本屋プラグラジオ最新回、オーケンオールナイトニッポンプレミアム、石山蓮華のあだぷと

オーケンがハマっているという、小向美奈子ツイキャスの話を本当に楽しそうにする。イキイキしていた。サイキック青年団のゲストで登場した時もこんな感じでその時々のハマりものについて話していた覚えがある。ポッドキャスト聴いてみようかな。

2/13(月)

カフェラテを飲んで、チョコ&コーヒービスケットを食べた。通勤電車の中では池内美絵の対談本「生きるためのなにか―とっかかりとして」を読んでいた。嵯峨美大付属博物館での個展に合わせて作られた冊子。ヤスデに始まってヤスデに終わる。絶対面白いのに個展の相談の場で「気持ち悪い」で終わらせて取り合わないなんて博物館側にセンスがなさすぎるんじゃないかと思うが、池内さんが作ったカードを読んだ後だからそう思うだけなのか。職場にて、朝イチで部長から呼び出し。異動先が決まった。ゴネたらマシなところに変わった。何が「解雇されるかもしれないよ」だ。何が「話し合いの結果」だ。ずっとそこで建前づくりに勤しんでいればいい。弁当のおかずはカニカマと小松菜の炒り卵、セロリのおかか和え、金柑。昼休みはジャニーズジュニアのパフォーマンス音源を聴いていた。ネット上にはワンハーフ(ワンコーラス+大サビ)のものしかない。しかしそれに救われている。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は総菜パン「大きなハムタマゴ」と巣ごもりキャベツ。土曜に買っておいた好物。食後、NHKFM青春アドベンチャー」で僕のマリ「常識のない喫茶店」がラジオドラマ化されているのを聴く。主人公マリの回想シーンがキツかった。クレーマーに消耗させられて職場に行けなくなるという場面。家なき子放映当時からずっとそうなのだが、ドラマの導入部分でつらい目に遭っているシーンで脱落しがち。小説なら読めるのだが。連載のリズムに自分を合わせられないのかもしれない。

2/14(火)

起きてカフェラテを飲んでピーナツバタートーストを食べた。無心で朝食を用意できるように粉末のカフェラテと食パンを用意しているのだが、今の食パンは超熟なので無心で食べるともったいない気がする。ここ一か月くらいすっぴんマスクで出勤しているが、そろそろベースメイクくらいしてもいいような、別にしなくてもいいような気分。ふと思ったこと。化粧の技術もないしノリも悪いし、マスク姿の顔面が自分の出せる中で一番おしゃれなのでは。今一億総マスクだからそういう自己評価になるのか?マスクを外すタイミングくらい自分で決めようと考えているが、結局周囲の人々の着脱に左右されるのか?家を出て、通勤電車の中では川内倫子『そんなふう』を読んでいた。

そんなふう

大げさでも嘘くさくもないのだが、果たして子育てはこんなに穏やかで喜びにあふれたものなのだろうかと疑ってしまいたくなるような文章と写真。作者が出産したときに周りの育児中の女性から「楽しいことばっかりだよ」と暖かく声をかけられたエピソードを読んで、通底するメッセージはこれだと思った。

職場にて、昼食は仕出しの弁当。

もう5年以上前に、辞令が出てから異動を断った社員の名前の書かれた「降格のお知らせ」というPDFファイルが全社配信されたことがあって、断ると決めてからその紙面がずっと頭にあった。当時はギョッとしたが、どれだけ揉めてもあれ以上の制裁は加えられないだろうという目安になっていた。新卒で入社して2年目の終わりに地方への転勤を言い渡され、それを断ってほどなくして退職。そのPDFの話を後輩としていたら「こないだ数年ぶりに連絡きたと思ったら『まだそこいてるん?俺今、年収700万あるで、今年は営業成績会社でトップやからもっと増えると思うわ(中略)奥さんと離婚しかけてるから女の子紹介して』って言われてまじきもいなコイツと思いました」とメッセージが来た。こんなにどうしようもない人間に助けられることがあるのか。

帰り際、 (30)「お前のバイク売ったらチョコレートたくさん買えるぞ」(23)「いやいや(笑)」(30)「チロルチョコやったら山ほど買える」(24)「チロルチョコ溶かして固めたらバイクより大きくなりますよ!」という会話が聞こえてきて自分より若い人がこんなに面白くなくていいのかと驚愕。Aぇ!groupが面白すぎるのか?じゃれ合うにしても中身のなさに限度があるだろう。何がそんなに嫌なのか。一番年下の社員の買ったばかりのバイクをないがしろにするという男社会のノリか?独身の男はバレンタインにチョコレートをたくさん手に入れたがるものという前提か?

やがて退勤。太陽のトマト麺で夕食をとった。するぞ外食!食べるぞ好物!店を出て駅前でズボンのポケットから定期入れを取り出した時に何か落とした気がして、でも足元に何も見えなかったのでそのまま改札を通ってしまった。この時、ポケットに耳栓を入れていたことが頭にあると見つけられただろうに。電車内で思い出してポケットを探るが、片方しかなかった。キャンドゥに寄って耳栓を購入。向かう途中でエスカレーターに乗っているとコムサイズムの店先に父母娘息子のマネキン一家がいるのが目に入る。子供の入学か卒業か、フォーマルスーツ姿。紺色スーツ父が先日面談した専務とダブって息がぐっと詰まる。私の中では紺色スーツといえばあいつなんだな。背が高くてスタイルがいいのもある。キャンドゥでも、隣の喫茶店でも閉店間際の穏やかな時間が流れていて、店員がニコニコ笑い合いながら閉め作業をしている。地下とはえらい違いだ。バレンタインのチョコレートを用意し忘れたのか、足りなくなったのか、お客も店員もザワザワしていた。しばしキャンドゥの、喫茶店の店員の自分を想像した。

2/15(水)

カフェラテを飲んで、福豆を食べた。家を出ると雪がちらついている。昨日太陽のトマト麺で見たテレビの天気予報、なにが日差しチョコッとだ。真面目にやってくれ。通勤電車の中では大竹昭子『旅ではなぜかよく眠り』を読んでいた。書き出しから引き込まれる情景描写。ドライな筆致、読点のリズム。出勤、虚無の朝礼。辞令が出たが、同じ仕事をしている隣の席の同僚も他部署に異動することがこの時になってわかった。同僚が黙っていた訳ではない。私には事前に内示があったのに同僚にはなし。例によって現場に負担がかかるばかりの不可解な辞令。弁当はシーフードピラフ、卵焼き。本屋プラグの嶋田さんが喫茶店で頼むシーフードピラフはバターを使った焼き飯で、紅生姜と海苔が添えられているというのを聴いてつくってみた。午後、「異動されるんですね、がんばってくださいね」という声かけでガックリ。現部署で引き継ぐ、新しい部署で待ち構えている、あらゆる業務に対するやる気がゼロに近づいた。やれと言われないからやらないだけで、ちょっと指導されたらもっと動けそうだけどなと思っていた新人。正社員採用されておいてやれと言われないからやらないことを、サボっていることによって他人、しかも同期に負担がかかっているのを見ないふりをすることを、学生バイトのような幼いチョケ方をするのを、こんな時だけペラッペラの内容の声かけをしてくることを断罪してやりたい。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はセロリ人参しゃぶしゃぶ。何かを洗い流すようにSnow Manの動画を見まくる。ようやく9人の顔と名前が一致。