0310-0315

3/10(金)

朝、はちみつシナモントースト。昼の弁当のおかずは鶏肉のポン酢煮。夜、まぜ牛めし。通勤電車の中では岡本かの子『家霊』を読んでいた。

家霊 (280円文庫)

「鮨」の、偏食の子供がもつあらゆる食べ物への抵抗感、食事の際の憂鬱が手に取るようにわかる。私は食べられないくらい嫌いな食べ物がなく、食を楽しみに毎日を送ってきた。物心ついた時からずっとそうだったので偏食を理解できず、心のどこかで矯正すべきものを放置しているだけだと思っていたところがある。彼氏と食事を共にしていてその考えは違うとなんとなくわかってきたが、決定的に改まるような読書体験だ。 出勤、やがて退勤。松屋で夕食。牛めしの具、キムチ、温泉卵、のり、ネギ、そして「ピリッと辛い鶏白湯ベースの絶品まぜダレ」が入った「まぜ牛めし」。発売時にネットで見かけた写真でほぼ(リニューアル前の)ビビン丼だということがわかっていて注文したのだが、食べている間じゅうずっと「このドゥルドゥルは何なんだろう」というモヤモヤが消えなかった。「(前略)まぜダレ」ではあるのだが。ビビン丼にはビビンバというゴールが設定されているが、まぜ牛めしに設定されているゴールが私には見えていない。もうリニューアル前のビビン丼のことを追い求めたり考えたりするのはやめようとしているのにまた書いてしまった。松屋から出た足でファミリーマートへ行きファミポートで大フィルの定演のチケットを発券した。た。周囲に複合機を使いたそうな客がいなかったので座席表も出して選んでみる。表の全体が表示できないらしくよくわからなかったが、ものは試しだ。その後カロブックショップで映画「ほなね」を観た。大力拓也展のイベント。自分が旅先で見られたら嬉しいものの詰め合わせ。しかも同行者の気のきいたコメントつき。というような作品で大変ほくほくした気分になった。旅先のシーンは10日間滞在して撮りためた中から選りすぐったという。大変ありがたい。太郎のおじさんが旅先で撮ってきたビデオを太郎と画面共有してスカイプで見ている、という設定も絶妙だった。帰りに駅のホームで男性が電話で「えっそれ一番やばいってわかってる?」と話しなが ら歩いてくるのとすれ違って修羅場の予感だった。鍛え上げられた上半身でスーツと、防寒に羽織っているらしいパーカーがぱつんぱつんになっている。言葉選びも怖いが腕力も強そうで勝手に怯えた。

3/11(土)

朝、職場で隙をみて福豆など。昼、近所のカレー屋のダルバート。夜、ボイルいか、ライスペーパーピザ、ほうれん草(ポン酢かつおぶし)、アーモンド、ドライトマトいいちこのトマトジュース割。 正午まで働いて退勤、昼食、そして谷原菜摘子の展示を見に行く。木曜くらいから楽しみにしていた。北加賀屋名村造船所跡地へ。ポスターこそ貼ってあるものの建物の入り口に人の気配はなく、しんとしている。矢印を見つけてずんずん歩いていると傍らの小部屋から視線を感じる。目をやると赤い紙に描かれた刃物を持った女性がいて足がすくむ。ポスターにもチラシにも宣伝動画にも取り上げられていなかったラフなドローイングで、イメージしていたのと違う作風だったので余計怖かった。 全体を通して、個展はいいなと改めて感じた展覧会だった。兵庫県美のコレクション展で流し見したのがもったいなかった。そんなつもりはなかったが、この展示で作家と作品を知った今はそう感じる。作品の大きさからは考えられないくらいの緻密な描きこみと手作業。砂のように小さなスパンコールが無数に貼られた作品もある。ひととおり見て回ってからギャラリートークに参加した。谷原さんのサービス精神あふれる話し方が誰かに似ていて、聞いているうちに中川翔子だとわかった。西山物語を題材にした作品中で登場人物の女性に用意した救いについて。「なぜなら妹は何も悪くないから」「小説の中では地獄に落ちてしまうのですが、頑張って歩いていくと浄土に・・・たどり着けたらいいねと」順路の最後の部屋、というか3Fフロア全体。展示作品は2点。圧巻だった。谷原さんがロッカーの側面に手をついて若干体重をあずけて話してくださった、絵のモデルとなったTくんのこと。どこを見ていいかわからなくて爪に赤いマニキュアの塗られた華奢で小さな手をずっと見ていた。質問コーナーでギャラリーおじさんがひとりよがりな質問をしてきた(と感じた。わが事のように受け止めようとしてしまう。)ので退散。作品中の人物は右と左の目の大きさや形が違うことが多く、Tくんはとくにそれが顕著に感じる。 なんとなく帰りがたくてユニクロへ。カタログ「LifeWear」をもらう。梅田に出てユニクロのはしご。大型店のディスプレイは景気がいい。そして丸善へ。本棚の中に身を置きたかった。個人書店で買おうとして数年経ってしまった歌集があったので買った。あとはユリイカの女オタク特集号も。僕のマリや村井理子は「文芸エッセイ」棚に置かれていた。横に目をうつすと「皇室」棚があった。東海林さだおの新刊の本文は大きなフォントで組まれていた。

ショージ君、85歳。老いてなお、ケシカランことばかり

ショージ君が85歳なら沢野ひとしは「ジジイ」。パッと開いたら本文中でもジジイジジイと連呼していた。「ジジイなので」「ジジイなりに」「ジジイとしては」

ジジイの台所

3/12(日)

朝、ロッテリアモーニング(ベーコンチーズサンド、コーヒー)。昼、大阪王将のムーシーロー定食。夜、なし。 今週は予定が立て込んでいるので図書館に行っておくことにする。何も食べず勢いで家を出てロッテリアで朝食。モーニング終了の10時半よりちょっと前に店に入る。あまり期待していなかったベーコンチーズサンド、パンもトマトソースもおいしい。借りた本の返却のためドーンセンターの図書室へ向かう。

通りがかった公園の池でハトが20羽くらい水浴びをしているのを眺めていた。冬の間は氷が張っていたが、この季節の午前中にはこんな光景が見られるのか。人馴れしていてそばを人が歩いても平気な様子だが、ジジイの特大クシャミに驚いてほとんど飛んでいってしまった。うるせえ!と睨んだら花粉用のゴーグルをしていて割と深刻な症状に悩まされている人であることがわかった。

図書館内で鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』を最終巻まで読んだ。

メタモルフォーゼの縁側(5) (カドカワデジタルコミックス)

市ノ瀬さんが人生経験、コミュニティ、情報網をもって前のめりにコミックマーケットに乗り込んでくるところにぐっときた。その後、大阪歴史博物館で印版手の展示を見る。うろ覚えだが「芸者の○○さんと○○さんが新聞を読んだり、キセルを吸ったりしているところまでお皿になりました」というドライなキャプションに笑った。メートル法、動物園なども出始めの頃に図案になっている。一度見たら忘れられない単語、肉弾三銃士。特攻隊員のように爆弾を抱いて敵機に突っ込んだ兵士も図案に。散策中の外国人を描いて横に「徘徊」と書き込む当時の言語感覚。橋本氏が定年退職後に収集、研究を始め、この度コレクションを同館に寄贈することになったといういきさつも興味深かった。 15時ごろに遅い昼食をとり、府の図書館へ。数ヶ月開けると棚が様変わりしていて楽しい。帰宅、風呂。何もせずに寝た。

3/13(月)

朝、チキンカレー。昼の弁当のおかずは目玉焼き、ウインナー、コーン、ジャバンのり。間食、みほりどうのういろう。夜、オイルサーディン丼。通勤電車の中では山本容子井上真希『ルナ+ルナ』を読んでいた。

ルナ+ルナ 山本容子の美術旅行

語りおろし形式で制作されたようだ。和歌山近美の館内、福岡市美の敷地内にあった大きなウサギの彫刻はバリー・フラナガンのものであることがわかった。野外展覧会の写真が掲載されていて、自分の記憶とつながった。和歌山近美に行く度に気になっては調べるのを忘れ、一年くらい経った。ググらずに読書をしていて情報が飛び込んでくると嬉しい。出勤、やがて退勤。帰宅、風呂。 食後、当たりの配信ラジオ「当たりのこえ部」を聞く。とある芸人がドラム練習動画を、有料コンテンツと無料コンテンツに分けて配信していたことについて。タイミングは同じでも、有料のほうでは冒頭数分に叩き始める前のウォーミングアップをしている姿がおさめられている。そのことを「偉い」「来月も課金する」と評価する大橋さん。「今まで女オタクのほうが多い現場に行ったことがない」とお笑いライブに行くのを躊躇して、暮田さんに「お客として扱ってもらえるよ」と助言をもらう場面もあった。各界隈のファンダムとか、ファンの様子を見ているのがいつまでも面白い。

3/14(火)

起きて白湯を飲んで、SnowManのラジオの音源を再生しながら身支度をした。英会話もニュースも聞きたくないからだが、時間の感覚が狂う。スポンサーの不二家のケーキを食べるコーナーがハッピー。コーヒーをいれてはちみつシナモントーストを食べた。今朝は天気予報どおり冷え込んでいてダウンを着て家を出る。昨日寝る前に去年の自分の日記で4月に入ってからもダウンと裏起毛タイツを身に着けて寒さにブチ切れていたのを読んだので動揺は少ない。通勤電車の中では沢野ひとし『へんな人間図鑑』を読んでいた。

へんな人間図鑑

職場にて、弁当のおかずはボイルいか、卵焼き、さといもゆかり和え、なすのおかか和え。昼休み、Mからのメール。「プロセス警察を自称してるのウケた。」プロセス警察は造語だが、〇〇警察くらいのネットミームが伝わると助かるし文章で遊びやすい。職場にもオケにもそう多くはいない。やがて退勤。友人が予約してくれた海鮮居酒屋で飲み会。一番にお店に着き、二番目にやってきたTに「この店地図とちょっとずれてません?」と言われたが何も答えられず情けなかった。地図が読めないので目印となるホテルの近くに来たらあとは店名の書いた看板を探して辿り着いたのだった。ちょっとのずれを感知することはできない。三番目にやってきたKにも同じことを尋ねていたのでよほど気になったのだろう。Kは「えー地図どおりじゃないですか?」と言っていた。せりと春菊のサラダ、葉わさび、梅水晶ごぼうのから揚げ。Tがスマホに店のラインアプリを入れて注文すると、画面上で注文した商品に見慣れたTのラインアイコンがくっつく。これに大喜び。私だけが。通算5回目くらいの「そんなに面白いですか?」。もっとかもしれない。酒が入るともうだめだ。アイコンの写真が何なのかが聞き出せたのはよかった。刺身盛り合わせ、カニ味噌グラタン、さわら麻婆豆腐。奈良のお酒として置かれているのが春鹿ではないのが嬉しくて儀助という日本酒を頼む。気分がよくなり、その時まで まったくするつもりのなかった、先日カットした時に美容師がしていた白髪染めの話をしてしまった。すっかり忘れていたが子供の頃母親が市販の白髪染めを使っていた時期がある、と話すと、「その時親御さんはいくつだったんですか?白髪は遺伝だから」とT。日々この人のブレないマジレスに誠実さを感じているが、この時ばかりは怯える。帰宅、風呂。すぐ寝た。

3/15(水)

カフェオレだけ飲んで出勤。通勤電車の中では片山杜秀+山崎浩太郎『平成音楽史』を読んでいた。

平成音楽史

昭和の時代には大曲など、当時は実演の機会の少ない曲を聴きにアマオケの演奏会に足を運ぶということがあったらしい。アマチュアオーケストラで使用楽譜の版にこだわることにどれほどの意義があるのか疑問だったが、そういう時代があったのか。東京を差し置いて大フィル朝比奈ブルックナーが話題になっていたとか、今からは想像できない。ロシアから奏者を連れてきて結成した、オウム真理教のオーケストラ「キーレーン」。演奏会の指揮者は音楽部門のトップのカッサパ。「麻原のこの執念は考察に値する。」隔世の感のある話題ばかり。

職場にて、すきを見てカロリーメイトのパチもん(トップバリュ)を食べた。昨日飲み会前に万札を崩すべく買ったもの。フルーツ味をりんご果汁でつけていた。これはもうカロリーメイトのフルーツ味に似せる気はなさそう。この失敗は既に一度やった気がする。先日買った韓国製のカロリーメイトの箱にはマンゴー果汁、パパイヤ果汁とあった。こちらのほうが味は確実に近い。昼食は仕出しの弁当。 帰宅、風呂。夕飯は焼きそば。何もせずに寝た。