部屋に帰り着いて「イライラする」「落ち着け」「とにかく風呂に入ってから何を食べるか考える」「頭を乾かしている間にレシピ検索する」と口に出しながら服を脱いで、無言で風呂に入って出て、「かぶ ツナ」「かぶ ハム」で検索するがつくる気にならず、ご飯は炊けているのに。冷蔵庫の中の萎びたかぶ、賞味期限の切れたハムが気にかかる。やっと食べたいものが思いつき、それはジャバンのりのかかったご飯だった。フライパンでハムエッグをつくってその横で冷凍コーンと青ねぎも火にかけ、丼にご飯をよそってジャバンのりをかける。誰も怒っていないようなことで勝手に怒って消耗してかわいそうな状況だからマヨネーズをかけてもよい。
自分の思うように事を進めようとするのはかまわないが、「どうしますか?」と切り出して「どうしたらいいですか?」と委ねられると「いやいや、どっちでもいいけど」とかわしつつ、実はどっちでもよくないので最終的にはこっち。そういう人だよ、と教えてくれた人がいたからこんなに断罪したいのか?あの助言がなかったら?断罪!断罪!また断罪!は筋肉少女隊の曲ではなくてアルバムのタイトルだった。語呂がよくて10年以上頭にあって、でも詳細を知らないままにしていた言葉を検索窓に入れて検索をかけて自分の機嫌をとった。歌唱パートは鼻歌で生み出されているというところまでオーケンのエッセイで読んで知っていて、バンドアレンジは鬼のように技巧的であることが今日わかった。
歌人の伊舎堂仁がラジオトークの配信で自身の潔癖さを「心の財産」と言っていたのが私にとっての救いになっている。どの回だったか。流しながら明日の弁当のおかずをつくった。かぶとハムの炒め物。かぶの葉のふりかけ。炒り卵。数分前まであんなにやりたくなかった弁当のおかず作りが心を落ち着かせた。