もう35だね!とM。一緒にカレー屋に行った帰り、真っ昼間の飲み屋街の十字路にさしかかったところだった。左手に赤から、右手に駿河屋。やめてやめて!と大声を出してはしゃいでしまう。藪から棒に言われたようでいて、Mの思考の流れが私にもなんとなく読める。先ほどのカレー屋で私はチキンとポークのあいがけ、Mはポークカレーを食べながらの会話。この日記に書いているようなことを話した。年末年始のストリップ劇場通い。母親によって、姉妹が会わない前提で組まれる帰省の日程。会ったことのない妹の新しい家族。でも進んで会いたいとも思わない。でももう35なのだ。
なんでこうなったんかな?と漏らすと、探偵ナイトスクープの依頼でよく見るしそういう人たくさんいるよ、よくあることだよと返してくれた。返しがこういう感じだから打ち明けているところがある。よく見るのか?傑作選の夫婦のあれだけじゃなくて?まあいいや、楽器ケースにステッカーが貼ってあったから信用しよう。初めて会った時、あ、採用されたん?と指差すと、採用された人は探偵手帳だよ、僕は見に行っただけ。と言われたのを覚えている。
話題は家族から変わって、とある人達について「やたら笑って、何がおもろいねんと思わん?!」といきなり語気を強めてしまい変な空気になり慌ててポークカレーを口に運び、「アーおいしい」と感想をそのまま言うと「今(笑)」とひと笑い起こせた。その時までずっとチキンカレーや副菜やターメリックライスを食べていたのだ。チキンカレーってポークカレーを引き立てるよね。いや、チキンカレーおいしいけど。チキンカレーはシャープな味わい。やがて思った通り時間ギリギリになる。やばい、55分チューニングやったっけ、と話しかけるとすぐにMが立ち上がって自分の分の会計を済ませる。ふと見るとお皿にピクルスが残っているが、また私の隣へ戻ってきて座る。食べへんのかと思った。いや、食べるよ。涼しい顔で人参と大根のピクルスを重ねてフォークで差す。人参は星型にくり抜かれている。
ここ数年、年末年始はずっと、やめてやめて!と思っていた。自分の年齢を意識せざるをえない場面が立て続けにやってくるから。年をとっていくのが怖かったけど誰にも言えなかったし日記にも書けなかった。