20240114

京阪三条駅の出口の階段を登りきった時、視界が青空でいっぱいになった。こんなに空が広かったか。鴨川沿いだからというのもあるが、使ったことのない出口だったからというのもある。こんなに人気のない場所が三条の駅構内にあるのかと思いながら地下道を長いこと歩いていた。地図上の目印となる店が全く見当たらないので地図を確認すると、案の定出口を間違えて明後日の方向に進もうとしていた。バスターミナルを突っ切って駅まで戻る。

ネパールミニというお店で昼食をとった。ダルバートを頼むと客席でギーをかけてくれる。店中が音と香りでいっぱいになり、単品メニューをアラカルトで頼んだお客が「いいな〜、私もあれにすればよかった」と振り返るほど。副菜もどれも味がよく、また絶対食べに来たい。柑橘類を煮込んだものが米の脇に添えられていて、甘酸っぱくておいしかった。この時点で14時。近くのテーブルで文フリ帰りのお客が買ったものを見せ合っていて気が焦った。

15時前に文学フリマ会場のみやこめっせ着。目当ての本は全部買えたが、またスタンプラリーのような回り方をしてしまった。基本的には手にとった本をとじて立ち去ってもいいはずなのに、なぜかその事態を恐れている。歩いていて気になった本を立ち止まって手に取ることができない。見本誌ブースで情報収集する時間を組み込めばいいのか。

閉場時間ギリギリまで買い物をした後、京都国立近代美術館で「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」を見た。織物のような目に楽しい美しさがあるが、糸が張られているだけ、垂らされているだけで編まれていない作品はより繊細な感じがする。じっと見ていると空調の風でわずかにそよぐ。野田涼美「商品価値を持つ言葉:健康」が強く印象に残った。糸の間でキラキラ光るのは大量の薬のパッケージ。キャプションによるとおそらく、知り合いから譲り受けたもの。

すっかり暗くなった街を縫うように歩いて誠光社に寄った。大阪で日没を迎えるより、京都で日没を迎えたほうが家路を急ぎたくなるような焦りの気持ちが湧いてくる。自宅までの距離はさほど変わらないのだが。夜の誠光社はいいな、来てよかったなと思いながら本棚を眺めた。店内では中国語を話す二人連れが熱心に絵本を見ていた。