20240117

シネ・ヌーヴォのロビーに年配の女性がたくさんいる。あまり見ない光景だ。昨日はもっとアバンギャルドでしたよ、そんな感想も聞こえてくる。20時から緑川珠見「破壊する光は訪れる」「GARNET」2本立て。野外。綿の夏物のワンピース姿で棒立ちの若い女性。大きな白い麦わら帽子を被っている。カメラがクローズアップして、帽子の下からリップを塗られた唇がのぞく。むき出しの二の腕から手首までをなぞる。なんとなく90年代のスピッツのアルバムジャケットを想起していると、画面の中に男性の手が入ってきて麦わら帽子を取り去る。そこではじめて女性がどういう顔立ち、顔つきであるかわかる。男性の顔が映し出されてからは完全にスピッツの印象は消え失せた。男性の薄い唇、小さな鼻、裸の胸元に浮かんだ汗。寝ている身体の上をカメラが何度も往復する。やがて女性の手が画面の中に入ってきて男性の胸を掴む。五本の指が薄い胸筋にくい込み、影ができている。40年後の今見ても鮮烈な感じがした。男女がお互いを見合っているような、対称的な構成になっていることが。

 

たまたま業務がたて込んでいないからこんなことが言えるのだが、普段ふたりで回している仕事をひとりで回して気分爽快。気をつかっているのもあるかもしれない。でも聞き耳をたてて勝手にやきもきしている時間が多すぎるのではないか。期待しないスタンスでいようとしながらNさんを思い通りにしようとしている?定時に飛び出して西九条と九条を結ぶ地下道を抜け、キララ商店街を突っ切ってモモブックスへ。新しいペーパーができました、と持ってきた今日の別れ際に「新しいのができたら持ってきてくださいね!」と声をかけてくださる。何度言われてもじーんとする。その後カレー屋ブンブンスパイスで夕食をとり、シネ・ヌーヴォへ向かった。