スマートレターください、郵便局の受付でそう言った瞬間にガーッと大きな音をたてて鉄格子のシャッターが降りはじめた。午後7時。ローソンは郵便局と提携しているので関連商品の取り扱いはあるはずだが、品切れしているかもしれずまっすぐ来た。途中で寄っていたら営業終了していて入れなかっただろう。スマートレターをリュックに入れて郵便局を出てスーパー2へ寄った。金柑を求めていた。さっさと帰るつもりだったが半額惣菜に気をとられる。海鮮マカロニサラダ、ささみカツ、牛肉コロッケ。サリ麺の5連パックも買っておく。帰宅してラジオをつけると軽快なポルカが流れ出した。今日はベストオブクラシックで先週のＮ響定期公演の模様が放送される。これは一曲目だろう。着ているものを脱いで洗濯機に放り込み、風呂場へ入ろうとしたところで炊飯することを思い立つ。全裸で炊飯器をセット。米というか見切り品カットカボチャと金柑を炊きたかった。米の上にのせておく。この時点でポルカはとっくに終わっている。生放送ではないから番組中、メインプログラムの前に20分の休憩はない。冒頭は聞き逃し配信に頼ろう。風呂に入り、出ると男声合唱パートだったのでショスタコーヴィチの13番「バビ・ヤール」が始まっていることがわかった。ウクライナの渓谷の名前。ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺が行われた場所。ながら聴きであっても喧騒の後の突然の無音は何よりも強く死を連想させた。
