20240210

岡山からマリンライナーに乗ると、急に観光客が減った。観光列車を想像していたが、特急券が必要なのは1両目の指定席を利用する場合だけだった。スマホで検索してこのことがわかったのはみどりの券売機からタッチパネルを操作するのを諦め、友人窓口に並び直したあとだった。間仕切りのテープをくぐってICOCAで改札を通る。みどりの窓口の喧騒が嘘のようなひっそりとしたホーム。瀬戸大橋を渡っている間も視線を落としたままの客も多く、午前中にしては落ち着いた気怠げな雰囲気が漂っていた。右を見ても左を見ても海。高松駅に着いた時もうららかな晴れで、このままフェリーにでも乗ってしまいたかったがアーケードの下にずんずん入っていく。日陰の風は冷たく、耳も鼻も凍てつく。うどんは明日でもいいのではないか。行きたいお店もいくつかある。ガラガラの松屋に入ってシュクメルリ定食を注文。いくつになっても逆張りがやめられない。リュックに入れていたペーパー「ルチャし続ける」を読んで、青木真兵さんの、同質性を高めないことが反戦につながるのではないかという考えに共感。私もその一環としてノーブラでいるところがある。シュクメルリ定食だって2週間くらいしか食べられないのだ。

古着屋、美術館、古本屋を経て新刊書店へ。店の一番奥にある本棚に向かって床に段差がつけてあり、数段上がったところで頭がつかえる。一番上の段に座って眺めることになる。どの棚も見応えがあり、手前から見ていくとなかなか奥にたどり着かない。最上段にしゃがんで本を手にとっている女性がいて、アディダスのカントリーのスニーカーがよく映えている。連れの男性が手前から歩いていって、何見てるの?というふうなことを話しかける。友人と一緒に来て、友人がいるところを見てみたくなるような素敵な内装だ。店の真ん中にスクリーンが降ろせるようになっていて、奥の段差を客席にして各種イベントもやっているようだ。コーヒーを頼んで休憩しつつ、長いこと店にいた。途中、店の人の古い知り合いが読書会仲間を連れてきたこともあって、店が呼吸するようにお客が増えたり減ったりした。ルヌガンガってどういう意味?スリランカにある庭園の名前です。そんな会話がレジから聞こえてくる。コーヒーじゃなくて紅茶にしてもよかったかもしれない。次来られるのはいつになるだろう。