20240217

展示室の入口は吹き抜けになっていて、展示物は壁の向こうにある。国立国際美術館「コレクション2 身体---身体」展の順路はルイーズ・ブルジョワカップル」から始まる。薄暗い中に脚の長いガラスケースがあって、目の高さで男物のストライプのシャツがレースの首にレースのついた黒いタートルネックを抑え込んでいるのが見える。ストライプシャツにはパンパンに詰め物がしてあって背中は大きく、肩には厚みがあり、腕は太くたくましい。タートルネックもストライプシャツの背中に腕を回してはいるのだが、袖と袖が縫い合わされていて手はない。ガラスケースの底面にフローリングが敷いてあり、タートルネックの背中は床に接している。音声ガイドで気づいたことだ。カップルというタイトルの文字と一緒にこの作品を見たときのヒヤッとした嫌な予感が確信に変わっていく。

 

展示は数パートに分かれていて、ルイーズ・ブルジョワと同時代の男性作家、ルイーズ・ブルジョワの後に続く女性彫刻家などをとりあげながら進む。キキ・スミスの真っ黒な彫刻のどこか均整のとれていない小さな身体に惹かれてしゃがんで見る。彫刻の後ろに配置されているドローイングの紙は刃物を使わずまっすぐに千切られている。プリミティブなエネルギーを感じた。