20240302-0303

誕生日そっとしといて、に対する僕なりの対応が23時台にメッセージを送るっていう。ちょっとしたプレゼントがあるよ。と言われてからずっとその設定の目盛の細かさに舌を巻いている。私はそっとしといての対応はノーメッセージノープレゼントだし23時台は間に合ったなとしか思わない。こういうことをされて感動した時に、その人のことばかり考えるのはやめる。できそうなら見習って実践する。

 

実際に誕生日が近づいてくると外は寒いし室内は蒸すし電車は臭いし花粉は飛んでいるしで毎年のことながら憂鬱になってくる。そして路面で転倒して数年ぶりの怪我。数日間ではあるが利き手の自由が制限されて消耗した。キズパワーパッドが右掌から取れて一番嬉しかったのは普段通りにスキンケアができること。誕生日を祝うのは、占星術的には自分の太陽星座付近に星が集中する時期の安定しない運勢を盛り上げてあげるという意味があるらしい。祝って祝ってと言っておけばよかったと考えていたところだった。

 

プレゼントはクラフトコーラシロップだった。赤い袋から自分で取り出していきなり瓶を逆さにしてみせる。瓶底に人差し指をぴとっとつけて指差しながら「この粉がなくなるまでよく振ってから使ってね」。グラスを水平方向に回す手振りをしながら「割ってからも振りながら飲んでね」と説明してくれる。とにかく沈殿するらしい。その次に出てきた白い手提げ袋がなんと、奈良はきたまちの本屋ヌリタシのものだった!「あーっ!この店知ってる!」と声をあげると「いやこれはあなたの袋だから」と絵文字のように歯を見せて苦笑いしていた。こめかみに水色のしずく状の汗さえ見えた。恥ずかしかった。中身は小林真樹「日本のインド・ネパール料理店」で、数年前に貸したもの。その日持っていた楽器に加えて単行本や瓶詰めを持ち帰ることになり肩が限界に近かった。足の裏はアスファルトにめり込みそうだった。