0331-0406

3/31(木)
コーヒーだけ飲んで出勤。起き上がるのはつらくないが、エンジンがかかるのが遅い。

通勤電車の中で『メディアの本分』を読む。

メディアの本分: 雑な器のためのコンセプトノート (フィギュール彩)

ページぎちぎちまで文字が詰まっているが、エッセイ集のような趣があって内容は軽い。

職場にて、弁当のおかずはジャークチキン、小松菜、目玉焼き。帰りがけに日めくりカレンダーの31日をめくると、「4月の二十四節気」というページが出てきた。清明。「全ての生命が生き生きとする頃。気候もすっかり温暖になり、澄みきった空のもと新芽が芽吹き、花が咲き、小鳥もさえずるにぎやかな季節です。」という一文を読んで、今だ、と心にさわやかな風が吹いた一瞬の間に自席の近くの柱にかかっているクソでかいカレンダーをばりばりめくって4月にした。私は使わないしこんなところには設置しなくていいと思うのだが、年明けに設置したがった上司は自分でめくろうとしないのだ。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は鍋。無印良品の火鍋の素を入れる。一袋入れると激辛なので加減した。食後、大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を読む。

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

発売時にtoi booksで大々的にフェアが開催されたぬいぐるみ文学として気になっていた。そしてこの表題。個人的に、ぬいぐるみに話しかけていることで注目するようになった人間が自分の権力を巧妙に使ったえっぐいえっぐいハラスメントをしていたのを後で知る、という出来事があって、目にする度にやきもきしていた。読んで内容を知れば作品に含まれている要素が自分の中で揃ってこういう気持ちになることはなくなるだろう。ぬいぐるみに語りかけず自分に向かって発話する人間としていよいよ気になってきたこのタイミングで手にとることとなった。明言されてはいないが同志社大学京都市内のキャンパスが舞台。サイゼリヤがあるのでわたしが出入りするようになった後だ。七森が高校までの自分を苦々しく思い出すように、新町にいた頃の自分の言ったこと、やったことが頭の中で蜃気楼のようにゆらめく。金髪にすることで内面に踏み込まれるのを回避する七森、嫌な予感はあったのに成人式後の飲み会に行ってばっちり調子を崩す七森。嫌なことを言うのはもっと嫌なやつであってくれよ、という心の叫びは胸に迫るものがあった。表題の扱いもスマートで、もう表紙を目にしても読む前のような気持ちにはならない。

日が変わる少し前に地震があった。トースターのプラグは壁の高いところのコンセントにささっていて、白い壁の前で黒いコードがゆらゆら揺れるのを寝転がったまま呆然と眺めた。震源地は京都府南部。ラジオをつけるが速報は入らなかった。全国各地で桜が満開になったと伝えていた。21時前にも千葉で震度4の地震があった。

4/1(金)
飲まず食わずで出勤。

通勤電車の中で『ダークツーリズム入門』を読んでいた。

ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅

イースト・プレスの本で、そうとわかって眺めると『廃墟の歩き方』と誌面が似ている。全然出たくない全体朝礼に遅刻して出て、全然出たくなかったし朝食もとりたかったと思い続けながら業務をこなし、合間にショートブレッドを食べた。職場にて、弁当のおかずはツナとしその炒り卵、かぼちゃ。

やがて退勤。ダイソーに寄り道。引き続きパーティーグッズを見て楽しむ。キャンドゥになかったグッズとして、数字の形のローソクがあった。「さい」「か月」もあり、ふたつ、ないしみっつ立てるだけであらゆる節目のお祝いができる!と興奮してグループラインにダイソーローソクのことを書き送ると「ローソクが嬉しいですか?」と返ってきて恥ずかしかった。発言の目的を掴みかねて優しく尋ねてもらった格好になっている。

帰宅。寒さと空腹が限界に近付いている。昨日の鍋のつゆと冷ご飯でおじやをつくって食べた。その後楽譜の製本。思いのほか時間がかかった。最初から裁断機を使う段取りを組んでおいたほうがいい。お風呂をためて、蒟蒻畑を凍らせたものを食べて部分的に楽しい一日。

4/2(土)
7時に目を覚ますが1時間二度寝。というパターンが数日続いている。コーヒーをいれて、レモンチーズトーストを食べた。電車の中で読書するつもりだったがLINEの返信で読めず。面白くない。職場にて、裁断機を拝借したらもう用がない。さっさと帰りたい。正午、退勤。帰宅。布団干し。シーツ等洗濯。昼食はスパゲッティナポリタン。なすも入れた。楽器の練習。チューニングは楽器を寝かせてやるのが一番いい。緊張感から変な汗が出るのは同じだが早く終わる。ベッドにホットカーペットを敷いて机ものせて簡易こたつ。エアコンもつけるとようやく暖かくなった。本屋プラグラジオ聴取。18時ごろにコーヒーをいれておやつ。ミルファス、くるみ、ドライいちじく。同時にSANBONRADIOの聴取。NHKFM「クラシックの迷宮」今日のテーマは超人。「っ脱却」「っ動物」「動物ですから動きますから」マーラー交響曲第3番を数分ずつかけて合間に喋りまくる片山杜秀。「ということはこの曲もかけることになります」興奮で楽曲の系譜の説明が雑。風呂。夕飯は鍋焼きうどん。

4/3(日)
10時ごろ起床。コーヒーをいれて、しらすトーストを食べた。動画配信は家で見ないことにしていたが、年明けに端末がひとつ増えたこともあり見るようになりつつある。あとやはり楽器の練習、譜読みに便利。今取り組んでいる曲の動画を流す。ここ数日怒りっぽかったのは便秘のせいだと気づいてややスッキリしたのもつかの間、今日もまた寒さにキレて裏起毛のタイツにダウンジャケット。11時半に家を出て美容室へ向かう途中、傘なしでやり過ごせると思った小雨がみるみるうちに強まって雨にまたキレる。今回のオーダー、「前回耳にかけられるようにしてもらったらすぐ横に広がってしまったので…」「かけない方向で!」と美容師。メガネのつるとマスクの紐で耳の上が常に渋滞しているのも気になるが、これは様子見。カットが終わってもまだ雨が降っていたので一旦帰宅し、炊飯予約をして傘を持ってまた家を出たのが13時ごろ。電車で移動、百福の店先に待っている人が数人見えたのでブンブンスパイスカレーへ行ってみることに。店先には青と黄色の「カレー屋」のネオン。よく見ると前の喫茶店のアーケード共通の看板が残っていて、外装も内装も適度に喫茶店時代のものが残されている。レンガの壁、天井のステンドグラスなど。待ちなしで席につけ、ぎりぎり売り切れも回避できるタイミングで入店できた。チキンカレーと鶏はらみのビンダルー、スパイス卵。ここのスパイス卵はチリパウダーがまぶされている。ダルは粘度の高いのがちょっとだけかかっている。BGMはカネコアヤノ。その次が安藤裕子。その次がチャットモンチー「8cmのピンヒール」!店を出るときはゆらゆら帝国「空洞です」!カレー屋のBGMの嗜好はさまざまだが、なかなか出くわさなかったゼロ年代のバンドサウンドだ。百福はテレビがついていることが多く、そうでなければ現地の楽曲だから、このように自分がMDで聞いていたような楽曲でブチ上がる昼下がりにはならなかっただろう。確かファラさんがカレー屋のBGMについてブログを書いていた。先日行ったカフェの料理はおいしかったがBGMが邦楽最新ヒットチャートで変拍子疲れした。ミスタードーナツは本部指定とかで洋楽オリジナルプログラム。これは洋楽ファンでなくてもBGMとして良かった。ケンタッキーは11月に行ったのにクリスマスソングだった。

15時前、シカク着。個人書店でZINEの扱いがどんどん拡大しているのを感じるが、専門店は充実度合が違うなと思った。新作、旧作ともに充実しているし、ほぼすべての商品に見本が用意されていることにも改めて感動する。目的はクレハフーズの「100均商品だけで食品サンプルを作ってみた」展と新刊購入。縛りをもうけたことがよく効いていて、展示を見て楽しい、ZINEを読んで楽しい企画。もう新刊は出さないと書かれていて、寂しい気もするがそれがいいと思った。他にも、以前からツイッターで見て気になっていた犬と街灯発行『みんなの美術館』、てぱとら委員会発行『わたしたちの中学お受験フェミニズム』を買うことができた。私の文フリは今日だ!と店中を走り回りたくなるような気分。

雨の降る中帰路につき、いちごが食べたくなったのでスーパー2に寄る。18時前帰宅。ちょっと楽器を弾く。その後簡易こたつで読書。

石川直樹シェルパの友だちに会いに行く』

シェルパの友だちに会いに行く エベレスト街道日誌2021

はてなブログAmazon商品紹介画像を貼り付けてわかる、こんな帯がついていたのかよシリーズだ。友だちが着ているのは現地に著者自ら持ち込んだノースフェイスのジャケット。観光業による収入が激減した友だちへ支援金を届ける旅。

モモの写真を見てお腹が減ってきたので夕食。ベーコンと大豆の炊き込みご飯、しらすブロッコリー。デザートにいちごと大福。風呂に入ってお灸をして寝た。

4/4(月)
ヒートテックを着て寝ると寝汗をかいてしまう。無印のぬくもりインナーで寝汗をかいたことはない。コーヒーをいれて、トーストといちごと大福を食べた。大福は5個100円だった。求肥の部分までしっかり甘い。家を出て、通勤電車の中で『SとN』の最新号を読む。誌面いっぱいに木々の緑が広がっていて癒される。

職場にて、弁当はベーコンと大豆の炊き込みご飯、卵焼き、しらすとかぶの塩炒め。かぶの葉っぱが貧相なので小松菜を足した。裸で売らずにしっかり包装しているのは珍しいなと買って帰って開けてみたら葉がすかすかだったのだ。午後からもあまり調子が出ず、タイガーバームを塗ったり耳栓をしたりする。

やがて退勤。帰宅、風呂。NHKFM19時のニュースにて、ロシア軍が去った後のウクライナの首都キエフで市民の遺体が多数見つかったというニュース。損傷が激しく、残虐行為を受けたとみられるものも多いという。聴きながらさやから豆を出して豆ごはんを炊く。白ごはんドットコムの、豆を一緒に炊き込むレシピ。「色より味」と書かれている。炊きあがるまで横になってしまったから何もできないのか、何もできないから横になるのか。職場にいるときは楽器を弾こうかなと思えていた。下半身がだるい。夕飯は豆ごはん。

食後、渡辺ペコ『恋じゃねえから』の無料公開分を読む。塾の先生も、作品も柔らかい、いい雰囲気の絵柄で描かれているから余計にぞっとする。

宮崎夏次系『あなたはブンちゃんの恋』も同様に読む。

あなたはブンちゃんの恋(1) (モーニングコミックス)

背景から目が離せない。「ホムセ」と大きく掲げられたホームセンター。衝撃を受けたブンちゃんのいかつい表情。

寝る前に歌人の上坂あゆ美さんのスペースを聴く。岡本真帆『水上バス浅草行き』を語る。自分は言語野の人、岡本さんは韻律の人、というような話が印象に残った。伊舎堂さんの名前も出てきた。おそらく韻律の人として。途中震源地が千葉の地震があり、「まって…大丈夫かなあ」「震源地どこだろ」と不安そうにされていた。

4/5(火)

肩や首が冷えていてだるい。何をかぶってどう寝ればいいのやら。コーヒーをいれて、いちごと大福を食べた。家を出て、前から人が歩いてくるまでマスクを外してみる。ずっとつけずに過ごしたい。気候によるものなのか、気分に大きな波がある。使い捨てマスクは不経済だから買いたくないという気持ちも増している。マスクの型ごとに一長一短の特徴があり、とっかえひっかえしながら日々をやり過ごしている。

通勤電車の中で『わたしたちの中学お受験フェミニズム』を読む。こうして見ると奈良は意外に高い偏差値の私学があり、全国区の話の中でも言及されていて驚く。ベッドタウンなりの交通の便の良さと、受験日程によってどう併願するかが関係ありそうだ。

職場にて、弁当は豆ごはん、かぼちゃ、にら玉。

昼休み、アカデミー賞短編実写映画賞を受賞した「ザ・ロング・グッバイ」をYoutubeで見る。ショッキングな映像に心がシンとなった。耳鳴りのような感じ。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はベーコンとトマトとなすの焼うどん。食後、本屋プラグラジオを聴く。昼に「ザ・ロング・グッバイ」を見たのは、番組中で「ぜひ一度見てから」と案内されたため。イギリスの移民文化の研究者栢木清吾さんを迎えて、作品ができた背景など解説。そして映画終盤のポエトリーリーディングの全訳。主演のリズ・アーメッドは出身国であるロンドンへ入国する際、時期によってはその容貌から空港で言いがかりに近い検問を受けるというエピソード。京都芸術センターで見た松根充和「踊れ!入国したければ」を思い出した。作家名、タイトル等忘れていたが、自分のブログの検索で事なきを得た。

 

decoi0222.hatenablog.com

 

空港の入国審査でイスラム系の名前であることを理由に止められ、ダンサーであることを証明するために踊らされた事件を受けて制作されたパフォーマンス作品。映像を見て完コピすれば自分も入国できるということなのか。真剣に問いかけながら懸命に踊る姿に胸が熱くなった。当時「かわいい」「応援したくなる」という感想も見かけた覚えがある。差別を受けている人の方をまっすぐ見て同じところに立っている感じがした。

www.kac.or.jp

その後ツイッターで「園子温監督の件」というスペースを見かけて入ってみる。数年前「冷たい熱帯魚」の脚本のクレジットについて疑問を呈するツイートをしたところ園子温から直接DMで罵倒されたという映画ファンがホスト。21時頃既に1000人くらいだったリスナー。一度抜けて24時頃、まだやっていたので再入室すると4000人弱になっていた。公式マークのついたアカウントもリスナーとして表示されている。なだぎ武がいた。フォロイーがリスナーとして入室していると画面上で表示されるという仕様、簡潔なタイトル、そしてタイミングが作用している様子。関与していた俳優が謝罪動画をアップするという動きもあった。組織的な犯行が行われていた様子。あまりに規模が大きく悪質。「氷山の一角ではなくて、大きなガンが見つかったことを願います」と発言者の一人。配信中にネット上に散らばっていた記事、疑惑などのタレコミDMがホストに殺到。被害状況を詳細に語り始めた発言者を慌ててミュートする場面も。リスナーからフラッシュバックを考慮すべきという指摘を受けたという。ホストの方、昨日はちゃんと寝られただろうか。

あと別件で見かけた言葉に「独特の圧」というのがある。六畳の書店内でのある種の客(元ツイートでは中年男性との記述あり)の所作、独り言をこう表現していた。けっこうしっくりくる表現。これからもあらゆる場面、特にすぐに立ち去れないような小さなお店、電車、エレベーターなどで「独特の圧があるな」と心の中で思う予感がある。お灸をして寝た。

4/6(水)
全然起き上がりたくない。コーヒーをいれる。ゴールドブレンドはおいしい。ギョニソマヨトーストを食べた。ラジオからはチャイコフスキーの弦楽セレナーデと悲愴が流れている。家を出る時間になったのでAllegro vivoのところは聞けなかった。

通勤電車の中でキム・ヨンス『ぼくは幽霊作家です』を読む。

ぼくは幽霊作家です (韓国文学セレクション)

国史が差しはさまれてややとっつきづらいが、一文が短くて読みやすい。

職場にて、1日に入社した新人が配属されてくる。50代の社員が「自分でやった方が早いというのはこのこと(笑)」とこぼして「仕方ないですね」と向かいの社員に相手をしてもらっている。すぐそこに新人がいるのに。耳栓をする。圧倒的に立場の弱い人の前でこういうことを口に出す幼さを持った奴がこいつ以外にもたくさんいる我が社。弁当はきのこの炊き込みご飯、かぶと小松菜の炒め物。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はあさりとにらの焼きうどん。辛ラーメンの粉の味。こだわり酒場のレモンサワーも飲んだ。飲酒したから寒さが和らいだのか、季節が進んだのか。焼き餃子、ブロッコリー、ピザポテト。開けた瞬間から食べかけかと思うくらいの量しか入っていない。カントリーマアムが小さくなり、牛乳が900ミリリットルになり、スライスチーズが1枚、また1枚と減っていく。3年ほど前に一度数え上げるのも思うのも言及するのもやめることにした。死ぬまでこういうことを言っていくのかと想像したらうんざりしたから。でも今日は「こんなん食べかけやん」と思ったのだ。

ツイッターでるるるるんvol.3の読書会スペースを聴く。とりあえず参加者がグッときた箇所のページと行数を示してあれこれ言うのは手っ取り早くて楽しそう。「はちまんびきのけもの」で街中のキツネが目につくようになる場面。車を購入したら生活圏内の自分と同じ車種の車が急に可視化されたように感じるという話をされていたのがよかった。