0526-0601

5/26(木)
コーヒーをいれて、ごま団子ドーナツを食べた。

家を出て、通勤電車の中で大前粟生『私と鰐と妹の部屋』を読む。

私と鰐と妹の部屋

自分の中の当たり前を色々な方向から壊される、というかそっとはさみをさし入れてリンクを切られていく感覚がある。

職場にて、急に午後休をとることに成功。正午、退勤。

昼食はTMとカレーを食べた。スプーンが真鍮で、見たことのない優雅な形のもの。ハンドメイド製品で、レジ横で売られていた。ベジカレー3種すべて辛くないと説明されている。豆、青菜、トマト。辛くないのにおいしいなんてすごいと思いながら食べる。わざわざ辛くないとうたっている店にはポリシーがあって、味がいいことが多い。米は向かいの米(米、おかき、かき氷も展開)屋で取り扱っている古代米。バスマティライスではないときは少な目でオーダーしたほうがいいかもしれない。あまり認めたくないが、おそらく途中で飽きている。次があればハーフサイズが用意されているのでそれを頼んで、デザートメニューを頼もうかな。コーヒーカヌレ、チャイ風味のチーズケーキ、ピンクペッパーのかかったガトーショコラ、固めのプリン。TMとはカヌレの友達でもあり、カレーとカヌレの店ができたんですよ、私明日休みなんで行ってみようかなと話されて今日午後休をとったのだった。カヌレはお持ち帰りにして店を出た。

道すがらTMとカレー屋の店主の見かけのタイプについて話す。「さっきのお店の人もいかにもでしたよね」と言うが、私の統計上ではカフェ店主成分入りというか、カレー屋然としてはいなかった。白い帽子に白い服に白いエプロン。恰幅がよくて黒縁メガネ。焼き菓子を提供しているのも頷ける感じ。

TMの車に乗って丘陵公園へ。花壇で大勢の作業員が仕事をしている。ちょうど植え替えの時期らしく、シロツメクサ畑のようになっていた。菖蒲園とバラ園には花があった。ベンチに座って休憩時、浜松の楽器博物館で買ったカズーを出して吹いてみるがTMに見られていると恥ずかしくて思いっきり吹けない。なぜ持ってきたのか。TMは解説動画や演奏動画を再生して勝手にカズーのひとときを楽しんでくれている。

また車に乗って駅へ。ワゴン車なので車高に余裕があり、広く感じる。旅行時のレンタカー、ヴィッツがいかに狭いかという話をする。TMも同意して、「4人乗りだけど2人で乗るもの」と言っていた人の話を教えてくれる。ふざけた商売だ。TMが運転中絶えず他の車に話しかけたり(「しゃーない、入れたるわ」)けなしたり(「どっちやねん!」)する類の人間だということがわかった。運転手というより車に宿る人格に喋っている感じがするのはなぜだろう。「下手くそか!」と言っているのを聞いていると、昔「HEY! HEY! HEY!」でaikoが「東京の女運転下手くそじゃないですか~?」と言っていた記憶が急によみがえった。こういう記憶は過激な方へ歪むので、記憶違いかもしれない。尖ってる時代のaiko。「私の友達松本さんと食事に行ったことあって、でも何か入れられてるかもしれへんから飲み物飲めなかったんですって~」という発言の記憶もある。浜田とスタジオの奥へ後ずさりしていく映像もぼんやり覚えている。TMのバイト先で2杯飲んで解散。TMは休みなのにキッチンを覗き込んで指示を出していた。友達のバイト先あるある光景のような気もするが、がっつりOJTまでしていて飲食業の鬼だ。

帰宅、風呂。夕飯なし。23時まで寝る。起きてカレー屋のカヌレといちごを食べた。ホットミルクも飲んだ。今思い返すと、カレーの印象が薄くてどこかさびしい。辛くないからのような気がする。カレーの喜びは辛さなのか。カレー好きのMがある店のことを「ご飯の盛りが控えめだから満足感はそうでもない」と言っていたのに対し内心「うるさ。後でパンでも食べといたらよろしいがな」と思っていたが、彼にとってのカレーの喜びのひとつが盛りなんだろう。

3時ごろまた起きて金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』を読んだ。

パリの砂漠、東京の蜃気楼


口ピアスに対する「おねーさん痛くないのー?」という中年男性のキャットコール。フランスでの声かけはまだ口に空けていない女性が体験談を聞きにきたり、男性が舌のピアスを見せてくれたりするものだったという。夜道での強引なナンパ。ピアスの数、夜に繁華街へ出歩く頻度。自分と著者の違うところを探して、受けた被害の原因を著者にあることにするのは自分が大丈夫だと思いたいからか。楽器を持って歩いているだけで同類の声かけに遭うではないか(「重くないのー?」には大きな声で「重いです!!!!」と返す。重いという実感を込めてがなる。これが一番早く終わる。)。

5/27(金)
コーヒーをいれて、いちごを食べた。雨はやんでいる。家を出て、通勤電車の中で堅田香緒里『生きるためのフェミニズム』を読む。

生きるためのフェミニズム パンとバラと反資本主義

路上で生活する男性との交流の中での苦い経験。このエピソードが読めてよかった。

職場にて、弁当のおかずはレバーの生姜煮、厚揚げと切り干し大根の煮物。やがて退勤。ドラッグストアへ寄り、コーヒー、カップ焼きそば、総菜パン、マヨネーズ、ケチャップ、ビスケット、ウエハースチョコなど買う。帰宅、風呂。夕飯は豚バラとトマトとごぼうときのこの炒め物。オールスパイスとレモンの味。パンか、パスタか。一緒に食べるものを考えていたら全部食べてしまった。

ラジオ番組「ママ深夜便(仮)」が「みんなで子育て深夜便」になっていた。(仮)の時期に聞いたことがあって、リスナーからタイトル募集中だった。

decoi0222.hatenablog.com

ターゲットが広がると深夜ラジオの寄り添ってくれる感が薄れる。ママ深夜便がいいとは思わないが。そして、市原隼人による絵本の朗読。市原隼人による絵本の朗読!?

ひみつのカレーライス

作品は『ひみつのカレーライス』。父親がとても渋い。話し始める前に「うむ。」と言う。学園もののドラマに出演していた頃で印象が止まっている同世代の俳優が仕事の幅を広げていて驚く。

5/28(土)
朝、コーヒー、きゅうりトースト。昼、カップ焼きそば(スーパーカップ)、目玉焼き。夜、総菜パン(大きなハム&たまご)、ウインナーと小松菜の焼うどん。マーガリンと白だしの味。初めて作った時に彼氏が「おしゃれうどん」とコメントしたので「おしゃれうどん」と呼んでいるが、名づけると食卓への登場頻度が上がるのかどうか。

ツイッターでmaesanが「2022年ベストに入る気候」という旨の投稿をしていた。5月に入ってから、窓からいい風が入ってくることを「そよ風の誘惑」と表現されていたこともあった。今日、「オリビアニュートンジョンみたい」と追記されていてなるほどなと思いながら部屋で横になっていた一日。洗濯OK。片山杜秀はラジオ「クラシックの迷宮」でクセナキスをかけていた。万博のパビリオンの音楽は今聴いても斬新な作品が多い印象だが、この番組で片山杜秀チョイスのものしか聞いたことがないからか?それとも今聴くから斬新なのか?斬新というか、不気味で強烈な感じがするが観客にはどう受け取られていたのだろう。今だとSNS動画共有サイトで数日で消費されつくした後は、「音楽 気持ち悪い」など検索予測キーワードによってレッテルの再生産が行われそうなものだが、「あれは何だったんだろう」のまま観客の心に存在できたとすると、それはそれで豊かな時代なのでは。冬用の布団を床に追いやって毛布だけ被って寝るとちょうどよくなった。

5/29(日)
コーヒーをいれて、きゅうりトーストを食べた。今日は企画オケの練習。

電車の中では川本玲子『ジェンダーと身体』を読んでいた。

ジェンダーと身体: 解放への道のり

ロベルト・シューマンをロベルトと、クララ・シューマンシューマンと呼ぶ論考を読んで胸が熱くなる。ロベルトの死後の演奏活動、ロベルトの作品の楽譜の改訂作業にも着目。

車内でワンピース姿の女性が「なんでこんなにカバンがパンパンなんやろう」と友達に話していた。可愛らしいポシェットでワンピースによく合っている。パンパンなのは女性用の洋服、とくにワンピースにポケットがついていないから。男性は人間用の服を着ているのに女性は人形用の服を着せられている。人形の服にポケットがついていることはまずない。もし人形の服にポケットがついていたら人形に主体性が生まれ、人形遊びが捗るだろうにというような記述があってかなりショックを受けたが、同時期にフェミニズム関連の本を複数読み進めているせいで出典不明になってしまった。『脱コルセット』だったか?

練習前にHとMと食事。立地と楽器が置けるかどうかで選んだカフェの定食は味が薄くて食べ飽きなくてよかった。運ばれてきたとき「野菜に囲まれてますよ」とMが写真をとってくれた。お盆いっぱいの小鉢。おひたし3種、サラダ2種。おひたしにもデザートのかぼちゃぜんざいにもいわゆるスーパーフードがかかっていた。

練習が始まって終わった。普段踏まれてない地雷が自分にはたくさんあることがわかった。人生の半分くらい楽器を弾いてきてたまたま今の団体にいる気がしていたが、その時々の判断で自分が選び取ってきた結果。

帰宅、風呂。夕飯は枝豆、キムチやっこ、ミックスナッツ。レモンサワーも飲んだ。日曜の晩の過ごし方について。家に帰る時間は平日と同じなのになぜかダラダラ過ごしている感じがする。ネットをしないとか?ラジオ番組(サウンドリエーターズファイル)の時間が変わって調子が狂ったか?

5/30(月)
コーヒーだけ飲んで出勤。

通勤電車の中では山本雄二『ブルマーの謎』を読んでいた。

ブルマーの謎 〈女子の身体〉と戦後日本

ショーツ型のブルマーをちょうちんブルマーと区別してぴったりブルマーと呼んでいる。小学2年生まで履いていたことをなんとなく覚えているが、一斉に切り替わったのかどうかは記憶にない。タイトル通りのミステリー仕立て。

職場にて、弁当のおかずは厚揚げと切り干し大根の煮物、目玉焼き、ウインナー。今まで香薫ウインナーを買っていたが、この特選ウインナーの方が柔らかくてプリプリで食べ応えがある。伊藤ハム。特選といったって200円台ではないか、とネーミングの芸のなさなどを見くびっていた。やがて退勤。土砂降りの中帰宅。置き傘があってよかった。風呂。夕飯はスパゲッティナポリタン。ウインナーを食べるためでもあった。新玉ねぎが甘くておいしい。

5/31(火)
雨。コーヒーをいれて、はちみつシナモントーストを食べた。ラジオからはプロコフィエフチェロソナタが流れている。演奏はヨハネスモーザー。低音がかっこいい!PVの印象が強すぎてまだ裸のイメージしかない。暗闇で裸で演奏して、楽器や身体にプロジェクションマッピングを投影。ラジオで音を聞けてよかった。

家を出て、通勤電車の中でジョアン・リップマン『女性がオフィスで輝くための12カ条』を読む。

#MeToo時代の新しい働き方 女性がオフィスで輝くための12カ条 (文春e-book)

これ原題なんなんだろう。女性が発光したところで変革の原動力となるには程遠い。よく見たら邦題の下に原題があしらわれている。原著はこれ。

That's What She Said: What Men Need to Know (and Women Need to Tell Them) About Working Together (English Edition)

昨日サンコーインダストリーの92歳総務部員のネットニュースを読んだ時もどこかに「輝き」と書かれていて面白くなかった。先週読んだ本にバラ(尊厳)はいらない、パン(金)をよこせと書かれていたことを思い出す。今日読んだ内容はフェミニズムに対する男性のアレルギーのような反応についての部分。タイトルだけでフェミニズム関連の作品だとわかる本を持ち歩く時はカバーをかけている。言いがかりをつけられる想像が拭えない。職場にて、弁当はあさりとニラのチャーハン。

やがて退勤。スーパーへ寄り道。コピー機でZINEの印刷を始めてすぐ、次に使いたそうな年配の男性が現れた。先に使ってもらおうとすると「いいですいいです」とカゴを持って先に買い物へ行ってくださった。途中で人に譲りつつ印刷しているうちにレジに先ほどの男性の姿が。また中断して今度は私が買い物をすることに。ひととおり回ってもまだいた。数分前、向こうもそう思ったかもしれない。今、2022年にコピー機で大量印刷する人というのは何の印刷をしているんだろう。怪文書作りの先輩だろうか。特選ウインナー、ビアソー、食パンなど買う。もう一周するとコピー機があいたので印刷作業を完了させることができた。帰宅、風呂。夕飯は半額弁当と金麦。今晩はビールがうまい!NHKFM「ミュージックライン」のゲストはマルシィ。アレンジが島田昌典だということもあり、バックナンバーみたいだなという印象を持った。南波さんが「ラブソングは作りやすいですか?」と尋ねていた。「うーん、家ではラブソングじゃない曲も作ってるんですが…」と悩んだあと、形になりやすいと答えていた。

6/1(水)
コーヒーをいれて、しらすトーストを食べた。家を出るまで時間があったのでフリーペーパー『tempo』を読む。富士通株式会社ソーシャルデザイン事業部発行。「虚と実」「塩梅」など掴みどころのなさそうな特集だが、大喜利のようで面白い。通勤電車でも引き続き読んだ。

職場の全体朝礼で社長が、ロシア軍兵士の残虐行為は民族の性質に由来するもの、日本人にそんなことはできないと発言していて面食らった。話の構成上残虐行為に触れる必要は感じられなかったが。他の社員はどんな顔をして聞いているのか気になって見回すが、皆うつむいていて表情が読み取れない。これはいつものこと。以前からスピーチが得意でなさそうな感じはしていたが、一応自分で言うことを考えていたことがわかった。私の親も外国人に対する偏見がひどいので、私が退席したり怒ったりしなければこれくらい粗雑で残酷なことを言えてしまうんだろうか。レイシストによるスピーチを一本まるまる聞かされるのは、レイシズムの解像度がグンと上がる出来事だった。弁当はオムライス、ハムマヨパン。昼休み、チャイコフスキーを爆音で聴いた。最近ラジオで聞いて気に入った、ロココの主題による変奏曲。社内チャットのアイコンにAnti-Racismと入れた。人種差別反対と入れないと社内の人間には届かないのかもしれないが、英語にしておく。

やがて退勤。図書館へ寄る。韓国文学の新刊は予約なしで借りられるようになるのが国内の作品より早い。この図書館に通って10年以上になるが、ここ数年韓国文学棚はどんどん増大している。今日、ロシア文学棚の前に初めて立った。読みやすそうな短編集があったので借りた。

帰宅、風呂。夕飯はサッポロ一番塩ラーメン。ちゃんぽん麺にしようと肉キャベツシーフード炒めを冷凍していたが、あまり合わなかった。普段通り卵とウインナー、ネギを入れればよかったなという味だった。ちゃんぽん麺にするならマルタイの棒ラーメンがいいのだろうか。多分買ったことはない。

社長のヘイトスピーチに関して彼氏にLINEすると「関係ないこと言い出したらそのへんの老人と同じ」と返ってきた。文脈に関係なくロシア軍兵士の残虐行為に言及している、という指摘にだけ反応することにしたようだ。そのへんの老人がレイシストだとしたらそれも嫌。

その後『21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ』を読む。

21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ

朝礼中真っ先に頭に浮かんだ映画、「ヘイトスピーチ」も掲載されている。ヘイトスピーチに居合わせてしまい、怒りと悲しみのあまり泣き叫ぶ在日韓国人女性のシーンが忘れられない。