1013-1019

10/13(木)
起きて黒糖蒸しパンを食べた。通勤電車では『夏のヴィラ』を読もうとしていたが、全然はかどらなかった。というのも、車内で小競り合いがあったから。「~か?~ですか?」と詰問する女性の声がどんどん大きくなっていき、「聞こえないんですか?」「無視ですか?」「警察行きますか?」と聞き取れるくらいになるが相手は返事をしない。人垣の向こうで、私の向かいに座っている女性がすぐそばに立っている女性を執拗になじる。たぶん足を踏んだとか邪魔とかそういうもめ事。席につく前に別の乗客の読んでいる冊子を肩にかけたトートバッグでさらうような強引な歩き方をしていたので、パーソナルスペースが広い人だと思われる。どことなくジェーン・スーのような風貌だった。急に静かになって女性専用車両に嫌な沈黙が流れる。多くの人が降りる駅でついに席を立ち「警察行こ」と腕をつかんでいたが、振り払われたと同時にドアが開いてホームで待ちかまえている大量の乗客にひるんだのかそれで終わりになった。ここが女性専用車両じゃなければここまで強気にはなれなかったのではないか。とにかく警察沙汰にしたいようだったが、連れて行けば満足できるような展開になるのだろうか。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は失念。

閉店前のスーパーへ行ってコピー機でZINEの増刷。カラーコピー両面印刷、短編綴じ。小銭はコインケースで用意。だいぶ手際が良くなってきた。

10/14(金)
全然時間がない中布団を干して家を出た。覇気をもって家事をしないと季節の移り変わりに負けてしまう。電車の中では武田砂鉄『わかりやすさの罪』を読んでいた。

わかりやすさの罪

思っていることを言ってもらってスッキリするだけの読書になってしまうのではないかという危惧がある。どのみち読んだもののことを逐一覚えている訳ではないので気にしても仕方がないか。

職場にて、昼食は仕出しの弁当。ハッシュドビーフが箸で食べられるくらいの固さだった。しかもおいしい。弁当屋の仕事だ。

やがて退勤。カロに寄ってノーブラZINEの納品。今日納品してよかった。カペイシャスの展示、短い映像を見られた。障害者施設の中には一日中作品制作をするもの(「よく描ける人」はそういうところに通っていることが多い)と、美術部の活動時間だけ作品制作をするものがある。前田泰宏さんは後者。「描きたいときに描く。そういうこと。」

いくつもの店をスルーして行ったことのないカレー屋へ行こうとしたが、もう店じまいしていた。帰宅、風呂。夕飯は炊き込みご飯のおにぎり。これだけ食べて寝てしまった。

10/15(土)

10時に起きて洗濯。タオルケットを洗ってクローゼットにしまう。楽器の練習。昼食はギョニソとほうれん草にマヨネーズをつけて食べた。家の中は寒い。冷えでお腹の調子がいまいちなので10月にしてカイロをはる。14時ごろ家を出る。今日は知り合いのアマオケの演奏会を聞きにいく。電車では「バイエルの刊行台帳」を読んでいた。

バイエルの刊行台帳

ミュンヘンの図書館にバイエルの楽譜を閲覧しにいくところがよかった。問い合わせ文に盛り込む内容を練り、親身になってくれる司書に担当してもらえることを祈る。そして司書とのかけひき。見せてもらえるのは一度に数点まで。その都度カウンターへ返す。その組み合わせが進捗に影響することもある。横に並べて比較できるのは幸運なこと。

演奏会が始まって終わった。アマオケは見聞きするものではなくやるものだというのが信条。拘束時間を考えると展示や映画、演奏でもプロのものを見たい。今回も演奏の感想がそれだった。演奏技術の高い人ほどどんな演奏にもなにかしら見所をみつけて面白がったりするもので、そうなりたい気持ちはあるのだが。ホールのエントランスにHがいて、なぜかだいぶ奥まったエレベーターの前の椅子にTが腰掛けていたのが見られたのは面白かった。お互いを認識しているのに(「お疲れ様です…T君はあそこにいるんですけど他の人はまだです」)そうなるのは、よく会っている者どうしの余裕だ。演奏団体に所属していると会う約束をしなくても会えるし、会う約束をするハードルも下がる。いい趣味を持ったなという実感がまた心の中に広がった。ホールを出て、三宮で餃子屋を梯子した。MTいわく、歩いて巡れる、本店が集まっている、コスパが良いのが魅力。たとえば宇都宮だと車がないと厳しい。えびとたこの変わり種がおいしかった。

帰宅、風呂。忙しい忙しいと思いながら夜中の3時ごろまでAぇ!groupの動画を見まくる。

10/16(日)
9時ごろ起きた。あまり食欲がない。とりあえず家を出ないと練習に間に合わない。

電車の中では田尻久子『みぎわに立って』を読んでいた。

みぎわに立って

熊本の橙書店の店主による、西日本新聞に連載されたエッセイ。ぜひ行きたい。物件のこと、近所付き合いのこと、熊本地震当時のこと。書き残してくれてありがたい。黒岩あすかの音源を聴く場面もある。

12時から20時まで練習。昼食は吉野家の月見牛丼。16時ごろからだんだん胃がムカムカしてきて呼吸は浅く、部屋は熱気がこもり、それ以前にマスクの内側にも熱気がこもっていてつらく、乗り物に酔ったようになる。演奏を中断して部屋から出て休んだ。

知り合いのシャツの襟にサイズ表記のシールがついたままになっていて、言うか迷ったが言わなかった。こいつはそういう類の弱みですら私に握られるのを嫌がるのではないか。早く剥がしてあげたいくらいの情けは私の中にはあるが。などと考えていると、私より関係性の薄い人が後ろから襟を指さして「言ってあげようよ」みたいな目くばせをしてきたが曖昧に笑ってごまかしておいた。嫌いな奴とは喋りたくないのだ。自分の中では行動原理をシンプルにしておこう。

10/17(月)

よく寝られたがまた電車に酔った。うんざり。本が読めない。途中下車しつつなんとか始業前にたどり着く。

職場にて、弁当は納豆うどん。

2年目の男性社員の家族からの差し入れの大手まんじゅうを3年目の女子社員が配っていた。自分で頼むとは思えないから、渡して配ってもらえと誰かに入れ知恵されたのだろう。悪しき文化だ。こんな差し入れならないほうがましだ。最悪の気分になった。

やがて退勤。帰宅。夕食は今井真実のライスペーパーピザ。卵を落として焼いてギョニソを挟む。ケチャップとマヨネーズとフライドオニオンの味。このためにジュピターでライスペーパーを買った。おいしかったが、あと9枚もある。何に使おうか。

食後、ぽんつく堂さん主催のすりすり会の原稿をつくる。22時になんとか紙面が埋まり、コンビニへコピーしに行った。駅からも遠いし、この時間どんなお客がいるんだろう。車で通勤している人が仕事帰りに寄り道している様子。ホットスナックとチューハイを買って車に乗り込んでいた。

10/18(火)

起きて白湯だけ飲んで家を出た。通勤電車の中では田尻久子『みぎわに立って』を読んでいた。

職場にて、隙を見て大手まんじゅうを食べた。弁当のおかずは手羽元とかぶのカレー煮。

やがて退勤。TMと合流してイーカスークで食事をした。カルダモンを漬け込んだ自家製酒のソーダ割、タイハーブ香るなめろうカニみそのソースをまとったいぶりがっこのポテトサラダ~エルブドプロバンス風味~、アラビアンメンチカツ~ケフタXフムスXオリーブXザジキ~、肉みそハーブオイルそば。食事中にこんなにスマートフォンで調べものをしたことはない。紙ナプキンの横にノックするたびに表示されるアラビア語が変わるボールペンが置いてあり、グーグルレンズを向けて翻訳もした。「あぁ、最高の安堵」

店を出て、高架下のカフェに入った。プリンにローズマリーがのっている、プリンにアイスクリームがのっている、添えられているスプーンが大きいと喜ぶTM。大きいスプーンで食べた方がおいしいし、最後まですくえる。こういった喜びを記録すべく、カヌレに加えてプリンのレビューを始めようか思案していた。

帰りにTMがカキをとりにくというのでついていく。高知のかわうそ市場の通販を使ったという。同じ職場の3人の共同購入。駅まで持ってきてくださった。TMのぶんを少しくれるというのでビニール袋を入手すべく駅ナカ成城石井で買い物。粉末のチャイを買った。成城石井のビニール袋に直接放り込まれたカキの写真を彼氏に送ると「そっちのカキをもらえることあるんやな」と返ってきた。

10/19(水)

起きてチャイを飲んで家を出た。

通勤電車の中では『ファッションスタディーズ』を読んでいた。

クリティカル・ワード ファッションスタディーズ

新實五穂による子ども服の歴史が興味深かった。男児にスカートをはかせてズボンによる下半身への摩擦を防ぐ。成熟すると機能的な衣服であるズボンを身に着けられるようになる。

職場にて、昼食は仕出しの弁当。午後、ふと気づくと足元に何か白いフタのようなものが落ちている。履いているポンプフューリーのポンプ部分だった!まだ手放したくないので、どうにかしてくっつけなくては。ポケットに入れて退勤。

帰宅、風呂。洗濯をし、TMにわけてもらったカキをオーブントースターで焼く。何もつけなくても味も香りも豊か。こじ開けなくても殻が開けられるし、殻も中身もアツアツになってしまうと予想していたが、ほんのり温かくて手にも口にも優しかった。手食をする人達は触れられないほど熱いものを食べないとどこかで読んだのを思い出した。アッツアツの食べ物が全然、本当に全く好きではない。「電子レンジで調理できますよ。でも持ってないんですよね。なんでなん(笑)」とTMからのLINE。カッとしたがグッと押さえて「好かん」と返した。電子レンジも嫌いだし冷めたものを食べようとすると血相を変えて「チンしないと!」とおせっかいを焼いてくる人間も鬱陶しい。大げさな表現だと思われるかもしれないが、本当に血相を変えて「せっかくの〇〇だから」などと言ってくる。中国は冷たい食べ物を食べる習慣がないので、更にそういう人の割合が増えると留学経験のある人が言っていた。カキは白ご飯と食べた。もみのりとマーガリンものせた。干し芋とナッツも食べた。買い物へ行かないから冷蔵庫の中がすっからかんだ。