1209-1215

12/9(木)
コーヒーをいれて、レモンチーズトーストを食べた。家を出るまで時間があったので『美術手帖』の女性作家特集号を読む。

美術手帖 2021年 08月号 [雑誌]

ピピロッティリストのインタビューの一文「私の世代の男性たちは、知識を独占してパワーゲームに利用する傾向がありましたが、30年経ったいまはすべてがソフトウェア中心になり、知識は開かれています。」を読んで、ある種のクラシックファンのやっていることの、クラオタカードバトルという自分の見立てがいい線いっていたことがわかる。さほど相手にしてもらえなくてもなお、調べればわかること、聞かれていないことを勝手にメールに盛り込んでくるのが不思議だった。ピピロッティリストの表現を借りると、パワーゲームから降りられず、ソフトウェア中心に切り替わったことも受け入れられていないということになる。見かねて「いろいろご存じですね」と言ってあげるおじさんはパワーゲームのルールを知っている人。積極的に勝ちに行こうとはしないが、誉めてあげるのはパワーゲームを無効化させたくないからなのか。

職場にて、弁当のおかずはなすピーマンウインナーソース炒め、さといもゆかり和え。

やがて退勤。スーパー1へ寄り道。しいたけ、舞茸、れんこん、春菊など買う。帰宅、風呂。夕飯はれんこんと春菊の塩炒め、アーモンド、チーズ。タカラカップのロック。れんこんとベーコンの炊き込みご飯。今週の月曜から今日までのこの時間、NHKFMは「グリュミオー変奏曲」という特番を組んでいた。ヴァイオリニスト豊田弓乃により人となり、レッスンのエピソードが挟まれる。寡黙で緊張しやすく、演奏家でなければ楽器職人になっていたと語るほどの楽器好き。夜中、胃もたれして薬を飲む。

12/10(金)
コーヒーだけ飲んで出勤。通勤電車の中で『DISCO』の2号を読む。編集者宮田文久発行の雑誌。職場にて、弁当はれんこんとベーコンの炊き込みご飯。柳楽光隆のエッセイが面白かった。音楽を聴きながらランニングするという朝の日課について。

午後、また胃もたれ気味。どうもベーコンの食べすぎのような気がする。前にやったときにベーコンをケチって貧相な出来になってしまったことを覚えていて、たくさん入れたせい。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は豆腐のおかゆ。筋肉料理人のレシピ。最近はホットペッパーのメシ通でレシピ検索することが多い。ラジオからはN響定期公演の模様が流れている。9月から金曜の公演(池袋Cプログラム)は開演時間を30分遅くし、休憩時間なしで80分以内にしているという。前プロはチャイコフスキーロココの主題による変奏曲」ソリスト佐藤晴真。この方は代打。入国制限で当初予定していた指揮者、ソリスト共に来られなくなったため。解説は一柳富美子。息を切らせて熱っぽく語ってくれるので好き。メインは「展覧会の絵」。番組終了後ちょっと楽器を弾く。寝る前に一年前の日記を読み返してみると、やはりちょいちょい胃もたれしている様子。冷えかな。

12/11(土)

今日明日は11月並みの陽気、月曜から寒くなるという予報。ラジオをつけて、布団を干す。シャキッと起きられた土曜はピーターバラカンの「ウィークエンドサンシャイン」が聴ける。案外個人的なエピソードや好みを盛り込んで話している。コーヒーをいれて、カニカマトーストを食べた。

家を出て、通勤電車の中で前野ひろみち『満月と近鉄』を読む。

満月と近鉄 (角川文庫)

生駒山の上から見ると近鉄電車の車体はクリーム色。

正午退勤。改札の前で彼氏を待っていると、となりで誰かを待っていた年配の女性のところに小さな女の子が走り寄ってきた。何メートルも手前から「おばあちゃん!おばあちゃん!おばあちゃん!おばあちゃん!」と叫びながら。切実さに胸を打たれて泣いてしまった。やがて女の子の母親と弟と四人で改札の向こうへ消えていった。

彼氏と合流してうどん屋でお昼。木の葉丼定食。隣の席では親子連れが食事をしていて、男の子はユニホーム姿。「靴下が分厚いから野球じゃなくてソフトボール」と彼氏。食後いったん家に帰り、ふうせんかずらの貸し棚に並べる本の荷造り。ある程度進めてあったが、手提げ袋を持ち上げるとベリッという音がして取っ手の部分が破れた。収納ケースを裸で持っていくことに。彼氏にも持ってもらい、家を出て駅へ向かう。あまりの重さに閉口したのか早々に無言になる彼氏。どんなフォローも言い訳も余計に思えてそのまま電車に乗り、ふうせんかずらまで行った。搬入。思ったようにいかず時間がかかる。面出しは難しい。彼氏はやはり無言。文庫の並べ方について、棚の端に積み上げようとしていたのを関係者の方々に「面白いですね!」「いやお客さんは下のやつを取り出してまで見ないと思う」などと言われていた際にだけ「見やんやろ。取らへん」と発言したので意見を尊重した。後列の本を持ち上げる箱が足りなかったのでとりあえず本を積んでのせておく。

ふうせんかずらでお茶してもいいかと思っていたが、彼氏の居心地が悪そうなので出る。こういったカルチャーイベントスペースみたいなところには立ち入ったことがないような人なのに搬入を手伝わされている。「彼氏に運んでもらいました」とふうせんかずらのNさんに紹介すると「そういうのは…仕方ないですよねえ~」と声をかけてもらっていた。わたしはなぜ頼んでもいいと思ったのだろう。彼氏はなぜ頼まれてくれたのだろう。他に頼める人もいないので助かったが、覚えておいた方がよさそうな気持ちだ。

シャトードールでコーヒーフェスティバルを注文。330円でコーヒーとおまかせの菓子パン。今日はシュークリームだった。ごつい!17時前ともなると店内はがらんとしている。テーブルが大きいのは嬉しい。新聞にひたすら赤ペンでマルをつけているおじいさんは前来たときにいた人と同じ気がする。

帰りの電車で10年ぶりくらいに、ハリーポッターを読む小学生を見かける。双子の女の子で、互いの膝の上の本を一緒にのぞき込んで読む。今日一番最初に売れた本は『沖縄文学の100年』という本だったという話をしていて、彼氏が「上の棚にも沖縄の本いっぱいあった」と言ったので驚く。本には興味がないという顔をふうせんかずら内でも崩さなかったが、見るところは見ている。スーパー2に寄って、鮭や豚バラ、かぼちゃ、食パンなど買う。帰宅、風呂。夕飯は焼きそば。彼氏が焼きエビを見て「市川シュリンプ蔵」と言ったのでしばし酒癖が悪い話や歌舞伎の話などする。殻付きのまま焼いて出したら箸でカチャカチャと器用に殻をはずしてマヨネーズをつけて食べていた。持ち方がセオリー通りではないだけで箸の扱いはうまいのかもしれない。わたしは殻ごと食べる。

12/12(日)

9時ごろ起きて、コーヒーとトーストで朝食。11時前に早めの昼食としてパッタイをつくって食べる。またナッツを振りかけるのを忘れてしまった。今日はアマオケの練習。駅へ向かう途中、彼氏に「(貸し棚に並べた)本、今日も売れるかな~」と言うと、「2冊売れる」と返ってきた。わたしの頭の中では飛ぶように売れて棚がすっからかんになるという妄想が始まっていたが、じゃあ2冊なんだろうなと思った。こういう数をピタッと当てられる人なのだ。

電車の中では『Jodo Journal』の2号を読んでいた。

Jodo Journal (vol.2)

つるっと一度読んで積んであった批評誌を手放す前にしっかり読もうとするという自分の習性を利用。インタビュアーが若い男性に対して君呼びをしているのがなんとなく気になる。普段の関係性をそのままにしてあるだけのような気もするが、読者には見えなくてもいい情報ではないか。

練習が始まって終わった。常に優位に立って批評する側でいたいだけの人間がアマオケなどするものではない。構造上無理がある。ということを考えた。指揮者の先生の指導を受けて気分が高まった後だけに、聞こえてくる雑談の内容がキツい。

帰宅、風呂。夕飯はさつま揚げ、豚ともやしとプチトマトを蒸してチーズをのせたもの、鮭ハラスのお茶漬け。ラジオからは広上淳一指揮、札幌交響楽団演奏のドヴォルザーク交響曲第8番が流れている。4楽章冒頭のどっしりしたテンポが印象的だった。

週末は次週の占いをチェックするようにしている。石井ゆかりと真木あかり。占い師の文章は他人の言動にはたらきかけるものなんだな、と気づいてからまた読み方が変わった。

12/13(月)

今日から寒い。コーヒーを入れて、トーストを食べた。今朝放送のNHKFM「かけるクラシック」は公開収録。フルーティスト多久潤一朗を知ったのは何年も前にやはりNHKFMの「リサイタルノヴァ」で聴いたのがきっかけだった。あれからどんどん仕事の幅を広げ、Youtubeチャンネルも開設し、ちくわ演奏動画がバズってちくわの人となっていた。「かけるクラシック」にタイタニックのテーマ曲が版権上流せないので他にちくわの演奏の音源はないかと依頼されて作った音源と動画でバズったとブログに書いてあった。納期1日。夜通しオケを作って翌日に演奏、収録。全力で仕事をする者にバズりは訪れるのだなと思った。

通勤電車の中でへにゃらぽっちぽー『ぽぽぽ』を読む。どの話もなんていい話なんだ。

職場にて、弁当のおかずはかぼちゃ、厚揚げとれんこんのオイスター煮。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はえびとチンゲン菜のスープ、白飯。洗濯をした後、さつま揚げも食べる。

食後、ふうせんかずらの貸し棚の売上報告を見る。搬入日の土曜にたくさん売れた。日曜の売上は2冊。早速若菜晃子の本が旅立った。あまり手放したくないので割高にしておいたもの。でもこれで新刊を買う強力な理由ができた。わたしの中の乙女が集めていた菊池亜希子やコップのフチ子(のムック本)はまだ売れていない。メジャーなイメージがあったが、しゃがみ込んで棚を見るお客って割と限られているのかもしれない。面出しもうまくできなかったし。今になって、やはり搬入直後に関係者が群がるのは違う気がしてきた。その間他のお客さんは棚に近寄れない訳で。回転させるために安くしたんだからたくさん買ってもらえてよかったではないか、貸棚利用者とお客が求める本には違いがありそうだし、そこまで気にする必要はないのでは?という考えも浮かぶ。貸棚利用の動機や、棚を使ってやりたいことは様々だということは理解できる。思うところがあればこちらで工夫すればいい。とりあえず次の補充は平日にすることに。補充に手間取って棚の前を占拠してしまい、上下の棚の方にも申し訳なかった。

ツイッターにて、Aマッソがかわいそうだというツイート多数。去年は「ゆりやんレトリィバァに負けるなんておかしい」という意見が目立ったが、

 

decoi0222.hatenablog.com

 

オダウエダを叩くようなツイートは少ない。NHKFMバイロイト音楽祭。今夜は「さまよえるオランダ人」。正直ワーグナーのオペラはどれがどれだか区別をつけられない。3~4枠にわたってレギュラー番組がなくなり、ひとつの作品が流れ続ける荘厳な夜となり、年末という感じはする。解説は広瀬大介。

今、前澤友作が宇宙にいるのだが、なんとaikoに電話をかけてきたらしい。公式ツイッターで知った。交流関係に驚く。何人にかけたのだろう。

12/14(火)

今日は明るい。曇った窓の外にぼんやりと金色のものが見えている。枯草が朝日を受けて発光しているのだ。コーヒーをいれて、レモンチーズトーストを食べた。まだ時間があったので川崎智子『道順』を読む。

整体覚書 道順

コミュニケーションツールから離れられないのは、そこに関係性が絡んでいるからという記述が印象に残った。

家を出て、電車の中で早助よう子『恋する少年十字軍』を読む。

恋する少年十字軍

文体の虜。常体と敬体の混ざりがリズムを作っている。

職場にて、弁当のおかずはつくね、キャベツの目玉焼き、かぼちゃ。

やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯は豚バラこんにゃく炒め丼。NHKFMは今日もバイロイト音楽祭の模様を放送している。今日は「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。序曲に取り組んだことがあると全幕それなりに面白い。ペヨンペヨンとスティールパンのような音が聴こえるが詳細はよくわからなかった。食後、前野ひろみち『満月と近鉄』を読みおえる。南都銀行の使い方が笑える。

ツイッターを見ていると、aiko大喜利ツイートが複数流れてくる。何事かとグーグル検索すると(わたしのTLには元ネタをリツイートする人がいない)去年結婚していたことをライブMCで明らかにしたというニュース。ラジオ番組を持っていたらラジオで発表したのかなと想像する。

ラジオ番組のゲストに呼ばれ、結婚報告に居合わせたaiko

decoi0222.hatenablog.com

12/15(水)
集団登校している小学生の声で目が覚める。ラジオをつけると、サンサーンスのチェロ協奏曲が流れるところだった。ソリストはデュプレ。そのまま聴いていると、弦や弓の弾力が伝わってくるような迫力がある。コーヒーをいれて、カニカマトーストを食べた。

家を出て、通勤電車の中で『整体読本「ある」』を読む。

整体対話読本 ある

鶴崎さんが「んー」とか「はあ」とか言っているのがリアルでいい。染み込むまで時間のかかりそうな言葉。

「商売の事、あきないって言うんですね。あきない、つまり、飽きなくさせるっていうのが商売なんですね。例えばおばちゃん達に多いんですけど、百円ショップとかでね、あ、このお弁当箱いい、でもこの薄さがちょっとね、とかね(笑)なんせとにかくあの、買い物に関してはみんなどんどんどんどん自分の要求を言って来ます。あるもので満足しないって事ですね。そしてそれに応えるっていうのが商売になってく訳です。一個で買うとこの値段だけど十個だったらこれぐらい安くなりますよ、どうですか。え~でも五個も十個もいらないんだけど、だけどどうしようかな~、ここで考えて、買うか買わないか決めると。これを供給する側が色々刺激して来る。」

この構造覚えとこう。

職場にて、弁当のおかずはかぼちゃ、つくね、卵焼き、塩昆布。やがて退勤。帰宅、風呂。夕飯はカレー鍋。

かつてわたしに暴言を吐いてきた人間がわたしの人生から退場することがわかった。望んでいた通りの結果になったが、嫌なことをされたら一秒でキレないと直接怒ることはできない。当事者不在のまま、決定権のある人間の決定で物事が進んでいく。一秒でキレないと、というのは聡子が言っていたこと。

mikiki.tokyo.jp


柴田聡子は「いじわる全集」で「次会ったら一番なんて言ったら 傷つくかな」「いつも悪口考えてるよ 一瞬で効くような強いやつを」と歌っていて初めて聞いたときはすごく共感した。これは一秒でキレることの予行演習なのか、一秒でキレることとは反対方向の行動なのか。ともかく今回「次会ったら」の次がない、という経験をした。