8時前に道後温泉のホテルを出てガラガラの坊っちゃん列車に乗り込む。運賃200円。両替機で小銭をつくる。ICカードはおそらく伊予鉄道のものしか使えない。旅行して毎回カルチャーショックを受けるのが自動改札機のなさ。JR高松駅の改札でICカード改札の方が少なくなり、ことでんの車両は古く汚れていて改札では地元の乗客が切符を持っていた。ホームにはファンファンがいた頃のくるりが来たときの写真がでっかく貼られていた。キャンペーンソングを手がけたらしい。JR丸亀駅には自動改札機がなく駅員が切符を回収していた。カードリーダーは駅員の前に立っていた。丸亀を出る際、松山ではICOCAを使えませんと案内され入場記録を消してもらった。
坊っちゃん列車の吊り革にはみかんがついていた。昨日来るときの車両はタルトだった。もみじ饅頭のように、複数のメーカーが同じような見た目のタルトを製造していることが車内広告と車窓から見える店舗でわかった。8時45分に松山駅着。土産物屋で買い物。一六タルトの包み紙が長く使われていそうなデザインで惹かれるが、個包装タイプの箱は別デザイン。ばら撒き土産は買わない。温泉に入っておらず土産話がしづらいため。自分の食べたいものを持てるだけ買う。そこからストリップの話をできる友人に分けることにする。一六タルトは余ったコンサートのチケットをくれるという人に渡そう。何も言わずに。9時15分松山発の特急しおかぜに乗る。お土産のお菓子を早速食べつつ、ひだまりの中で思う存分ツイッターをした。12時岡山着。高松駅で見たヤドンの瓦せんべいを探したが、普通の瓦せんべいしかなかった。高松(1日目)から持ち運ぶのが嫌で岡山駅で売っているのに賭けたが買えなかった。どんな感じで焼印が押してあるか、せんべいのサンプルがあったら絶対に買っていたと思う。何か駅弁を買おうとして、あなごめしの横に見えた黄ニラの肉むすび弁当にした。新大阪行きのガラガラのさくらの車内でこれを食べながら、旅行中食べられなかったのでやはりカレーが食べたくなり大阪の店を探す。すると1月末で閉業したはずの天満の店がまだやっていた。年度末までやるらしい。弁当は小ぶりだったので小盛りにすれば完食できるはず。付け合せのおひたしまでニラづくしでレモンジュレもおいしかったが、1300円か。ランチだとカレープレートに卵くらいはトッピングできそうな値段だ。旅行客は行く先々で足元を見られている。
ボストンバッグを持って天満に降り立ち、居酒屋で間借り営業しているカレー屋でビーフビリヤニを食べた。トマトカレーのチキンはホロホロ、ココナッツカレーのブリはプリプリだった。ビリヤニの牛肉は歯ごたえがあって、ツイートにあった通り固めだった。「圧力鍋じゃなくて低温調理してみたんですが時間が足りなかったようで…僕はこれくらいが好きなんですけど」と言うので肉食べてる感じがしていいと思いますよなどと返す。後から来た常連にも全く同じことを言って、「全然いいと思う」と励まされていた。たまにカレーの調理に失敗して休業しますという店のツイートを見かけるが、こういう葛藤があるのかもしれないと想像させる姿だった。肉について何か言うとしたら、口の小さい人間には切り方がちょっと大きいと思う。
食後、東洋ショーへ行った。鍵の壊れたロッカーにボストンバッグを入れて2回目と3回目を見た。勝手に照れて連れと喋り続けたりヒューヒュー言ったりするイキリ客が入ってきたので耳栓をした。舞台芸術の脆さという指標が自分の中にあって、音響的にはクラシックが一番弱い。ストリップの場合は基本的には音量が大きいので耳栓をすれば私語や雑音が聞こえなくなる。映画もしかり。しかしストリップ劇場の客席の少なさや舞台上の演者との近さ、客ごとのモチベーションの違い(誰が何をするか、さらにはストリップを全く見たことがないお客もいる)はかなり作品に影響するのではないか。経験の浅そうな踊り子さんがいて、舞台に立つことの覚悟のようなものについて考えながらできる限りオンタイムで手拍子した。あとやはり、あらきまいさんの演目の小道具としてのショーツの扱い方が見事。音に合わせてパッとずらしたり、膝のあたりにとどめたまま自転車を漕ぐように足を動かしてピヨヨンピヨヨンと伸縮させる。ショーツに目を奪われ続ける。